そうちゃんと公文

そうちゃん(長男・12歳・知的障害アリ)、実は、週に一度、公文に通っている。

、、、ってことを私が言うと、たいていの人は、「えーっ、、、? そうちゃんが?? 公文に行ってるのっ!?」。

そして、母・よしこや姉に至っては、「、、、で、そうちゃん、いったい公文で何やってんの???」と首をかしげる。

そのくらいビックリなことらしい。。。

                                                           

私だって、そうちゃんを公文に行かせてみようだなんて、ちっとも思っていなかった。

だって、ひと口に”知的障害がある”といっても、それぞれ。

普通の人だって、東大に行けちゃうくらいの人とそうでない人の間には、相当な差がある。

それと同じように、知的障害も、軽い人とそうでない人(もちろん、そうちゃんは、”そうでない人”の集合体に含まれます。)の差はすごい。

で、公文なんてものは、きっと、もっと障害が軽い子供が通うものと思っていたので、私とそうちゃんにとっては、公文は、”高嶺の花”だった。

                                                              

ところが、たまたま、そうちゃんと仲良しのお友達が公文に行っていて、そのお母さんから公文での話をときどき聞くようになって。。。

                                                              

お友達が通うその教室は、家から車で30分くらいかかる場所(ちょっと遠い)にあるのだけれど、なんでも、とても熱心な先生で、障害がある子供も受け入れてくださるらしい。

で、ある日、”まっ、じゃっ、ちょっと一度、行くだけでも行ってみようか、、、。”と、教室を訪ねたのが、はじまり。

”ちょっとお話を聞くだけ”と軽い気持ちで行ったのだけれど、

「ぜひ、ぜひ、ぜひ、連れて来て下さい、お母さん!! 

どんなお子さんでも、やれば必ずのびます。 

私も一生懸命がんばるから、お母さんも一緒にがんばって~! 

ねっ!! ねっ!! お子さんと一緒に毎日ちょっとづつでいいからプリント(宿題)してきてください!!」。

、、、ということで、その日のうちに、即・入会。

そこからそうちゃんの公文通いは始まった。

                                                             

最初は、普通の子供の中で一緒にやるのは難しいでしょうということで、わざわざそうちゃんのためにマンツーマンで特別に時間をとっていただいてのスタート。

そして、”普通の子供たちといっしょに(一緒の空間で)公文ができる日”を目指して幾年月。

とうとう(1年ちょっとかかったかな、、、?)”デビュー”も立派に果たした。

途中、長女(4歳)と次男(3歳)も、「そうちゃんといっしょに公文行きたーい!!」ときかないので、長女(4歳)と次男(3歳)も公文に仲間入り。

再びマンツーマン(子供三人にそれぞれに先生がついてくださる)形式に変わった。

、、、と、状況にあわせて形式は変わったけれど、そうちゃんが公文をはじめて、今年の夏で、もう5年になる。

                                                           

”30分でいいから、じっと座って何かに集中する力がつけばいいなあ。。”という思いと”毎週同じ時間に目的をもって行く場所ができたらいいなあ。。”という思いからはじまった公文。

その願いが叶えられたら、私としてはもう十分。

あとは、”もし万が一、ひらがなでも覚えられたら、ラッキーかな。”という思いが、かすかにあったくらい。

                                                             

公文に行くと、そうちゃんは、数字表を読んだり、ひらがな表を読んだり、プリント(まっすぐに横線や縦線をひく練習)をしたりしている。

よ~く考えると、5年間、していることは、さほど変わらない。

、、、というか、全く変わっていない!!

(もちろん、普通は、できたら次のステップのプリントへと、どんどんうつります。)

だから、外見では何も進歩していないように思える。

けれど、今や、なんと、あのそうちゃんが、公文に行ったら、お勉強のためにちゃんと座って集中している。

                                                            

そして、なんといっても、そうちゃん、”公文だ~い好き!! 先生だ~い好き!!”。

いつも車からを降りると、公文バックをゆさゆさ揺らしながら教室までかけて行く。

一度だって”行きたくない”と言ったことも”公文いやだ”と言ったこともない。

その代わりに、毎週土曜日になると、必ず、「公文ある(訳:公文に行く)?」と私に聞き、私が「あるよ~。」と答えると、「ヤッタ~!!」といって体をゆすってピョンピョンはねる。

いつもいつも体いっぱいに、ただただ新鮮に喜びをあらわす。

                                                          

宿題のプリントも、長女や次男は、

「やりたくな~い~。」

「ねむた~い~。」 

「つかれた~。」。

、、、というのが決まり文句。

そう言いながら体をクネクネさせて、不満をあらわにする姿は、いつも私をイライラさせてくれるけれど、そうちゃんはというと、夕食が終わったら「公文は?」。

”公文の宿題、今日する?”と自ら確認する、いわば模範生。

一度だってそうちゃんは、”やりたくない”とか”イヤだ”と言ったことがない。

                                                             

私が「公文の時間で~す。」と、公文のバックを持ってきても、長女と次男は、何の音沙汰なし、見事にノーリアクションだったりする。

それに対して、そうちゃんは、ちゃーんと一番に私のもとに来てくれる。

で、感心なのは、そうちゃん、5年間、変わらず、同じプリントをしていること。

ただエンピツで縦線をひいたり、横線をひいたり、、、というだけのプリント。

                                                         

でも、実は、5年たった今でも、たったそれだけのことが、そうちゃんは自分だけではうまくできない。

一人ですると、プリントをはみ出してテーブルにオーバーランした後、やっとそうちゃんのエンピツはとまる。

腕に力が入りすぎて、うまく力をコントロールすることができないのだ。

で、いつも、そうちゃんの方から私に、「手伝ってください。」とご依頼がある。

だから、私とそうちゃんは、いっしょにエンピツをもって横線・縦線をひいていく。

                                                      

毎日同じことの繰り返しの地味な地味な作業。

けれど、その作業をコツコツと日々重ねていくそうちゃん。

そんなそうちゃんを見ていると、「う~ん、がんばってるよなあー。」と思って、なんだか毎回”じーん”としてしまう。

                                                             

そうちゃんは楽しめることも、できることも、健康な子供よりもうんとうんとうんと少ないけれど、いったん好きになると、単調なことでも、がまん強く続ける力がある。

プール教室(こちらも週に一度通っています)だってそう。

一度も”行きたくない”と言ったことも”もう、イヤだ”と言ったこともない。

そして、何より、”どうしてそんなに新鮮に喜びを体いっぱいにあらわせるのだろう、、、。”というくらい、”今日もまた好きな習い事に行けること”を楽しみにしている。

                                                             

そして、、、。

最近では、なんと、かなり、ひらがながわかってきたらしい。

もちろん書く事はできないけれど、読むことは、ひとつひとつゆっくりだったら、できていると思う。

声に出して「あ」 「い」 「う」とはっきり発音することはできないけれど、頭の中では、ちゃーんとわかっている模様。

びっくりだ。

                                                            

いつも同じプリントをしているそうちゃんが、しばらくは、長女も次男も、とてもフシギにみえたようだ。

「そうちゃんだけ簡単だから、いつもすぐ終わってずる~い!」とか、「なんでそうちゃんだけ、いつもママが手伝うの~?」などとも言っていた。

けれど、そういえば、最近は、もうピタリと言わなくなった。

小さくても、何が大切でどういうことが偉いことなのかは、ちゃーんとわかっている。

                                                              

そうちゃんがコツコツと積み重ねていくこの先には、いったいなにがあるんだろう。

ちょっと何か”期待”をも感じさせてくれる最近のそうちゃんです。。。

                                                           

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そうちゃんと長女と次男

最近、次男(3歳)には、”そうちゃん”が、ちょっとフシギに映るらしい。

次男から見ると、そびえ立つほどに大きい(ただ今、身長170cm!!)そうちゃん(長男・12歳・知的障害アリ)が、いろんな日常を”お手伝い”してもらっているのが、”????”なのだ。

私がそうちゃんの顔をパシャパシャ洗っていると、次男は、そばに来て身をのりだし、

「ねーね、そうちゃん。 

どうして、そうちゃん、大きいのにしゃー(さー)、お顔、ママに洗ってもらってるの~? 

そうちゃん、お手て、痛いの~??」。

                                                              

そうちゃんは、言葉をひとつひとつハッキリと発音できないので、なんでも言葉が一塊になってしまってわかりづらい。

(、、、というか、私の通訳なくしては、なかなか理解できない。。。)

だから、”もうちょっとハッキリしゃべれるようになって、もっといろんな人に伝わる言葉になればなあ、、、。”と思って、最近、そうちゃんとしゃべる時は、「そうちゃん、ひとつひとつハッキリ言ってみて~。 ほら、”そ” ”う” ”ちゃ” ”ん”。」。

、、、とかいう風に、私は、発音の練習をかねて、おしゃべりする時がある。

こんな時、そこにまた次男現れ、

「ねーね~。 

そうちゃん、どうして大きいのにしゃー(さー)、おしゃべりできないの~??」と、ストレートな質問。。

                                                          

そんな時、かなり困惑する。

誰が困惑するかというと、実は、”私が”ではなく、”そうちゃん”が!!

、、、というのも、その質問、いつも、私に向けてではなく、当の本人、そうちゃんに向けられる。

次男は、イスに乗ったりして、わざわざそうちゃんと同じ高さに視線を合わせ、”なんとかこの疑問に答えてくれないか~、ベイビ~?!”というような強い信念のもと、そうちゃんの目の奥をジッとのぞき込みながら言うのだ。

                                                       

そうちゃんは、手先も不器用だし、おしゃべりもうまくできないから、”なにもわかっていない”風に思われがちだけれど、実は、かなりよくわかっていると思う。

特に人の心の中を見抜く力や、人の感情なんかは、よ~く読み取る。

だから、そんな時(次男に質問された時)のそうちゃんは、悲しそうな顔と悔しそうな顔をして、そして、最後は、とても困った顔をする。

                                                           

”ボクだって、できることなら、なんだって自分でしたいさ。 

おしゃべりだって、いっぱいしてみたい。 

でも、思うように手も口も動いてくれないんだもん。。”という思いと

”ボクはずっとボク。 このペースでずっときたんだ。

何を今さら、、、!! 

新入り(そうちゃんより後に生まれた次男)が何いってんだよ~?!”という思い。

そして、

”その質問には、うまく答えられないよ、、、。

 君の思いは受け止めるけど、ボクの思いは君にうまく伝えることができないんだもん。。”という思いが、複雑にそうちゃんの中で渦巻いているように思う。

                                                            

きっと、次男を”なるほど~っ!!”と思わせるほど、私もそうちゃんも、これという回答はできていない。

にもかかわらず、数日たつと、次男は、きっと自分でいろいろと考えるのだろう。

次男なりに自分を納得させ、そして、何かを感じ取っているので驚く。

                                                         

ふと見ると、次男は、

「そうちゃん。 

”あ!” ”い!” ”う!” ”え!” ”お!”だよっ。

 ねー、はっきり言ってごらん。」と言って、大きなそうちゃんの横に自分も正座して、発音講座の講師となっている。

その横顔は、私より一生懸命だったりする。

                                                         

それとか、タッタッターっと、かけて行っては、

「ね~、そうちゃん。 

はっくん(次男のこと)ねー、そうちゃんのことだ~い好きだよ~。 

はっくんがしゃー(さー)、なにかお手伝いしよっか?」などと、そうちゃんの耳元でささやいていたりする。

                                                          

長女(4歳)は、、、というと、”そうちゃんが病気”だということは、漠然とではあるけれど、理解している。

で、最近の長女は、なんだか頼もしい。

                                                            

外を歩く時、私は、そうちゃんと手をつなぐので、自ずと長女は次男と一緒に歩くことが多い。

長女、次男を守るようにして、しっかりと次男の手を引く。

そして、次男が危なくないように、車からかばうように歩道の奥側に次男を歩かせ、自分は必ず車道側を歩く。

ちょっとでも車が通りすぎようとするなら、両手をいっぱいに広げて、次男が歩道からはみださないように”カニ歩き”のような格好で歩いたりもする。

信号待ちの時、そうちゃんが赤でも渡ってしまわないように(そうちゃん、赤でも青でも黄色でもお構いなく、堂々と渡ろうとなさいます、、、トホホ。。)大きなそうちゃんのパンツをしっかとにぎって、

「ママ。 なっちゃんが(長女のこと)、そうちゃん、つかまえとくからだいじょうぶよ~。」とか言ったりする。

                                                        

そんな次男や長女を見ていたら、”子供ってすごいなあ、、、。”と感心してしまう。

あんなに小さいながら、二人はもう、すでに、”そうちゃんをエスコート”している感じなのだ。

大人が”手伝ってあげて”とか”○○してあげて”なんて、そんなことを言う必要はないらしい。

何も教えなくっても、”目の前に困っている人がいたら、その人が安全に心地よくすごせるように、力ある者がリードする”ということを本能的に知っているのだ。

                                                              

さりげない気配り、、、できそうでできないんだよなあ。。

私も、これから、次男や長女を見習って、さりげなくエスコートできる人になりたいです。。。

                                                           

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温泉にて

この間、温泉に泊まりに行った時のこと。

お風呂の湯船に長女(4歳)とつかって、「やっぱ、温泉は気持ち~ね~。。」と言っていたら、長女が、

「ねえ、ママ。 女の子が一人いて、よかったでしょ~?!」。

「だってさあ、なっちゃん(長女のこと)が男の子だったら、ママ、お風呂、一人で入らないといけないもんね~。 

そしたらママ、寂しいでしょ~?」と言う。

                                                              

そう!

娘さん、よくご存知で!!

、、、というのも、この私、結婚して初めて、”なーんか、寂しいもんだねー、、、。”と、しんみり思った瞬間は、実は、温泉に行ったときだったのだ。

そう、”女湯”に一人ひっそり入った時だったと記憶している。

                                                             

私は、姉(お料理やお菓子の本を出版しています:行正り香)と二人姉妹だった。

で、小さい頃から結婚するまで、どこかへ泊まりに行った時などは、お風呂タイムといえば、私と姉と母・よしこと三人で、”さっ、そろそろお風呂に行こっか。”と、いつも一緒だった。

思えば、温泉につかりながら、”夕食はどんなのがでるかな~。”とか、”今日の食事はおいしかったね~。”とか、”やっぱ、温泉は最高だよね~。”とか、そんなたわいのないことをベラベラしゃべることが楽しかったのだ。

                                                              

それが結婚したとたん、一転、単独行動。

長女が生まれる前までは、そうちゃん(長男・12歳・知的障害アリ)はパパと一緒に男湯へ入るので、私は女湯へ一人トボトボ向かう。

まあ、うるさい人(一日中しゃべりまくる、そうちゃん)から瞬間、開放されることは至極の幸せではあるけれど、向かった先の女湯に他のお客さんが一人もいず、だだっ広いお風呂に私一人、、、ということになると、、、ガビーン。

こんな大きなお風呂に私一人、、、こっ、、こわいじゃないのさっ、、、。

くつろぐどころか、なんだかかえって落ち着かず、”、、、なーんか寂しい、、、。”気持ちがジワーっ。

ジャバジャバっと入って、どうかすると男湯のメンバー(パパ&そうちゃん)よりも早くあがってきてしまうことも多かった。

だから、長女が生まれて、何がうれしいって、”二人で女湯へ向かえること”。

これ、実は私にとっては、かなり、”うれし~っ!!”ことなのだ。

                                                             

そして、長女は言った。

「ママのことね、なっちゃん、ずっとお空の上からみてたんだよ。 

でね、ママが寂しくないように、女の子になろうって決めて、生まれてきたんだよ。

ねーっ、女の子だったら、いっしょにお風呂に入れるでしょ。

でね、ママのところに行きたいなあと思ったから、なっちゃん、ここに生まれてきたんだよ。」。

そして、長女は、いろんなことを”お空の上から”みていたのだという。

そうちゃんがずっと歩けなかったことも、お空から見てたから知っていた、、、とも言っていたっけ、、、。

                                                          

人間が一人、生まれてくるっていうことは、ものすごくドラマティックなことだと思っていた。

けれど、それは、いろんな偶然と偶然が重なったものだと思っていた。

でも、長女のその言葉を聞いていたら、、、。

もしかしたら、赤ちゃんたちはみんな、生まれる前から、お空の上でずーっといろんなことを眺めているのかもしれない。

そして、いろんなことを思いながら、”じゃ、ここの家の子になってみようかなあ~。”と行き先を希望して生まれてくるものなのかもしれないなあ、、、と思えてきた。

                                                          

もし、そうだったら、それは、ものすごーくうれしいことだなあ。

長女も次男(3歳)も、そして、そうちゃんも、単なる偶然ではなく、私のところに来るべくして来てくれた気がする。

、、、そう思ったら、あらためて、「Welcome!!」な気持ちがモクモクわいてきて、三人ギュッと抱きしめたくなってしまった。。。

                                                              

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三日坊主(4・完)

前回ブログのつづき

                                                      

次の日の夕食も、私は、当然のように十五穀米を炊いた。

まー、皆さん(子供たち)、お気に召さないのはわかっていたけれど、いざとなれば、冷凍ごはんもあるし、嫌いだという者がいれば、冷凍ごはんをチンすればいいのだ。

そうちゃん(長男・12歳・知的障害アリ)は、もちろん十五穀米は断固拒否だったため、ごはんをチン。

長女(4歳)と次男(3歳)は、渋々ながらも、なんとか食べていた。

そんなみんなを見まわしながら、

「ヘルシー&ビューティのためには、これ、食べなくっちゃー! 

なんかね、ママ、これ食べてると、大地の恵みを感じるよ~っ!!」。

二日目の夜まで、私は、確かにこう言っていた。

、、、が。

                                                             

三日目の夜、私に異変が起きた、、、。

食事の時、ふと、十五穀米を”ジーーーッ”と見たのがいけなかった。

昨日まで、あんなに”う~ん、美味しい!!”と思っていたのに、

”ところで、、、、。 

なんでごはんにこんなにいっぱいツブツブが、、、?”という思いがスッとよぎった。

この一点の思いが私をくるわせた。

なんだか、そのツブツブを見ていたら、急に”き~も~ち~悪~~~いっ”という感情がフツっと私の中にわいたのだ。

                                                            

そうだ、、、そういえば、昔、私が飼っていた小鳥(インコ&文鳥)たちが美味しそうに食べていた”あわ”も入っているではないか、、、。

私は急に当時のことを思い出した。

ルル(インコ)とララ(文鳥)があんまり美味しそうに”アワ(小鳥のえさ)”を食べるので、私は、よく鳥かごに顔を押し付けてその様子を眺めたものだ。

そして、

「ルルちゃん、そんなに美味しいの?」 

「ララちゃん、ほーんと好きねえ~。」と言いながら、口ばしを忙しく動かして食べる小鳥たちを見ていたあの頃。

                                                              

その光景を鮮明に思い出したとたん、

”、、、、。

 なっ、、、なんで、私、小鳥のえさみたいなごはん、食べてるんだっけ、、、?!”という思いが”ムクッ”とわいてきて、そのとたん、ごはんに入っているツブツブに何ともいえない違和感が、、、。

”そうちゃんのドタバタ劇”には、かなり笑わせてもらったけれど、今日は、なぜだか、そうちゃんの気持ちが手に取るほどよ~くわかる。

確かに、、、確かに、、、確かに気持ち悪い、、、。

                                                            

けれど、これまたフシギで、あの時のそうちゃんと全く一緒なのだけれど、”気持ち悪い・美味しくなさそう”というのは、実は頭の中で思うことであって、これがいざ実際、口にごはんを運んで食べてみると、特段まずいということはないのだ。

これが厄介なのだ。

このことは、脳にかなりの混乱をまねく。

                                                          

とにかく、目の前の十五穀米をひと口食べるたびに自分の中で”いろんなこと”が起こるのだ。

まずは、自然にわきたつ”気持ち悪い”という頭のイメージを払拭すべく、”いやいや、そんなことはない。 これ、健康にいいんだし、食べなくちゃ、、。”と自らに言い聞かせるが作業が不可欠。

でもって、その作業には、かなりのエネルギーを費やすにもかかわらず、思い切ってごはんをほお張ると、そうちゃんと同様、”、、、んっ?! 、、、決して、まずくはないよ、、、ね?”という拍子抜けの思い。

それから、なんとか気持ちをもち直して、”うんうん、美味しい美味しい。”と自分に思い込ませてはみるものの、ゴックンとごはんを飲み込んだとたん、また、”なーんだか、やっぱり、このツブツブがどうも気持ち悪い、、、。”という気持ちがわいてきて箸がすすまなくなってしまう。

、、、ということで、いつしか、

「”気持ち悪い”→”食べなくちゃ”→”美味しくないことはない。”→”美味しい”」という思いがワンセットになって、ひらすらに頭の中でローテーション。

                                                        

、、、いや~、こんなんじゃあ、面倒くさくてやってられない。

もはや、ごはんを美味しく食べるどころじゃなくなってくる。

とにかく、ごはんを食べるのにこんな無駄なエネルギーを使ったのは、久方ぶりだった。

6口目には、もうすでにクタクタに疲れきってしまった私。

、、、なにもこんな思いまでして、、、ヘルシー&ビューティになったって、、、トホホ、、、。

、、、ということで、見事に、十五穀米は、たった三日で退場となってしまったのだった。

                                                         

その十五穀米、キッチンの流しの下の引き出しで、ひっそりと次の出番を待っています。

、、、が、もう、日の目をみることはないでしょう。

次の日曜日あたり、余すところなく、公園の小鳥たちにプレゼントしようと思っております。。。

おしまい

                                                       

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三日坊主(3)

前回ブログのつづき

                                                            

さてさて、初めて十五穀米を目の前にしたそうちゃん(長男・12歳・知的障害アリ)のリアクションはと言うと、、、。

それは、長女(4歳)と次男(3歳)に比べると、かなり派手なものだった。。。

                                                             

自分のトレイにのっている十五穀米を目にしたそうちゃんは、無言で、カーペットを”ツーツーツーツーツーっ”と、すり足で妙な音をたてながらテーブルに恐る恐る近づいてきた。

そして、”これまでに見た事のない物体(十五穀米)”にすいよせられるようにして、しばし至近距離にて”ジーッ”と十五穀米を見つめた後、「ママ、いっ、、いやだ~~っ!!」と、かなり動揺しながら、まずはお決まりの文句から。

(新しい物、新しい環境、、、などが、とっても苦手なそうちゃん。

”その新しものがいったい何であるのか。”が理解できないので、”新しい○○”を、なかなかスムーズに受け入れることができない。

ことに食事に関しては、かなり“食感”というものを重視している模様。

ゴツゴツしたものやバサバサしたものは、ノーセンキュー。)

                                                            

しばらく観察した後、今度は、”十五穀米”の研究段階にはいった。

まずは、鼻をごはんすれすれまで近づけ、クンクンクンクン。

”香り”の研究はかなり時間をかけて行われた。

お次は、このごはんの”感触”を指先でチェック。

そして、今度は、なんとかこのナゾの物体(十五穀米)をごはんから取り除けないものか、、、と考えたそうちゃんは、指先でごはんの表面をつまみあげた。

が、しかし、ナゾの物体は、ごはんの表面だけでなく、完全にごはんに混ざりあっているため、途中で断念。

その時点で、”かなりの脅威”を感じたのか、そうちゃん、ずいぶんと大げさに腰がひけたかと思うと、次の瞬間、スタスターっと、ダイニングテーブルのイスではなく、カーペットの方に座り込んでしまった。

                                                             

笑っちゃいけないけれど、その一連の光景はかなりおかしかった。

私と長女と次男、思わず顔をあわせて笑いながら、私は、

「そっ、、、そうちゃん。

そ~んな驚くことないじゃないでしょ~?! 

ちょっと、ちょっとでいいから食べてごら~ん。」と言って、まずはイスに座らせた。

                                                           

まあ、私は、内心、”十五穀米は、そうちゃんにはムリかなあ、、、。”とは思っていた。

、、、というのも、普段から、そうちゃんは、かなりの”こだわり”がある。

そうちゃんは、ごはん(お米)を食べる時には、必ずふりかけをかける。

そのふりかけも、何でもよいというわけではなく、”丸美屋の混ぜ込みわかめ・梅じそ”しかダメ。

(他のふりかけは、食感や味の好みが合わないらしく、猛烈に拒否。)

炊き込みご飯にも、好きなものとキライなものがある。

(牡蠣ごはんやかしわごはん、きのこの炊き込みごはんは、だ~い好き。

でも、グリンピースごはんなんかは、キライ。)

十五穀米も、そうちゃんに”炊き込みご飯“としてグルーピングされれば、もしかしたら、食べるかも、、、?

                                                             

そんなことを思いながら、、、いよいよ、そうちゃん、注目のひと口目!!!

(私と長女と次男、もはや、そうちゃんの奇妙な行動にクギ付け。)

そうちゃん、”あともうちょっとで、そうちゃんの口に十五穀米が入る、、、!!”と思った瞬間、私たちの視線を感じてか、なぜか、食べるのを躊躇し、スプーンをお皿にもどす、、、。

、、、という動作を何度もして、もったいつけた後、とうとうひと口目がそうちゃんの口に!!

そうちゃんは、

”、、、、。 

たった今、頭で想像したのとは、ちょっと、、、ちがう、、、か?

まあ、好みではないまでも、食べられない程でもないか、、、。”というような、何ともいえない複雑な表情をしたあと、ひと言、「、、、うわっ、、、。」と力なく言った後、しばしの沈黙。

                                                         

二口目を口に入れる時も、もう一度、ごはんのツブツブをあらためて確認し、一瞬、ブルブルっと身ぶるいし、”気持ち悪~い”という表情をするものの、また、仕方なく口にいれると、

”、、、、、。 

まー、でも、食べられない程ではないか、、、。”という表情をして、今度は無言。

                                                              

しかし、三口目、同じ動作を繰り返した後、突然”ガバッ!!”と席を立ったかと思うと、「うわ~っ!!」。

そう言って今度は怒りをあらわにして、イスから転げるようにしてカーペットに座り込んだ。

もはや、”とても生理的に受け付けない、、、。 耐えられない!!”といった感じだったのだ。

                                                        

そうちゃんのまったくオーバーな(本人は必死であります。。。)”ドタバタ劇”のような風景を目の前に、私たちは思わずケタケタ笑ってしまった。

そして、そんなそうちゃんのためには、冷凍ごはんをチン。

その日の夕食は、こんな風に終わったのだった。

次回につづく

                                                            

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三日坊主(2)

前回ブログのつづき

                                                            

長女(4歳)に思いがけず、そんなこと(「なっちゃんが赤ちゃん産むころには、ママ、もう死んでるでしょ~?」)を言われたから、、、というわけではないけれど。。。

                                                       

次の日、買い物に行った八百屋さんで、レジの列に並んでいた時のこと。

ふと、私の目にとまったものは、”十五穀米”。

十五穀米といえば、私の中では(勝手に)、健康食品の代表選手。

、、、でありながら、大昔に一度、和食を食べに行ったお店で口にして以来、食べたことがなかった。

が、昨日、あんなことがあって、

”なんとか長生きしてみたいもんだ、、、しかも、人のお役にたてるくらいに元気モリモリで。”、、、と、一夜にしてすっかり欲深くなった私は、自然と棚に置いてある十五穀米の袋に手がのびた。

                                                           

その袋には、”ヘルシー&ビューティ”と太文字でうたっている。

「なになに、、、。」。

これは聞き捨てならん、、、。

健康と美が、たった大さじ何杯かお米に混ぜて炊くだけで手に入るというのかっ!!

”今までこれを食べずにきたことは、いったいどのくらい損失にあたいするものなのか、、、!!”、、、そんな気持ちにさえなりながら、これは買わねばっ!!

十五穀米を即座にポイと買い物カゴへ。。。

                                                              

さてさて、その夜、いよいよ炊飯の時間。

もちろん十五穀米を入れて、、、。

ごはんが炊き上がるのがあんなに楽しみだったのは、久々だった。

いったいどんな味なのか、、、!!

そして、どのくらい”ヘルシー&ビューティ”になれるものなのか!!

                                                             

炊き上がったら、まっさきにひと口食べてみた。

「う~ん、美味しい!! びっくり、びっくり!!」というのが私の感想。

なんとな~く敬遠していた十五穀米だったけれど、意外にも、こんなに美味しいものなのかっ!!

よしっ、うちも今日から十五穀米でいこう。

                                                             

さーて、子供たちは、いったいどんな反応をみせてくれるのだろうか。。。

私は、

「はーい、ごはんよ~。 

今日のごはんは、とっても美味しいよ~! 

あのね~、噛むと甘くて美味しいから食べてごら~ん。」と言いながら子供たちを席にさそった。

(平日のため、もちろんパパは食卓にはおりません。)

                                                          

サササーッとかけつけた子供たちは、まずは、しげしげとごはんに注目。

一瞬、なんとな~くイヤ~な空気が流れた後、長女がまず、けげんそうな顔をしながら、

「わっ、、、。 

ねえ、これ、なーに? 

なにごはん?」。

「なにごはんって、、、。 

十五穀米っていうのよっ!

 ちょっとー、食べてごらん! 

なんかねー、いつものごはんより甘いよ~!」と私。

すると、渋々ひと口ほおばった長女は、「、、、、。」。

なぜか、しばし絶句の後、「ぜんぜん甘くないよ、、、。 ねーママ、これ、キラ~イ。」と、バサリ。

                                                        

続いて、次男の反応に注目。

すると、次男は、ひと口も食べていないのに、すでに、

「ね~、ママ! 

はっくん(次男のこと)しゃー(さー)、このごはん、好きだよ~っ!」と、ニコニコ。

そして、お米に入っているつぶつぶを一粒一粒スプーンで拾い上げては、

「ねー、ママ、これは~?」。

「これはな~に?」

「じゃー、これは~?」と質問攻め。

                                                              

その質問に対し、丁寧に答えて、、、と言いたいところだが、実際は、「はーい、もちきび。」 「それ、丸麦。」 「はーい、紫米。」と、十五穀米の袋の裏に書いてある原材料名を、適当に棒読みしている私。

なにせ、十五種類入っているので、次男からの質問、なかなか終わらず、、、。

が、そのたびに次男、「あっ、しょう(そう)!!」と、満足気な顔はするものの、さっきから見ていると、いっこうに食べようとはしていない。

結局最後は、私にうながされ、ひと口は食べたけれど、すぐに、

「はっくん、これしゃー(これさあ)、好きなんだけどしゃー(さー)、今日はもう、ごちそうさま~。」。

次男、好みではないことは明らかだった。

                                                         

そして、問題のそうちゃん(長男・12歳・知的障害あり)は、、、!!

”問題の”、、、というのも、そうちゃん、障害のためか、とにかく、”新しいもの”が苦手。

新しい場所も、新しい環境も苦手。

もちろん、初めて食べる食べ物にも、人の何十倍も慎重。

そして、その日の十五穀米も例外ではなかった。。。

次回につづく

                                                            

P.S.

この間、テラスのお花を植え替えました。

マイスコップを片手に、はりきって土をまぜたり、お花を植えるのを手伝ってくれる長女に、「あー、なっちゃん(長女のこと)が手伝ってくれるから、ママ、助かる~。」と言うと、「ねー、ママ。 なっちゃん、赤ちゃんだった時は、寝てばっかりいて、なーんにもできなかったんでしょ?」と聞く。

だから、「まー、そりゃー、赤ちゃんの時はねー。。。」と、私が言うと、、、。

”フンフンフンフン”と静かにうなずきながら、スコップで土をすくう手をやすめることなく、「それじゃあ、ママ、一人で、大変だったでしょ~?!」と、私をねぎらうような口調で言うのでびっくり!!

一瞬、隣のおばちゃんと話してるのかと錯覚するくらい(笑)、その表情は大人っぽかったです。

”いっ、、、いつの間に、こんなに成長したんだろう、、、。”と、時おりハッとします。。。

                                                                                                                

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三日坊主(1)

きっと、今だけなんだろうなあ、、、。

長女(4歳)は、時おり、私にすりよってきては、

「ママ、だ~い好き。 

だいだいだいだい だ~い好き。

だから、なっちゃん(長女のこと)ね、ずーっとママのそばにいる!

小学校に行って卒業やったら、お仕事せんで、ずっと家にいる。

大きくなっても、ママのそばに、ずーっといる!!」

、、、なーんてことを言ってくれるのは。。。

けれど、長女のこんな甘い言葉にだけ、うかうかしているわけにはいかない。

、、、というのも。。。

                                                           

昨年の夏、私の祖母が亡くなった。

長女にとっては、ひいおばあちゃん。

ひいおばあちゃんが亡くなったとき、長女もお葬式に行ったので、その時初めて、長女なりに死というものを知った。

長女の中では、人は老いると、やがて髪が白くなり、そして死んでいく、、、ということがインプットされた模様。

(、、、とはいえ、時おり、見知らぬ街行く白い髪のおばあちゃんや、白い髪のおばあちゃんが写っている写真を見かけては、

「ねーねー、ママ。

あの白い髪のおばあちゃん、なっちゃんのひいおばあちゃんといっしょだね~。

ねー、あのさあ、だからさあ、もうすぐ死ぬんでしょ?」。

、、、なーんてことを場所をかまわず大~きな声で言ったりするので、グキッ!!

いや、、、確かに、髪が白くなればなるほど、実際そちらの方には向かっているわけで、、、それは、間違いではないだけに、、、余計に困るわけでありまして、、、。)

                                                             

で、この間は、こんなことがあった。

長女は、次男(3歳)と一緒に”おかあさんごっこ”をしていた。

なんでも、長女扮する”おかあさん”は、たいへんな子宝らしい。

子供が8人いて、お腹にはもう一人赤ちゃんがいるのだという。

そして、まもなく出産なのだそうだ。

                                                             

長女と次男のやりとりを見ながら、私は、ソファからビヨ~ンと横になったまま言った。

「ねーねー、なっちゃん。

なっちゃんもさー、大きくなったら、ホントに赤ちゃん、生まれるかもよ。

子供はいっぱいいた方が楽しいから、なっちゃん、たーくさん、産んで~。」。

すると、長女は、サッとふり向き、とても冷めた口調で言った。

「でもさ、なっちゃんが赤ちゃん産むころには、ママ、もう死んでるでしょ~?!」。

                                                             

、、、ドキッ!!

長女からいきなり、ものすごい変化球が飛んできたので、私は一瞬驚いて言葉につまったけれど、そのうちおかしくて吹きだした。

そして、

「、、、、やーだ~、なっちゃん!

 ママ、生きてるよ~。 

なっちゃんの赤ちゃんのお世話してあげるんだから、ちゃんと生きてるよ~!!」と言うと、長女は、”あ~ら、それは意外だ”とばかりに、目をパチパチしながら、

「えっ、、、ママさあ、なっちゃんが赤ちゃん産む時まで本当に生きてるの? 

まだ死んでないの??」。

                                                           

そんなにマジな顔して真正面から言われると、、、。

ちょ、、、ちょっと待った、、、。

そりゃ、人間の命なんてどうなるかわからないけれど、私には、少なくとも、そうちゃん(長男・12歳・知的障害アリ)とうお方がいるのだ。

だから、おいそれと死ぬわけにはいかない。

最低平均寿命までは、、、いやいや、、できれば、かなり長寿といわれるまでガンバって、いろいろ見届けたいと思っているのだが、、、。

                                                            

でも、待て待て、、、。

もし、仮に、長女が晩婚で、高齢も高齢、アッパーの高齢出産だったとしたら、、、?

そうしたら、もしかしたら長女の言うとおりになっていないとも言いきれないではないか。。。

                                                              

そしてまた、さらに、私の頭に疑問がよぎる。

そうだ、、、生きていることは生きているとは思う。

けれど、長女の命令(やれ、”ごはんを作ってくれ。” ”保育園へお迎えに行ってくれ” ”大至急、オムツを買ってきてくれ”、などなど。)に”サササッ”とこたえられるだけの、ちゃんと役に立つ人間でいられるかどうか、、、それは、わからない。

それには、足も腰も、そして、頭もしっかりしていなければならないのだから。

                                                             

ちょっと長女のおままごとに参加したがために、私は、そんなこんなを、結構マジに考えさせられたのだった。。。

次回につづく

                                                             

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辞め時(7・完)

前回ブログのつづき

                                                           

まもなく、憧れのピアノが家にやってきた。

自分で稼いだ、ありったけのお金をはたいて買った、ピアノ。。

                                                              

母・よしこは、ピアノが来た日、

「ちはる(私のこと)ちゃん、、、それにしても、思い切りがいいわね~、、、こんなの買っちゃって。 

でも、これで、貯金、すっからかんになっちゃったわね。

 、、、これでよかったのかしら~?」と、ちょっと心配そうに私に聞いたけれど、私は、すっぱりと言った。

「うん、いいの、いいの。 

また働いて、お金貯めるから!」。

                                                         

”会社を辞めた”と思ったら、なんということはない。

これからも、ちゃんと会社に行くのだから、お給料も、ちゃんともらえる。

うしししし、、、(笑)。

                                                          

も~う、私は、うれしくてうれしくて仕方なかった。

これで、あの喫茶店にわざわざ足を運ぶことなく、自分が好きな時に好きな曲を、このピアノに(自動演奏機能)弾いてもらえるのだ。

会社は忙しく、相変わらず一日中バタバタしていたけれど、この時間を楽しみに、頑張れる。

よしこもピアノが大好きなので、ピアノを置いているリビングで、私とよしこは二人、時間があれば、お茶をすすりながら、ピアノちゃん(、、、と、当時、私は、そう呼んでいた。)の弾いてくれる演奏に耳を傾け、うっとりした。

                                                             

そんな中、私が”会社、辞めたい! もっと自分には違う空間があるんじゃーないだろうか。。”と思っていた気持ちは次第に薄らいでいった。

そしてまた、私の気持ちだけでなく、会社もまた、ちょっとずつ時間とともに変わっていった。

環境や人も変わり、私にだんだんと余裕がでてきたのも加わり、”用事があるときは、すっぱりと早く仕事を終えられる会社”へと変わった。

                                                            

結局、私は、結婚するまでの約5年間、ずっと仕事を続けた。

(だんなさんが転勤族のため、これから先は、どこの地へ行ってもできる、母・よしこのようなエレクトーンやピアノを教える仕事をしたいなあ、、、。

そう思い、エレクトーンの勉強をするため、その時は、会社をすっぱり辞めた。)

                                                          

ちょうど入社2~3年目ごろ、私は、「明日にでも辞めちゃいたいわっ!」と思ったことが数えきれないくらいあった。

けれど、それが、本当に”辞め時”だったかは、結局のところ、だれにもわからない。

だって、いつの時も、大切なことは、今、すぐには、わからない。

自分の足元には、本当に大切なことは、落ちていない。

”本当に大切なこと”というのは、「まったくも~、やってらんないわー、、、。」とかなんとかブツブツ言いながらも、一歩一歩、前に歩き続けることによってのみ、その道の先の先に見えてくるものなのかもしれない。

                                                            

現に、よしこも、制服の胸のポケットにしまっていた”辞表”をゴミ箱にポイと捨て、仕事を続けた先に、私の父がいたのだ。

同じ職場で二人は出会い、そして、結婚した。

人生、わからないもんだなあ、、、。

                                                           

私も、あの5年間を、また経験したいと思っても、もう二度と同じ経験はできない。

会社で学んだのは、仕事ではなく、人生そのものだった、、、ということに気づいたのも、ごく最近のこと。

そして、あんなに大変と思っていたのに、すぎてしまえば、楽しかったことしか思い出せない。

だから、何事も、“辞めたい時”こそ、”ふんばりどころ”なのかもしれない。

                                                     

あの時、買ったピアノ。

今も私のそばに、ちゃんといます。

昔といっしょ、少しも輝きを失わないピアノちゃん、今も、本当にお世話になっています。

ずっと私を見守ってくれるかのように、リビングの南側、いちばん日当たりのよい場所を陣取って、いつもデンとしております。。。

おしまい

                                                           

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ちょっとブレイク

”辞め時”を読んでくださっているみな様、、、お疲れさまです。

そして、ありがとうございます。

間もなく話も終わると思いますので、気長におつきあいくださいませ。。

                                                           

さてさて、今日は、次男・3歳のお誕生日でした。

そして、今日は、そうちゃん(長男・12歳・知的障害アリ)が3歳になった時とも、長女(4歳)が3歳になった時とも、また一味違う気持ちでした。

感慨無量というのか、、、。

                                                          

私がブログを始めたのは、確か、次男が7ヶ月の時。

ま~、その頃といったら、赤ちゃん3人育てているような状態。

まー、どんな風だったかは、昔のブログを読んでくださっている方なら、すでにご存知かと思いますが、、、。

                                                          

人間一人の力(自分にできること)に、思いっきり限界を感じている私でしたから、土・日曜日のパパが会社がお休みの時だけが救い。

ネコの手だってかりたかったくらいなので、当然、パパの手も。

パパもいやおうなく、育児に参戦。

「ちょっと~、パパ~、○○して~。」

「パパ~、はーい、次は○○お願い~。」。

一日中そんな状態の中で、

「オレは、会社でも家でも、休む暇がない。。。」と、ぼやいていたパパ。

                                                              

でも、いつも、はっきり言っていたっけ。

「この3匹の子供を、平日も世話しないといけないとしたら、(パパ、平日は、いつも、子供たちが寝てしまった後に帰宅。)オレは、会社の方が、はるかにいい。

オレは、迷うことなく、会社を選ぶ。」と。

                                                           

そんなパパと私の合言葉が、”次男が3歳になるまでの辛抱やろ~!!”。

三人が三人、好き放題のことをしてくれる毎日。

とにかく、手がかかる。

まるで動物園で暮らしているような環境の中で、私とパパは、手をとりあって、涙ながらに(?)、何度そのスローガンを唱えたことか。。

                                                        

そして迎えた、今日、3歳のお誕生日。

本当、あの頃に比べたら、楽になりました~。

そして、末っ子というのは、本当にかわいいものです。

自分の最後の子供と思うからか、そうちゃんが健康に生まれていたら、いなかった(そうしたら、子供は二人だった気がします。)かもしれないと思うからか、、、。

今日は、次男が3歳になったのがうれしくてうれしくて、なぜか、家の窓ふきをがんばっちゃいました。

(もちろん、パパも動員。

これは、いまだ変わらず、、、<笑>。)

おかげで、ピカピカになりました。

                                                          

これからも、元気いっぱい、大きく大きく大きくな~れ!!

、、、と思います。

                                                             

P.S.

3歳になった次男に聞きました。

「3歳になって、どんな気持ち?

お兄ちゃんになった気持ちがする?」。

すると、次男は言いました。

「ううん、あのしゃー(あのさー)、お兄ちゃんになった気持ちはしゃー(さー)、しないんだけどしゃー(さー)、、、。

お姉ちゃんになった気持ちがしゃー(さー)、、、する。」。

、、、だそうです、はい、、、。

                                                       

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辞め時(6)

前回ブログのつづき

                                                        

さっきまでキッチンにいたまましゃべっていた、母・よしこも、私が座っている丸テーブルの方に来て座った。

「でさー、ママ、辞表をだして、会社辞めたの?」と私が聞くと、よしこは、「ううん、結局、辞めなかった。」と言って、一つ大きなため息をした。

                                                            

なんでも、”他によい職がないものか。。”と、いろいろ物色したものの、これといってピンとくるものを探しだせなかったらしい。

ならば、、、というので思い立ったのが、ずっと昔から自分が欲しかったピアノを自分のお給料を貯めて、買うことだったらしい。

“辞めたもの”と思って、そのまま仕事を続け、その代わりに、仕事で得たお金をピアノに使おうと思ったのだという。

                                                              

、、、そうか、、、そうだったのか、、、お給料とは、そのためのものだったのか!!

私も、”仕事が忙しくて余裕がない。 これじゃー、先が思いやられる。。”ということばかりにとらわれていたけれど、ちゃーんと、お給料というものをもらっていたではないか、、、。

当たり前のことだけれど、危うく忘れるところだった。

                                                              

お給料というものは、毎日、きつかったり、大変な思いをしたりするであろうことがわかっているにもかかわらず、雨の日も雪の日もかんかん照りの日も、ちゃーんと同じ時間に起きて、かっきり同じ時間に電車に乗り込み、きっちり同じ時間に会社に到着する者だけに与えられるもの。

(それを続けるためには、かなりの勇気と忍耐を要する、本当に。)

                                                             

そして、そのお金は、

”まったく毎日、お疲れさまです。 

苦労かけてすまないね~。 

ほんの気持ちだけれど、これで好きなものを買ってください、独身ならば、尚のこと。”というメッセージが含まれていたのだ。

                                                              

そもそも、マッサージしてもらったり、美容室で髪をきりに行く時のように、仕事が、”心地よいだけのこと”、”楽しくて楽しくてたまらないことだけ”だとしたら、お給料をもらうどころか、こちらからお金を払わなくちゃいけないことになる。

だから、それなりの苦しい思いをした、その代償がお給料なのだ。

                                                           

思えば、高校の時の部活なんて、あれほどまで、キツイ練習をしながら、びた一文、お給料はもらえなかった。

天びんにかけると、仕事より部活のがきつかったくらいなのに、、、。

                                                          

そう考えながら、私は、二階の自分の部屋にかけ上がった。

そして、机の引き出しを開け、お給料が振り込まれている通帳をさっそくチェック!!

それを見ながら、

”さ~て、買うぞ~! 買うぞ~!! 買うぞ~!!!”という気持ちがモリモリとわいてきた。

                                                          

私もそれから、”もう会社は辞めたもの”と思い、それからのお給料は自分へのご褒美として考えることにした。

そうだ、そのためには、さしあたって、大きな買い物をしなければならない。

”このためにだったら頑張れる!!” 

”これが私の苦労の結晶だ!!”ってものを、ぜひとも買わなければ!!

                                                           

私は考えに考えた。

そして、私が買ったのもの、、、。

それは、なぜか、よしこと同様、ピアノだったのだ。

それも、自動演奏機能のついたピアノ。。。

                                                           

当時、私は、会社のみんなとごはんを食べに行ったあと、よく行く喫茶店があった。

喫茶店といっても、かなり広く、ホテルのロビーのような雰囲気だった。

こげ茶色のフローリングの中央には、黒いグランドピアノ。

いつ行っても、自動演奏で勝手に鍵盤は動き、美しいピアノの音色を奏でている。

クラッシック、ジャズ、ポピュラー、、、いろんな演奏をピアノは弾いてくれた。

                                                           

私は、その喫茶店が大好きだった。

美味しいコーヒーとケーキとピアノ。

素敵なコンビネーションだった。

そのピアノの音に耳を傾けていると、自然と気持ちは癒され、気持ちがやわらかくなっていくのがわかる。

                                                           

けれど、時おり、そのピアノを眺めながら、幾度となく、私は”ハッ”とさせられた。

これが、私と姉が小さい頃、”どうか、ピアノを辞めさせてくれないか。”と母とケンカしながら、泣きながら懇願した時と同じピアノなのか、、、。

私が小さい頃、ピアノを弾くのがイヤでイヤで、自分の家の黒いピアノを足でボンボンけりながら、悪態をついて叩くように弾いていたのと同じピアノなのか、、、。

それを思い出すにつけ、私は、ピアノに対して、とんでもないことをしてしまったような、そんな気持ちにさせられた。

そして、ズキリと胸が痛んだ。

                                                              

でも、そのピアノと出会ったのを境に、私はピアノに魅かれ、たまらなく好きになってしまった。

だから、どうしても、今の自分のために、そして、これからの自分のためにも、自動演奏機能のついたピアノがほしかったのだ。。。

                                                              

次回へつづく

                                                              

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辞め時(5)

前回ブログのつづき

                                                             

その独特の慌しいオフィスの流れにのって、まずは仕事を覚えるだけでいっぱいいっぱいだった入社1年目。

                                                              

課の女性の先輩が一斉に他の課支社へ異動。私を含めて、まわりがほぼ”新人さん(入社したばっかりの人、又は、畑ちがいの課からきた人)”になってしまい、課は、わからない人だらけに。

みんなで泣きながら仕事をした2年目。

(いや~、あの頃は、毎日がハプニングの連続。

とにかく、目の前にある書類が、”What's this???”のものばかり。

”三人寄れば文殊の知恵”とばかりに、みんなで、たびたび書類の前に集合!

どういう風にこれから仕事をすすめていけばよいのか、考えあぐねたものです。

いや~、大変でしたー。。)

                                                         

そして、やっとこさ軌道にのりはじめたと思っていた頃、またまた課のメンバーが異動。

すごろくの”ふりだしにもどる”状態になってしまった3年目。

                                                            

まったく、、、。

せっかく、なんとかかんとかしのいできて、ようやく仕事の流れがわかり、”やっとこれから。。”という時に、また最初からやり直さなければならないことに、本当にがっくりだった。

せっかく今まで自分の中で築き上げてきたのものが、一日で”クシュッ”となくなってしまう気がしたものだ。

                                                             

組織の中で働くって、こういう事なのか、、、。

これじゃあ、”花のOL”どころか、”ボロ雑巾”だ。

そんなこんなを思いながら、

「あ~あ、もー、疲れるなあ。。。」と、またまた家のダイニングの丸テーブルに突っ伏して言った、その瞬間。

「辞めちゃいなさいよ~。」。

、、、と、いつかどこかで聞いた懐かしい言葉が、再び、母・よしこの口から飛び出した。

                                                          

「えっ、、、?」と私が頭をもたげると、よしこは言った。

「だいたい、ちはる(私のこと)ちゃんの会社、ひどい会社ね~。

ひどすぎるわよ~。

夜は毎日遅いし、仕事帰りに習い事しようだなんて、そんなんじゃー夢のまた夢ね。

まわりの人が異動したら、また忙しくなるんでしょ?!

そーんな、一生懸命やるだけ、バカバカしいわね~。

さっさと辞めちゃったら?

ママのお友達のお嬢さん、お給料がよくって海外旅行にしょっちゅう行ってたって聞いたから、いい会社だと思ってたけど、ちはる、とんでもなかったわねー!!

こんなに忙しいだなんて、ママ、知らなかったわ~。」。

(ああ、、、よしこ。

できることなら、肝心な、そこのところもしっかり聞いておいてほしかった、、、トホホ。。)

                                                        

そう言いながら、よしこはだんだん身をのりだして、しゃべり続けた。

「だいたいね~、ママがお勤めしてた時なんて、ちはるちゃんのようには忙しくなかったわよ~。

まだ明るいうちに仕事おわってたもの~。」。

「そうなの? いいなあ。。」私がボソッと言うと、

「それがねー!!

まー、毎日が暇で暇でね~。

たまらなくイヤだったのよ、会社が!」と、よしこ。。

                                                             

「えーっ、ママ、暇だったのにイヤだったの?」と私が言うと、よしこは、

「そーよー。 仕事という仕事もない日もあったわよ~。」。

「えーっ!! うらやまし~い。 

言ってみたいよ、そんなこと。」と私が言うと、よしこは鼻にシワをよせてブンブンと顔を左右に大きく振った。

                                                              

そして、

それがね~、つまらなかったのよー。

ま~、つまらなくてつまらなくて仕方なかったのよ~。 

毎日、なにか他にいい仕事がないものかって、ずっと思ってたわ。

もう、会社がイヤでイヤで、”いつ辞めようか、いつ辞めようか”って、毎日そればっかり思ってたわ。

だからね、ママ、いつも、辞表を持ち歩いてたの。」。

                                                           

話によると、よしこは、いつ辞めてもいいように、制服のポケットに”辞表”をしのばせていたのだという。

これを聞いたとき、”そんな恵まれた環境にあっても、そんなものか、、、。 人間はつくづく、欲深き動物よ~。”と思った。

きっと、どこで働いたとしても、”100%”は求められないものなのかもしれない。。

そして、このよしこが、はるかかなた昔、辞表を持ち歩いて仕事をしていた時があったのか、、、。

そう思うと、なんかおかしくなってゲラゲラ笑ってしまった。

                                                          

それにしても、、、。

そうかあ、、、そんなシンプルなことだったのかあ、、、。

私だって、辞表を持ち歩かないまでも、机の引き出しを”ガラガラっ”と開けて、辞表を”サラっ”と書いて、課長にそれを”スッ”と渡せば、”パッ”と辞めれるのだ、、、。

会社というものは、そんなに簡単に辞められるものだったのか、、、なるほどー。。

ははーん、それはいいことを聞いた。。

                                                    

”いつでも辞められる”、、、そう思っただけで、余裕なくセカセカしていた私の気持ちは、フシギと楽になった。

いつでも辞められるとなれば、まあ、そんなに慌てて”今日”である必要もないのだ。

そうだ、明日でも明後日でも、まあ来月でも、、、いやいや、あと半年くらいは頑張れる、、、。

そんな気持ちになってきた。

                                                            

そして、この後も、よしこのアドバイス(?)はつづく。。

                                                           

次回につづく

                                                            

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辞め時(4)

前回ブログのつづき

                                                           

学生の時は、授業中、時おり、窓の外を眺め”ボーッ”とする、なんとも豊かな時間があったけれど、入社したとたん、そんな時間はない。

(、、、いや、ないことはなかったか。。

たまに隣のオフィスビルを眺めるともなく見たら、隣の芝は、やたらと青くみえた。

驚いたのは、私たちのフロアーの人間と隣のオフィスビルの人間の”動作の速度”がまったく違ったこと。

私たちは、小走りくらいの速さで、フロアーをチャッチャッチャッチッ歩くのに対して、隣の方は、ゆったりゆったり歩く。

そして、3時になったら、なんだかどーも、”ラジオ体操”なんぞしているらしく、みんな、ペチャペチャおしゃべりしながら、そろって同じ動きをしていたりした。

のどかだった。

とにかく、こちらとあちらでは、まったく違う時間が流れているのだ。

「わ~っ、いいんだあー。。。」。

、、、そんな風に思いながら、お隣を見ることはあったけれど、外の景色に目をやって、なにか考えごとをするような時間は、全くなくなった。)

                                                            

そういえば、”花のOL”といえば、みんなで「ランチ、どこ行く?」と言いながらゾロゾロ。

毎日、次々と発掘した美味しいお店に、ごはんを食べに行けるものだと、私は、ずっと憧れていた。

が、実際は、これまた、私のイメージとはまったく違ったのだった。。。

                                                             

12時から13時までの1時間がお昼休みと決まっていた(基本的に)。

たった1時間という限られた時間にランチを食べに行き、そして、13時には、きっちり帰ってこなくてはならない。

こりゃ、忙しい。

だから、私としては、11時50分あたりから、午前中の仕事に切りをつけ、ソワソワしだし、、、。

みんな、12時になったとたん、猛烈なダッシュでスタートをきり、ランチへ急ぐものだと思っていた。

                                                           

、、、が、実際は、、、。

なにしろ、まわりの人は、12時になっても、まだ、目の前に積み重なった書類と向き合い、淡々と仕事を続行していたりする。

その間も電話は鳴り響き、本当はお昼休みだから電話にはでなくてもいいのだけれど(お昼休みには、ちゃんと”昼休み当番”がいて、そのお当番の人が電話にでることになっていた。)、”ほんのちょっとの仏心”のせいで、電話にひょっこりでたら最後、命とり(?)だったりする。

お昼休みは、その電話のおかげで、どんどんさらわれていく。

とにかく、そんなこんなで時間をとられたとしても、13時には、またちゃんと帰ってこなければならないのだ。

                                                              

ああ、、、。

思い起こせば、私が学生の時までは、”昼休み”だけは、保障されていた。

どんな退屈な授業でも、どんなに凍えるように寒く殺伐とした冬の教室ででも、

「ああ、、、あと○○分!

あと○○分でお昼休みがくる! 

次は、ごはんだ、ごはん!!」。

そう思いながら、壁にかけてある時計の長い針と短い針が”12”で合わさるのを心の中でカウントダウンしながら、”その時”がくることが、どれだけうれしかったことか、、、。

それがどれだけ私の心の支えとなり、元気をくれたことか!!

だから、入社して、”昼休み”がきっかりはじまらないことを知った時は、かなり衝撃であった、、、。

                                                            

私の会社のビルには、(確か、3階だったと思うけれど)社員食堂があった。

そこでお昼は、同期ごとに固まって席をとり、みんなで食べるシステム(?)になっていた

で、私の同期は、半数以上、、、いや、もっといっぱい、大多数の同期がお弁当を家から持ってきていた。

そういう事情もあって、結果、”外でランチ”ということは、ほとんどなかったのだった。

                                                          

、、、というわけで、”花のOL”のイメージがガラガラと崩れるまで、そう時間はかからなかった。。。

                                                        

次回へつづく

                                                          

P.S.

ところで、その頃、私がお昼、何を食べていたかというと、、、

ほとんどが、”パン”。

社員食堂でお弁当に並ぶことは稀で、ほとんどがパンだった。

私、実は、パンが大好き!!

そりゃー、”外でランチ”が夢でしたが、その夢が崩れたとなると、お次は、自ずと”パン”に向かいました。

JRの駅(会社の最寄り駅)構内には、たくさんのパン屋さんがあって、会社に行く途中にもパン屋さんがあったので、毎朝、電車にのっている段階から、”うん、、、。 今日は、あそこのパン屋さんに決定!!”と、早々決まっていました。

よく、朝、パン屋さんに入ると、不機嫌な顔でパンを無造作に選ぶ人を目にしましたが、私には、あの感覚、ちょっと信じられません。

私にとっては、毎朝、”今日は何にしよーかな~?!”と、パンを選ぶ時は、心ときめく瞬間だったからです。

そのくらい、パンが好きです。

よく、私が社員食堂で、お弁当を食べる同期にまぎれて、パンを食べていると、上司が、ニヤニヤしながら寄ってきたものです。

「またパン食べてる~(笑)! 

それにしても、よくそんなにうれしそうな顔して、パン食べられるね~。。」と言われたりしてました。

                                                          

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辞め時(3)

前回ブログのつづき

                                                             

、、、そういうことで、頻繁な母・よしこからの甘いささやき(「さっさと辞めちゃいなさいよ~。」)があったにもかかわらず、どういうわけか、私は部活を辞めることなく、高校三年の夏まで、しっかり続けたのだった。

お次は、私、”花のOL時代(?)”の時へと場面はうつる。。。

                                                             

そういえば、就職活動の際、いろんな会社があるので、”どこにしよーかな~。。。”と、漠然とした気持ちで、ほんのちょっと迷った私。

けれど、ここでもまた”よしこのささやき”がきいて、あっさり私の気持ちは決まることとなる。

                                                             

よしこの仲のよいお友達の娘さんもかつて勤めていたという、その会社。

なんでも、”お給料がよくってねー、休暇をとった時は、いつも海外旅行に行ってたんですってよ~。”と、よしこが言っていた。

そのよしこのひと言で、私は、その会社に迷わず決定!

なぜか自分でもびっくりするほど簡単に就職先を決めた。

                                                             

私の思い描いていた花のOL生活とは。。。

”まあ、たまに、「あら~ 今日は残業~!」なんて日があったとしても、それはまれで、たいていは17時定時退社。

アフターファイブは、エレクトーンのレッスンに通うのはもちろん、他にもチャレンジしたことのない習い事のオンパレード。

そして、週に一度、友達なんかとごはんを食べに行ったりする。

お正月明けの仕事はじめの日なんかは、休みも同然。

着物なんか着て行っちゃったりして、

「あけましておめでとうございまーす。 今年もよろしくお願いしまーす。」

なーんて言っているうちに、初仕事は終わり。

そのまま、新年会に繰り出す、優雅な日々。。。”。

、、、そんなアマアマな生活を疑わなかった。

さあさあ、ここから、花のOL生活の始まり、始まり~!!

                                                              

、、、のハズであった。

が、しかし、現実は厳しかった。。。