よしこと東京へ行く ~その3(完)

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よしこが立っている、道端のアイスクリーム屋さんのまわりを、キョロキョロ見回したが、次男(2歳)のベージュのベビーカーは見当たらない。

私は、母・よしこに、「べビーカー、どこに置き忘れたか覚えてる?」と聞いた。

すると、よしこは、「あらやだ、、、ママったらベビーカー、どこまで押してたかしら、、、?? 覚えてないわ、、、。」。

そして、「どーしましょ!! やだっ、ちはるちゃん(私のこと)のバック、ベビーカーに置きっぱなしだわ!!」。

                                                              

私は、「ちょっと見てくるから!」と言って、すぐそこにある、さっき立ち寄った(行列に並んだ)食べ物屋さんへ走り、お店の中をくまなく探した。

が、どこにもなかった。

店員さんに、ベビーカーが届けられていないか尋ねたが、このお店には、ベビーカーの忘れ物はないらしい。

”ベビーカーには、私のバックものっかっていること”を伝えると、「ああ、、、バックもですか、、、。」と、店員さんの声は急にトーンダウンした。

なんでも、落し物は、すべて、”落し物センター”に集められるシステムになっているらしいが、そこにも今のところ届けはないらしい。

                                                          

私は、よしこのところにもどり、そのことを伝えると、よしこは、ガックリとうなだれ、「ちはるちゃん、、、もう、バック、でてこないわよ、、、。 きっと盗られてるわよ、、、。」と言った。

、、、と、そばにいた姉が、突然、まるで刑事のような口調で、「ちはるちゃん! バックは何色? どんな形? 」と、ものすごい早口で私に聞いた。

私は、それにつられて早口で、「黒! 四角! このくらい(の大きさ)! ショルダー! プラダ!」と、せきたてられるように答えた。

それを聞いた姉は、次の瞬間ピューッと駆け出し、あっという間に私の視界から消えて、いなくなった。

                                                              

私のバックの中には、お金、クレジットカード、帰りの航空券、ホテルのキー、自宅のカギ、、、、と、とにかく大事な物は全て、入っていた。

よしこは、「ごめんなさいね~! もう、ママ、弁償するから!! こんなことになってしまうなんて、本当にどーしましょ!!」と言ってブルブルっと体をふるわせた。

私は、「もう少ししたら、”落し物センター”に届けられるかもしれないしさー、、、。」とは言ったものの、内心、”こりゃ、無理かもねー。。。”と、なかばあきらめの境地だった。

なにより、バックがでてこないとなると、まずは、カードをとめる作業、ホテルのキーの紛失届け、、、その他もろもろの手続きに時間をとられ、行列をはずれてまで楽しみにしていた夕食の時間は、さらに遅くなるだろう、、、そのことが、一番ショックだった。

                                                              

よしこは、ずっと、「ど~しましょ?! ど~しましょ?!」、そして、なぜか、「パパ(よしこのダンナ=私の父)に怒られるわ~!!」と言っては取り乱していた。

、、、かと思ったら、時おり、パッと冷静になり、「ね~、ね~、あのバックいくらだった?」 「お財布の中にお金はいくら入ってた?」 「せっかく格安航空券だったのに、あれって、普通に買うといくらかしら?」と私に聞き、よしこ得意の”そろばん”を頭ではじいている様子で、「ま~っ!! とんだ高い旅行になっちゃったわ~!!」とかなんとか、ぼやいていた。

                                                          

くるくると表情の変わるよしこを前に、”そういえば、り香ちゃん(姉のこと)は、いったいどこへ行っちゃったんだろう、、、??”という話になった。

”トイレにでもベビーカーを探しに行ったのかな?”と言ってしばらく待っていたが、姉はいっこうに、もどってこなかった。

                                                             

私は、「ちょっと、さっきのお店にもう一度行って聞いてくるね。」と言い残し、さっきの食べ物屋さんへ走った。

すると、店員さんは、また、”落し物センター”へ電話してくれた。

と、店員さん、電話を片手に「、、、あー、ないですか、、、。 、、、はっ? ベージュのベビーカーに黒のバック、、、えっ、、、ありましたか? 、、、はあ、で、今、お姉様がそちらに引き取りに来られたんですね、、、。」。

と、その時、姉から電話があり、「ちはるちゃん!! あったよ~!!」。

もうダメかもしれないとあきらめかけていたので、あの時は、本当に本当にうれしかった。

                                                             

ところで、姉は、どこへ行っていたかというと、、、。

姉は、ディズニーシーへは何度か訪れたことがあったため、当然、”ディズニーシーの出口”も頭にはいっていた。

もし、バックは盗まれたと想定して、、、。

おそらく”犯人”は、バックをかかえ、いちもくさんにディズニーシーをあとにするだろう、、、という読み。。

そこで、姉は、”犯人”を出口で張り込むため、出口を目指して全力疾走!

私の、”黒! 四角! このくらい! ショルダー! プラダ!”という暗号(?)を暗唱し、何回も復唱しながら、出口で”犯人”が現れるのを待っていたのだという。

”せっかく久々にちはるちゃんが東京へ遊びに来たのに、しょっぱなからバックを盗まれちゃあ、この旅行は台無しになる!! これは私が何とかせねば!!”と思い、とっさの行動となったらしい。

                                                              

で、姉が出口でジーッと待っていたら、向こうの方から黒いバックをのっけたベビーカーが出現!!

”とうとう現れた!!”とばかりに、姉は、忍者のごとく忍び寄り、、、。

すると、、、なんとベビーカーは、ディズニーシーの係員に押され、”落し物センター”に運ばれて行ったのだという。

ということで、姉が”落し物センター”にて引き取ることとなったのだった。

                                                           

しばらくして、姉は、満面の笑みをうかべ、ガッツポーズをしながらベビーカーをガラガラガラガラいわせながらもどって来た。

う~ん、このときほど姉が輝いて見えたことはない。

私は、時おり、姉のことを「り香ちゃんてさ~、男の中の男だねー。」と形容することがあるのだけれど、この時もまた、「やっぱりさー、男の中の男だよ!!」と言わずにはいられなかった。

                                                             

私たちは、それから、船にサッサと乗り込み、わき目も振らず、ホテルのレストランに向かった。

もちろん、その日の夕食のビュッフェ、”よしこのおごり”であったことは言うまでもない。。。

おしまい

                                                             

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よしこと東京へ行く ~その2

前回ブログのつづき

                                                          

私たちは、空港を早足で歩き、リムジンバスへ乗り込んだ。

目指せ、東京ディズニーシー。

ディズニーシーにあるホテルで、姉家族(姉<行正 り香:お料理やお菓子の本を出版しています。 妹の私が言うのもなんですが、最近、けっこう有名になってきました。。>と姉の二人の子供たち)と合流して、その日は、ホテルに宿泊するスケジュール。

                                                             

ホテルのエントランスに入って、びっくり。

吹き抜けのエントランスは、とってもオシャレで豪華。

その日は、トリプルルーム2部屋とったのだけれど、部屋は隣同士になっており、部屋の中から隣の部屋に行き来でき、子供たちもうれしくて、早くも追いかけっこして、大はしゃぎ。

そして、私と姉と母・よしこは、部屋の中を歩いてチェックしながら、「ね~っ、すごいね~!!」 「ね~っ、すごいよね~!!」を連発。

、、、で、なにが”すごい”のかというと、もちろん、”ステキなお部屋がすごい”というのもあるのだけれど、もっとすごかったのは、お値段の方。

                                                             

今回は、私が”ホテルと航空券の予約担当”だったのだけれど、旅行会社の格安ツアーを発見!!

航空券とホテル宿泊セットでいくらというものだったのだけれど、それが、思いのほか相当に安かったのだ。

安いだけに、行きも帰りも、飛行機は決められた便に、なにがなんでも乗らなくてはならないらしいが、それをのぞけば言う事なし。

私たち三人(私・姉・よしこ)は、”このホテルに泊まれてこの値段はすごい!!”とみんなでキャッキャ キャッキャと喜び、私は幹事として、その手柄をたたえられ、いい気分になった。

そして、”たまには、男抜き(父・私のダンナ・姉のダンナがいないこと)も、気楽でいいよね~!! 夕食はホテルで食べるとして、さあ、それまでディズニーシーで遊ぼう! 今日は思いっきり楽しんじゃおう!!”ということで、子供含めて総勢7名の女衆は(おっと、次男だけ男でした。。)異様な盛り上がりようだった。

                                                              

ホテルからは、直接ディズニーシーへ行けるようになっていた。

ディズニーシーのチケットをもって、ゾロゾロゾロゾロ。

手元にあるチケットは3枚。

私と姉とよしこの後を、チョロチョロチョロと姉の子供(長女4歳・次女2歳)と私の子供(長女3歳・次男2歳)が次々と”ゲート”をくぐる。

確か、、、4歳以上の子供は、子供用チケットがいるはずだが、姉の長女は、いつものように堂々と、”ノーチケット”でゲートをすりぬけた。

                                                         

そして、ディズニーシーへ一歩踏み入れたとたん、リーダーは、姉のり香さんへスイッチ。

姉は、ディズニーシーへは何回か行っているので、これから先の水先案内人は姉。

なんでも、すぐそこにとまっている船にのって、向こうの島みたいなところに行くのがいいらしい。

私たちは、船に乗り込んだ。

しばし遊覧を楽しんだ後、船をおり、ちょっと歩くと、おなかがグー。

「なんか、おなかすいたね、、、。」。

私がよしこに力なく言うと、よしこもなんだかお疲れの表情。

「あら、、、ちはるちゃん(私のこと)も? ママもさっきからおなかすいちゃって、何見ても同じ景色にしかみえないわ。」。

「だよねー、、、。」。

そう、私とよしこは、あまり時間がなかったので、お昼は、空港でパンを2つ食べただけだったのだ。

さっきから、姉が、「ね~っ、ディズニーシーってすごいでしょ~?」 「いいでしょ~?」を連発して、はりきって案内してくれているのに、私たち(私とよしこ)は、「んー。」とか「は~。」とか言うだけだったのは、おなかがすいているせいだったのだ。

                                                            

よしこと意見が一致した私は、ヨロヨロと歩きながら、とりあえず、その先に目に付いた食べ物屋さんで足をとめた。

で、何を食べさせてくれるところかはよくわからないまま、とりあえず、私とよしこは、引き寄せられるようにそのお店の中に入り、そして、とりあえず行列に並んでいた。

すると、水先案内人の姉が、行列の前にあるメニューの看板を見上げながら、「う~ん、、、やめとこうよ、ママ。 もう、この時間に何か食べちゃうと、夕食が美味しくなくなっちゃうから。」とボソッ。

あえなく却下、、、。

「そのかわり、ホテルに電話して、夕食の時間を早くしてもらおう。」と、姉。

私と母は、「そうだよね、、、。 もう、おなかすいちゃって倒れそうだけど、その方がごはんが美味しいもんね。。」と断念。

行列からはずれた。

                                                              

けれど、子供たちは、私たちが行列に並んだ時点で、何か美味しいものにありつけるぞとばかりに、さっさか席をみつけて座っていたので、”食べないことになった”ことにガックリ。

”じゃあ、さっき道端で売っていたアイスクリームが食べたい”ということになり、ミッキーのハートのケースに入ったアイスクリームを食べる事に。。。

で、その、アイスクリームを子供たちが食べている姿をうらやましく見ていた時、私は、ハッと、”異変”に気づいたのだった。

「ねー、、、ママ。 ベビーカーは、、、?」思わず私は、よしこに聞いた。

                                                              

よしこは、船をおりる時、”ちはるちゃん、バック重いから、ママが持っててあげる”と言って、私のショルダーバックをあずかってくれたのだ。

次男が歩かなくなった時のため、ベビーカーも持って行ったのだが、次男は、すこぶる元気。

歩く気マンマン。

ベビーカーに乗りたがらなかったので、よしこは、そのベビーカーの座席のところに、私のバックと自分のバックをのせ、移動していた。

で、今、アイスクリーム屋さんの前でふとよしこを見ると、よしこは、やけに身軽であることに気づいたのだ。

(さっきまで押していたベビーカーごと姿を消していた。)

自分(よしこ)のバックは、持っているものの、、、、!!

                                                        

私は、か細い声で、恐る恐る聞いた。

「ママ、、、ちはるのバックは?!」。

すると、よしこは、「、、、、、。 あらやだ! どうしちゃったかしら、、、!! あらやだ!!」。

、、、私のバック、、、どうしちゃったというのだ、、、??

どこへ行ってしまったのか、、、!!

ゾゾゾーっ。

あんなにゾクゾクっとしたのは、あの時が久々だった。。。

                                                              

次回につづく

                                                            

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よしこと東京へ行く ~その1

先月、久方ぶりに東京へ遊びに行った。

転勤のため、東京をあとにして、早9年。

東京には、私の姉や祖母や叔父がいるので、”遊びに行きたいなー。”とは、ずーっと前から思っていたのだけれど、なかなか行けず。。。

                                                            

、、、というのも、我が家のそうちゃん(長男・11歳・知的障害アリ)は、障害のため、日常とちがうリズムの生活になることが、とっても苦手。

飛行機に乗ることも、バス停にちゃんと並んでバスを待つことも、お腹がすいたからと、その辺のレストランにヒョイと入ることも、、、私たちにとっては何でもないことでも、彼にとっては、”予測のつかない、不安なこと”となり、混乱することになる。

だから、東京には、行きたいんだけれど、そうちゃんを連れては、無理だなあ。。

そうちゃんを施設に預けて行くにしても、せっかく東京へ行くんだから1泊じゃあね、、、。

まあ、2泊はしてもらわないとねえ、、、でも、今まで1泊しか預けたことないしなあ、、、。

なんて考えているうちに、なんとなーくズルッズルッと後ろ髪をひかれ、今日に至った。

                                                             

けれど、先月、ちょうど週末にかけて(木曜日~金曜日)、学校で宿泊学習というのがあって、そうちゃんはお泊りに行く機会があった。

だから、土・日曜日はパパにそうちゃんの子守りをお願いすれば、東京に3泊できることに!

「今こそ チャーンス!!」ということで行ってきた、9年ぶりの東京。

下のチビたち二人(長女・3歳 次男・2歳)を連れて、、、そして、よしこ(母)も一緒に、いざ、都へ。。

そうそう、でも、なぜか、よしこと旅行に行くと、いつもハプニングが続出。

で、今回もまた、ありましたありました、、、ハプニングが。。。

                                                            

長女と次男は、飛行機に乗るのは今回が初めて。

初めて乗れるとあって、二人ともワクワク。

けれど、いざ、飛行機に乗り込むと、少し緊張気味の面持ちに。

(座席は、最後尾から数えた方が早いほど、かなり後ろの席だった私たち。)

こんな時、フツウのおばあちゃんだったら、孫に向かって、「飛行機はねー、ビューンとお空を飛んで、楽しいのよ~。」とか何とか言って、孫たちの緊張をほぐすにちがいない。

けれど、よしこは、ちがった。

                                                              

毎月、、、とはいわないけれど、かなり頻繁に東京に遊びにいっている、よしこ。

家族の中では、飛行機に乗った回数で言えば、よしこがトップであることは、間違いない。

そのよしこが、通路はさんで私の右側に座っているよしこが、いつになく、神妙な面持ちで、何か言いたそうに、口をもごもごした。

私は、そんなよしこを見るとはなく見ていたら、突然、よしこは言った。

「なんか、、、ガソリン臭いわね。。」。

「そーお、、、??」という私に、よしこは、「なんか、ここ、やたらと後ろの席なのね、、、だからかしら? このへんにガソリンタンクがあるのかしらね、、、。」。

それを皮きりに、「どうして、こんなに臭いのかしら、、、。」。

「、、、まさかっ?! やだわ~! ママ、こわいわ~!!」と、手を胸にあてながらブルブルっと身震い。

                                                              

そして、それだけではすまなかったところが、さすがのよしこ。

”やーだー、ママ。 こわいこと、言うね~。” ”大丈夫でしょー。”と、のらりくらりと受け答えする私のリアクションに物足りなかったからか、よしこは、通路はさんで左前に座っている見ず知らずの乗客の方にも、大きな声で、話しかけた。

「ね~っ、臭いですよね~? 私、飛行機には何回も何回も乗ってますけれど、こんなことは初めてです。 いやっ、こわい、こわい! こわいわっ!!」。

そう言って、またもや、胸に手をあてながらブルブルっと大げさに身震いした。

私とチビ二人にだけ言うならともかく、、、。

その昔、声楽家を夢見たことがあるという、よしこのソプラノの声は、なるほど飛行機内で遠慮なく響きまくっていたので、他の乗客をも、ちょっと、、、いや、かなり、いや~な気にさせ、凍りつかせたのだった。

                                                           

でも、心配ご無用、そんなよしこの”予言”もなんのその。

よしこの期待(?)を裏切って、飛行機は無事、何事もなく羽田空港へ。

私は、久しぶりに東京の地を踏んだ。

でも、本当にブルブルっとさせられたのは、この後行った”東京ディズニーシー”でのハプニングであった。。。

                                                                次回へつづく

                                                          

P。S。

1ヶ月もアップしていなかったのに、”応援クリック”していただいた方々、どうもありがとうございます。

これからもマイペースながら、”月2回はアップ!!”していきたいと思います。。

(迷惑メールがくるため、現在、コメントは受け付けておりません。)

                                                        

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サンフランシスコとレッカー車<後編>

<前回ブログのつづき>

                                                           

走行中、さっきから定期的に、”ガックン ガックン”と、まるで脱穀機に乗っているかのような振動がある。

「ちょ、、、ちょっと、、、また怖くなってきたね、、、。」という私に、姉は、最初は、「う~ん、、、。」と言っただけだったが、突然、「ちはる(私のこと)ちゃん、、、。 ダメかも、、、。 もうそろそろこの車、止まるよ、、、。 サンタローザまでは帰り着かないよ、、、。」

姉は、明らかにひきつっていた。

そして、「ここでいったんハイウェイおりて、早く、暗くならないうちに、どこか泊まるところみつけなきゃ!、、、どうしよう、、どうしよう、、、。 こんな所に泊まるところなんかあるかな、、、?」と言った。

                                                       

私は、もしかしたら止まってしまうかもしれないこの車なんかよりも、今まで見たことのないような姉の焦った顔に驚き、ブルブルっと底冷えのようなものを感じた。

だって、姉は、タイに一人で旅行に行く時でさえ、”地球の歩き方”一冊小脇に抱え、あとはナップサックひとつ、ヒョイと背負って、まるで、隣町の公園にピクニックに行くような軽装で出かけるタイプ。

私と母・よしこの、「り香(姉のこと)ちゃん、、、。 荷物、もしかして、、、それだけ?? 最低いるものだけは持って行ったら?」というアドバイスに、「いるものは、むこうで買うから。 大丈夫、大丈夫。 じゃ、行ってきまーす!」と言って、まるで”寅さん”のようにフーッと出かけていた姉。

                                                         

その姉が、今、私の横で、私以上に焦っている。。。

「ハイウェイで車、動かなくなったら大変だから、下の道におりて、、、まあさあ、、、泊まる所なかったら、道は広いんだし、車をとめて、車の中で一泊しよっか?」と言う私に、姉はさらに表情を険しくしながら言った。

「ちはるちゃん、、、。 アメリカで、車に夜、りかたち二人で泊まるって事がどういうことかわかってないでしょー、、、。 日本とは違って治安が悪いから、どういう事になるかわからないんだよ。」

、、、それを聞いて、私は急に心細くなった。

まるで、アフリカのサバンナにポーンと身一つで投げ出されたような気持ちになった。

”そうかー。 そうなのかー。。。”

私は、ひとつ、大した勉強をした気持ちになり、ウンウンうなづいていた。

                                                               

ハイウェイをおりて、車がエンストを繰り返しながら道をまっすぐに進んでいくと、あったー、あったー、今日のお宿が!!

姉は、フーッと大きなため息をつき、「よかったー! よかったー! ちはるちゃん、り香たちラッキーだよー!!」と震えるような声で言った。

が、よく見ると、”MOTEL”という看板がある。

「ねーねー、り香ちゃーん。 ここ、MOTELだって。 なんか怪しげじゃない? どーする~? どこか他さがす~?」と言う私に、姉はあきれた顔をして、「ねー。。。 どこまでのんきなの? 泊まる所があっただけでもよかったと思わなきゃー! もう、この車、止まるよ。」と言った。

実際、2階建てのその建物は、中に入ると、怪しくとも何ともなく、快適だった。

ベッドにゴロンと二人で横になって、私は、”いや~ 今日はまったく、えらいめにあった~!”と思いながら、、、あっという間に寝てしまっていた。

                                                        

朝、起きると、べッドの横に座っている姉は、またまた、あまり見たことのないようなマジメな顔をしていた。

「ちはるちゃん、、、。 おはよー。 よく寝てたね、、、。 よく寝れたねー、、、。 本当にのんきだね。」と言った。

姉は、レッカー車を手配するために、電話で案内を聞いていたところだった。

ちょうど今、オペレーターの人が、電話番号を教えてくれるという時だった。

姉は、近くにメモ紙がなかったので、「ねっねっ、ちはるちゃん。 今から言う番号覚えておいて。」と、私にあわてて言いながら受話器を耳にあてた。

「seven,,,one,,,four,,,nine,,,two,,,,,,,」

そう言いながら、姉は私に目配せし、小声で、「覚えた??」と聞いた。

そう聞く姉に、私は、「ううん、、、ぜんぜん覚えない。 り香ちゃん、、、だって、ちはる、英語よくわかんないから。」と、首をブンブン横に振りながら、わけのわからない事を言っていた。

そう、私は、とにかく、起きてすぐで、半分は、まだ意識が夢の中にある状態だった。

「7、、、1、、、4、、、9、、、2、、、、、」と言われても、きっと覚えられなかったに違いない。

姉は、電話を切ったあと、「ちはるちゃん、、、大したもんだよ、、、この緊急時に。。。」と、今度はひどく感心された。

                                                      

朝食を食べたあと、間もなく、レッカー車がやってきた。

レッカー車は、車と私たちを修理工場へと連れて行ってくれた。

レッカー車の前の席に乗せてもらった私たち。

座高の高い車で、視点もすっかり変わり、私は、またまた新しいサンフランシスコの景色を味わった。

二人で運転席となりのシートに乗せてもらって、「サンフランシスコに来て、レッカー車に乗るとは思わなかったよねー!」と言いながら、私たちは、今までのどんよりした雰囲気から一転、かなり盛り上がり、ケッケッケッケッ、なぜか笑いがとまらなかった。

                                                         

私は、数日後に、日本へ帰ることになっており、帰る時は、シビックちゃんで、空港まで姉が送ってくれることになっていた。

で、だいたいの車の様子を整備士の方に見てもらい、姉は、「いつごろなおりますか?」と聞いた。

すると、「早ければ明日。 遅ければ3週間後くらい。」と言っているのがわかった。

今度は、寝ぼけていなかったので、よくわかった。

姉が整備士さんに、”妹が数日後に帰るので、なるべく急いでお願いできますか?”というような事を言ったが、その整備士さんは、両手をパ~ッと横にのばし、目を大きく見開きながら、「オッオ~、そーんな事を約束することなんてできないさー、ベイビー。 いつできるかなんて、神のみぞ知るって感じさ~、へッへー!」

、、、というような事を言っているらしかった。

ひえい~ さすがー。。。

アバウトだなー。。。

新しい土地を訪ねたり、その土地の食べ物を食べたりするのも海外旅行だけれど、こういう場面に遭遇する事が、一番、”う~ん 海外旅行に来た!”と実感するひと時だ。

                                                          

むろん、このシビックちゃん、私が滞在中に元気になってもどって来ることはなかった。。。

                                                           

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ジャンルを”子育て”に変えてみました。

この下をクリックしていただけると、シビックちゃんもきっと喜びます。。

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サンフランシスコとレッカー車<前編>

私は、学生卒業間近の頃、車の免許をとった。

雨の日も風の日も、送迎バスにゆられ、幾日も幾日も自動車学校に通って。。。

私の姉も、やはり、学生の頃、車の免許をとった。

ホームステイ先のアメリカで。

たった一日、試験会場に足を運んだだけで。。。

聞けば、アメリカは、車なしの生活なんて考えられないので、日本でいう自転車の感覚で、サッと家の車で練習して、パッと試験に受かれば、それでおしまいらしい。

                                                         

自動車学校に通っている最中の春休みに、私は、姉のところに遊びに行く事になった。

姉は、すでに車をのりまわして、学校に行ったり、買い物に行ったりしているらしい。

サンフランシスコ空港から姉に教えてもらった番号のバスに乗り、1時間ちょっと。

姉から教えてもらったバス停でおりると、姉は、そこに立っていた。

「ちはる(私のこと)ちゃん!」

ニコニコして叫ぶ姉の傍らには、1台の車が停まっていた。

ゴールドのホンダ・シビック。

”カッコイイ~!”

自分の姉ながら、そう思った。

姉は、もう自分で車を運転できるどころか、ちょっとくたびれた車ではあるけれど、すでにマイカーを持っているのだから!

「さあ、乗って~!」姉はドアを開けてくれた。

私は、胸がワクワクした。

幼い頃、姉がこぐ自転車の後ろに乗せてもらって以来の”ワクワク”だった。

だだっぴろい道、、、これなら、どこを走ってもスーイスイだ。

そりゃー、日本の自動車学校のように、”S字”や”クランク”など、そんなちまちました練習をする必要なんて、どこにもありゃしない。

私は、憧れのまなざしでウットリと姉を見ながら車に乗り込んだ。

車は快調に走り出す。

、、、が、、、。

キュキュキュキュキュキュー!!

”すっ、、、すごい!”

すべるがごとく、その広い広い道を猛スピードで車は駆け抜ける。

おまけに、姉は、カーブを曲がる時も、ブレーキをふんでスピードを落とす事はなかった。

右に左に体をワサワサ揺さぶられながら、私は、ひとつ、気になる事があり、姉に尋ねた。

「ねー、り香(姉のこと)ちゃん。 どうして、さっきからずっと、クラッチ踏んでるの?」

姉は、「クラッチ? 、、、はっ?」と言った。

まさか、、、。

クラッチという名前がピンときていないようだった。

なので、「それそれ、左足。 さっきからずっと踏んでない?」と言うと、姉は、「うん、踏んでるよー。」

そして、付け加えた。

「なに、これ、ずっと踏んでるものじゃないの?」

                                                    

”こっ 怖い!”

自分の姉ながら、そう思った。

当時は、今のように、オートマではなく、マニュアル車が主流だった。

私の自動車学校でも、マニュアル車だったので、私の記憶が正しければ、クラッチは、

ギアチェンジする時だけ踏むものだと教わり、、、そうしてきた。。。

(聞けば、姉は、ホストファミリーのお父さんの車で練習をしていたそうだ。

その車、フェアレディーZ。

スポーツタイプの高級車で、ギアチェンジが5速くらいあって、お父さんは、頻繁にギアをかえていたらしい。

、、、で、横で見ていた姉は、あたかもお父さんが、ずっとクラッチを踏んでいると思い込んでいたのだと言う、、、。)

                                                        

そんなドライバーの横に座り、ある日、サンフランシスコの街に出かけることになった。

サンフランシスコの街、、、そこは、テレビで見たとおり、電車が道の真ん中を走り、それはそれは急な傾斜のついた道が連なっていた。

急な上り坂。

”こんなところで信号変わったら、こわいよねー。”という所に限って、信号がサッと赤になる。

車は、坂道発進をするたびに、ズズズーーっと、必ずいったん後ろに下がり、ヨッコラショと動き出す。

このシビックちゃん、中古車で、なかなかネンキがはいっているだけあって、その坂は、かなりこたえるらしかった。

で、その坂道発進の時、”ブル、ブル、、ル、、、ルン。。”といっては、エンストしてしまう事が何回もあったりして、途中から、さすがに私も、まわりの景色がどーだ、街並みがこーだと言ってられないくらい、、、いやー、スリルだった。

                                                         

「怖いねー、この車。 り香ちゃん、ここで車が動かなくなったらどうするー? なんか汗でてきたよ。。」と言う私に、姉は、「大丈夫 大丈夫~!」と言って、ケラケラ笑った。

けれど、エンストはよくするけれど、何回かエンジンをかけると、シビックちゃんは、いつでも気を取り直してまた頑張ってくれたので、しばらくすると、だんだんとシビックちゃんを信用できるような気がしてきて、それからは、サンフランシスコの街並みを楽しめるようになった。

姉と街の中にあるレストランで、ちょっと早い夕食を食べ、「いや~ どうなる事かと思ったけど、今日は楽しかったね~!」と言いながら、一路、ホームステイ先のサンタローザへ。。

ハイウェイにのり、爽快、、、とまではいかないまでも、一生懸命、車は走っていた。

が、ここで、ついに信頼しきっていたシビックちゃんに異変が起きた。。。

                                                            

次回につづく。

                                                           

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このクリックするところ、カラーのバナーにしたいのですが、何度トライしてもうまくいかず、、、。

地味なグレーですので見落としてしまいそうですねー、、、。

いつかカラーになる日を夢見ております。。

どーぞよろしくおねがいしま~す。

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P.S.

”食卓の風景~”にたくさんコメントいただきました。

ありがとうございました!

私のほかにも、”ヘルパーさん”がたくさんいらっしゃる事を知り、安堵しました。

私も、これから、”キッチンドリンカー”ならぬ”キッチンイーター(?)”になって、しのいでいこうか、、、と思っています。。

                                                         

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旅のおみやげ~ヘンケルの爪きり

ヘンケルの爪きりでパッチン、、、パッチン、、、爪を切っていたら、そうそう、思い出しました!

                                                            

                                                            

私は、新婚旅行でヨーロッパに行ったけれど、ドイツはその時のツアーコースには入っていなかった。

この先、赤ちゃんが生まれたら、もうなかなか、海外旅行は難しくなるので、その前にぜひ、ドイツへ行ってみたかった。

そこで、私たちは、結婚二年目に、なけなしのお金をはたいて、ドイツ旅行へ行った。

パパ(ダンナさん)の仕事のスケジュールの関係で、8月のお盆の時期しかお休みがとれなかったのでその時期に。。。

お盆といえば、お正月に次いで、旅行代金も高い。

でも、今を逃したら、また、いつ行けるやらわからないので、ギリギリ、資金をかき集めた私たち。

(そんな事も知らず、母・よしこやりかちゃん(姉)は、「ちはるちゃん(私のこと)たち、ドイツ行くんだってー。お金持ちじゃなーい?!」と誤解していた。)

                                                                

私たちは、旅行代金を払ったら、ものの見事にスッカラカンになった。

だから、旅行中、ツアーバスがおみやげ店にとまっても、私たちには、先立つものがなかったので、停車時間が長すぎると感じるほどで、”おみやげ店には用なし!”といった感じだった。

お客さんの中には、バスがとまる度に、バスの中からすでに小走りで、急いでおみやげ店に入り、その都度、時計とにらみ合いながら、ものすごい勢いで買い物をして、フーフーいいながら、バスにもどってくる人たちもいた。

時には、もどって来なければいけない時間をオーバーして、バスガイドさんに厳重注意を受ける人もいたり。。

それを私たちは、バスの後部座席から眺めながら、お金がないということは、こんなにも、のびやかで、ゆったりしたものなのか、、、と語り合った。

                                                           

しかし、、、、。

このまま、まったくの手ぶらで帰るのもねえ、、、と思っていたその時。

バスガイドさんが、「こちらが、ヘンケルで有名な地方ですー。包丁とか、ハサミとかで有名ですよねー。」と言い、最後に、「ヘンケルの爪きりはオススメです。値段も安いし、よく切れます。重宝しますよー。一生ものです。」と言った。

                                                                       

私はコレだと思った。

安くて、一生ものだなんて、願ってもないっ!

私たちは、久々にバスからサササッと降り、ヘンケルの爪きり売り場へ直行し、家族みんなのおみやげにすることにした。

                                                  

                                                         

しかし、、、。

おみやげを受け取った家族の反応は、実に冷ややかなものだった。

カサカサっとした袋を、よしこに渡すと、ニッコリしながら、「何かしらー。。」と言い、その顔は”妙な期待”に満ちあふれていた。

瞬間、”げっ、これはマズイ。。”と思った。。

ソーっと袋から”爪きり”が顔をだすと、、、、よしこはポカンとして、「なーに これ? なーに ちはるちゃん?」と言った。

なーにって。。。

爪きりに決まっているではないか。。。

よしこは、”爪きりの形のペンダント”とでも思ったのだろうか、、、あっちに向けたり、こっちに向けたり、いろんな角度から眺めていた。

まさか、ドイツ旅行のおみやげが、これたった一つだけとは、にわかには信じがたい、といった風だった。

                                                               

姉はと言うと、、、袋を開けるなり、「なにこれ、、、。つめきり? つめきり??」と、私に何回も確認し、笑い転げていた。

「りかちゃん。。爪きりったって、ヘンケルの爪きりよ! よくきれるんだからっ。」と言ったが、「ヘンケル?あっホントだ。ヘンケルのマークがあるっ!これねっ、これ!」と言って、双子ちゃんが肩を組んでいるようなマークを指差し、ウケまくっていた。              

                                                            

                                                          

それから、しばらくの間、私は、家族中に、「ヘンケルさん!」「ヘンケルさん!」と呼ばれ、ケチ扱いされた。

その”ヘンケルさん”の隣には、当然のことながら、”ヘンケルさんのダンナさん”がいた。

彼は、いったいどんな風に感じたのだろう。

きっと、私と結婚したために、とんだ家族と合流する事になってしまった、、、と、悔いたにちがいない。

結婚してからというもの、ヘンケルさんのダンナさんは、私の家族の荒波(独特なペース)にすっぽりとのみこまれ続け、現在に至る。

                                                        

ちなみに、私の家用に買ったヘンケルの爪きりは、今なお健在。

切りごこちも抜群。

双子ちゃんたちも仲良くガッチリ肩を組み、ガイドさんの言う通り、一生使えそう。

ナイスなおみやげではないか。。。

                                                             

                                                     

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旅のおみやげ ~お葬式用バック

私が友人とシンガポールへ旅行へ行った時、母・よしこがリクエストしたおみやげとは、、、!!

                                                          

                                                                 

出発の前日、旅行カバンに荷物を詰めながら、私は、母・よしこに、「おみやげ、何がいーい?」と聞いた。

いつもなら、「00がいい。」「00買ってきてよー。」とおみやげ指定するよしこが、今回は、「おみやげなんていらないわよー。」と、しおらしい。

                                                                       

出発の朝、私は、靴をはきながら、”いってきます”と同じくらい気楽に、(もちろん、昨日と同じ答えを確信しながら)もう一度、よしこに、「おみやげ、何がいい?」と言い、”さあ、今こそシンガポールへっ!!”と、玄関のドアを開けようとしたその時、私の背後で、「ちはるちゃん(私のこと)、、、バックー。。」という、か細い声が聞こえた。

                                                           

よしこにしては、小さな声だったので、「えーっ? なーに?」と、振り返りながら言うと、今度は遠慮のない大きな声で、「あのー、バック。バックがいいわ!」と言う。

、、、まっ、でも、旅行に行くからには何かおみやげは買わないといけないので、物を指定してもらった方がありがたい。

                                                               

で、私は、「どんなのがいい?」と聞いた。

”どんなの”というのは、大きいのか、小さいのか、はたまた、どちらのブランドがいいのか、、、という意味だった。

なのに、よしこは、、、、。

「そうねー。。。お葬式のときつかえるバックがいいわー。」と言う。

「はあーっ??」私は、思わず声を大にした。

こちらは、これから急いで空港に行かないといけない。

”さあ、急がねば、、、、。”という、この出発の時になって、そんな難しい注文をされたって。。。

                                                                   

「お葬式用? どんなの? 大きいの?小さいの?」と、口早に聞くと、よしこは、「黒いの。」と言った。

、、、まさか、葬式用のバックがほしいと言われて、赤や黄色のバックを買って来る人はいるまい。

「ねっ、ママ。ちはる、急がなきゃいけないのよ。間に合わないから!

で、お葬式用のバックって、大きいのがいいの?」と、さらに口早に聞くと、よしこは、「ちはるちゃーん。お葬式用のバックに、そんなに大きいのはないわよー。ハハハ、、、。お葬式用のバックは、お葬式用のバックのサイズよー。」と笑った。

                                                                

                                                       

本当に、そんな”規格”があるものなのか。。。

私が知らないダケなのか。。。

でも、聞いておくれ。

私はこれから、東京へ遊びに行くのではないのだ、よしこ。。

私はこれから、飛行機に乗って、シンガポールへ行くのです。。

葬式用バックにそんな、”国際規格”というものがあるのですか、よしこ?

国によってお葬式のスタイルが違うのに、そんなの、あるハズもなく。。。

                                                                         

「えー、そんな事、今頃言われたって困っちゃうよー!」と、私は思わず言った。

そうムスメが言ったら、”あー、そうね。じゃ、なんでもいいわ。”と言うのがフツウだろう。

そうそう、よしこも確かに、そう言った。

「あー、そうね。じゃ、なんでもいいわ。」

でも、その後に、「お葬式用のバックなら。」と一言、付け加えた。

                                                   

だいたい、これからムスメが飛行機に乗ろうとしている時に、”お葬式用”だなんて、言ってくれるではないか、縁起でもない。。。

                                                            

                                                             

そして、私は、一路・シンガポールへ。。

ツアー旅行だったが、その”葬式用バック”のおかげで、おみやげ店にツアーバスがとまるたびに、私は、そのバックとやらを探しに行かなければならなかった。

何しろ、ツアー旅行というのは、せわしない。

常に時間との戦い、、、と言っても過言ではない。

「はい。じゃーこちらのお店で、おみやげなどお買い求めくださーい。バスの停車時間は20分となっておりまーす。

他の皆様にご迷惑がかかりますので、くれぐれも遅れる事のないよう、時間厳守でお願いいたしまーす。

では、ごゆっくり、行ってらっしゃいませー。」

ガイドさんはそう言ったが、ごゆっくりできるはずはない。

なにせ、こちらは、その20分の間に、トイレにも行かなくてはいけないし、そして、よしこのいう、”葬式用バック”も選ばなくてはならないのだ。

                                                                

私は、弾丸のごとくバスを降り、走り、バック売り場へと直行した。

そして、”黒くて、平たくて、細長い”という、私のイメージだけをたよりに、それらしきバックを物色し、店員さんに、「for funeral?」と聞いて回った。

おかしな日本人と思われていたに違いない。

バスは、何件かのおみやげ店に連れて行ってくれたが、そう簡単にバックをみつけることはできなかった。

途中、さすがに私も、せっかく旅行に来たのに、葬式バックでもなかろうと、アホらしくなってきて、結局、帰りの空港の免税店でバックを買った。

                                                             

帰ってから、そのバックをよしこに渡すと、「まー ありがとう!ちはるちゃん!!」と、とても喜んでくれたが、あのバック、ちゃんとお葬式用として使ってくれたのだろうか。。

その辺はかなり疑問だ。。。

                                                 

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棚からぼた餅

幸運は、時に突然にやってくる。  会社の知り合いの人が当たった”タイ旅行”に、なぜか、私と母・よしこが行った話。

                                                          

結婚する前、会社の同期の女の子とアルバイトさんと、一緒にお昼ごはんを食べていた時のこと。

同期は8人、それに、アルバイトさんは3人ほどいたので、テーブルはザワザワとしていた。

、、、と、突然、アルバイトさんの一人が、「私、タイ旅行が当たったの。」と言った。

つい最近、いつもは買わない、たまたま立ち寄ったショップで洋服を買ったら、くじの抽選券をもらい、くじをひいたら、当たったというのだ。

ふつうだったら、”わー!いいんだあ。。。うらやましー!!”

、、、、ということで話は終わると思うのだが、、、、終わらなかった。

                                                                      

「だれか、もらってくれなーい?」と言うのだ。

私が、「えっ。。。せっかく当たったのに、都合悪いの?」と聞くと、彼女は、「ううーん。会社は休もうと思えばお休みもらえると思うの。 でも、方角が悪いのよー。」と言う。

一瞬、私たち一同、ごはんを食べていた箸を思わず止め、”シーン”と静まり返った。

”ほっ、、、方角???”

                                                    

                                                    

占いだったのか、なにかの宗教だったのか、そのへんはすっかり忘れてしまったが、とにかく、”タイは、今、あなたにとって方角が悪いので、行かないほうがいい。”と、誰かに言われたらしい。

そのアルバイトさんは、私たち一人一人に、次々と、「ねー 行かない?」「行かない?」と言って聞いた。

ふつうだったら、「えっ いいの? 私、行く行く!!」ということになり、”じゃあ、誰が行くかジャンケン(?)ね”ということになり、話は終わると思うのだが、、、、終わらなかった。   

                                                                  

みんな、不気味な静けさを保ったまま、「行かない、、、。」「行かない、、、。」と首を横にふるばかりで、誰も行きたいと申し出る者はいなかったのだ。

それからしばらく沈黙となり、なんだか雰囲気まであやしくなりつつなる中、私は、「私さあ、、、行きたいな。。。」とポツリと言った。

                                                      

彼女は、「えっ ホント?? わー よかったー!!」と言って、心から喜んでくれていたけれど、私は、彼女とは課も違い、ほとんどお話したこともなかったので、「でも、私でいいの? だれかお友達に聞いてみたら? 行きたい人、いっぱいいるんじゃない?」と聞いてみた。

でも、「うーん、いないの。何人も聞いてみたけど、みんな、行かないって。」ときっぱり。

                                                                  

                                                                  

、、、、ということで、なんなく、”タイ旅行落札!”となった。

追加料金を払えば、誰でも旅行に参加できるということだったので、さっそく、母・よしこを誘うと、「行くわよー! 行く!行く! ちはるちゃん(私のこと)、一緒に行きましょー!!」ということになり、”まーまー! こんなこともあるのねー! タイは南? 東? 私たちは、どこの方角でも行っちゃいましょー!!”と言いながら、私たち親子は手をとりあってこの”棚ぼた”を喜び、大いに盛り上がった。           

                                                             

                                                                 

そのタイ旅行が素晴らしかった。

抽選で当たった旅行というだけあって、食事は最高に美味しいし、ホテルもゴージャス、生まれて初めてパラセーリングを楽しんだり、、、。

スタッフの方も大勢いて、至れり尽くせり、よしこと私は、家に帰ってくるまで、目が合っては、「最高だねー!」「最高だねー!」と言い続け、楽しくって笑いがとまらなかった。

                                                        

夜、よしこと一緒に”おかまバー”へ行けば、旅行を主催したオーナーの方が後で来て、「おっ いらっしゃいましたかー。じゃあ、ご一緒に。」ということになり、おごっていただき。。。

ホテルのラウンジに行けば、またまたオーナーの方が後から来て、「はー これはよくお会いしますねー。せっかくだからご一緒に。」ということになり、またまた”ごち”に。。。

私たちが行くところ、行くところ、フシギと一緒になり、、、、そういう意味でも、私たちは笑いがとまらなかった。

                                                                     

よく、”宝くじが当たる人は、一度でなく、何回も当たる”というが、そういえば、旅行に来ている人も、旅行が当たったのは、これが初めてではない、、、という人が多かった。

”なにか当たるときは、手のひらがムズムズっと、かゆくなるんですよー。”って言ってた人もいたっけ。。。

                                                                             

タイは、果物をはじめ、食べるもの食べるもの、どれも美味しく、また、本当にゆったりとした時間が流れていて、人もやさしく、大好きな国だった。

けれど、路上にはストリートチルドレンもたくさんいて、そのことは、私たちの胸を痛めた。

                                                        

 そして、よしこは、、、。                                                          

「ちはるちゃん、、、。ママ、もう贅沢はしないわ。。。あれが欲しい、これが欲しいと言っていたこと、恥ずかしく思うわ。 ママ、もう、何もいらない。。何も買わないわ。。

道中、肩をガックリおとし、涙を浮かべ、何度も何度もそう、私に言った。

、、、が、その舌の根もかわかぬうちに、帰りの空港の免税店にて、よしこは、バックだ、スカーフだ、金のネックレスだと、ものすごい勢いで買いまくっていた。

まー よくもまあ、、、とあきれもしたが、次々と買うその姿は、”潔さ”さえ感じるほどの、見事な買いっぷりであった。。。

                                                              

また、いつか行ってみたいなあ、、、タイ。

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大名旅行

<今日の話> そうちゃん(9才・♂・知的障害アリ)づれでも行ける”旅行”のノウハウ(?)

         の話。

                                                                                                                              

                                                                                                                           

我が家では、家族そろって外食したり、旅行したりするのが好きなので、よく行く。

、、、、と言いたいところだが、ゆっくり食事をしたり、出かけたりという、世間ではごくごく平凡な娯楽が、ひとたび”そうちゃん”が加わると、これがどーして、困難を極める。

ちょっと前までは、将来、そうちゃんと一緒に、ちゃんと外食に行けるようにと、トレーニングをかねて、時折、”気合”をいれて、くたくたに疲れるの覚悟で行ってみたりもしたものだが、トレーニングはいいが、夢かなう前に、私たちがくたびれ果てては元も子もないので、家族単独ではしばらく行くまい、私たちの健康のために、、、という事になった。

                                                          

                                                           

が、そうは思ってみても、時々、無性に旅行に行きたくなる。

旅館で浴衣を着て、ゆっくり温泉に入って、そして、客室に一品に一品運ばれてくる食事、、、たまらない。

                                                        

                                                            

ひとついい方法がある。

”大名旅行”である。

要するに、私たち家族だけではなく、私の方とパパの方の両ジジ・ババ、そして姉家族もまきこんで、大人数で旅行に行くのだ。

できるだけ、人数は多いほうがいい。

ぞろぞろ集団で行動するのが、この旅行の醍醐味だ。

                                                       

                                                        

人数が多いと、なにしろ楽しいし、私たち家族にとっては、得点がいっぱいだ。

そうちゃんは、どこへ行っても、”待つ”ということができないし、すぐに座り込んだりして、行きたいところへも、これがどうして、なかなかスムーズに到着しない。

大名旅行だと、チケットを買うときも、ホテルにチェックインするときも、食事をした後、お金を払うときも、てきぱきと動くのは、おおよそ集団のリーダー(だいたいその役は私の父がひきうける)ただ一人で、必ずや、ボーっと突っ立っているだけの”暇な人”が存在する。

一見、役に立っていない、その”暇な人”こそ、とっても役に立つ。

「あっ ちょっとトイレに行ってきまーす。」

「あっ おみやげ買ってきまーす。」

「お風呂に行ってきまーす。」

、、、、という言葉とともに、そうちゃんを差し出す。

”手伝ってもらえる人には手伝ってもらう”

障害のある子供を育てていくには、これこそ大切であり、また、基本中の基本だ。

                                                          

                                                          

食事のときのポイントは、個室を予約することだ。

ちょっとケチって、それを怠ると、後で痛い目にあう。

(そうちゃんは、食事が終わったら、すぐさま席を立ち、わき目もふらず、即・退場してしまう。)

個室もできれば、畳がよい。

畳だと、おもちゃや絵本をザッと広げられる。

後は、皆の衆の力をかりて、大船にのって、食事を楽しめるってわけだ。

なにしろ、そうちゃんが食事が終わっても、遊んでくれる人は数多くいるわけだから、ラクチンだ。

夜は夜で、子供が寝たら、じーやを部屋に呼び寄せ、「いっしょに寝てるだけでいいから。。」と言って、子守りをさせ、ホテルの喫茶店やラウンジへとくりだす。

                                                              

                                                         

ところで、この大名旅行のポイントは、”メンバー選び”に尽きる。

何をもテキパキと計画し、「はい、次はこちらでーす。」と、きびきび引率できるリーダーをぜひとも一人、選んでいただきたい。

そして、そのリーダーが、あっちかこっちか迷った時、「こっちにしましょ。」と、すぐさま言えるアドバイザーも一人必要だ。

なにしろ、こっちには障害のある子供が一人いる。

うだうだと迷っている間、子供を待たせる、、、なーんてことになると、機嫌をそこね、命取りだ。     

そして、一番大切なのは、残りのメンバーは、決してリーダーの決めたことに逆らわない、”従順な人間”を選ばなければいけない。

それなくしては、この大名旅行は成り立たない、と言っていい。

つまり、行列の3人目からは、笛でもふいたら、すぐさま集合し、「ピッ ピッ」というリズムにあわせて行進できるくらいの集団でなければならない。

そのポイントさえ気を付ければ、後は全てにおいてスムーズにいくこと、間違いなしだ。

                                                          

子供がいてゆっくり旅行が楽しめない、、、というひとにも、ぜひともお勧めしたいツアーだ。

 

      

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