耳鼻科・待合室にて

この間、次男(1歳)が初めて中耳炎に。。

その時に行った、病院での待合室での話。

                                                           

次男が、鼻をたらし、食欲もなく、よく耳をさわる。

まわりの人に、”中耳炎かもよ。”と指摘され、耳鼻科へ。

前に小児科へ行った時、たまたま隣に座っていた子供連れのお母さんが、”耳鼻科へ行くならここがいいですよ”と、評判の病院を教えてくれたので、そこへ。

なんでも、耳鼻科は、一度かかると、”毎日来てください”と言われ、なかなか長い付き合いになるらしい。

が、その耳鼻科は、バッチリ腕もよく、治療が終わったら、「もう来なくてよろしいっ!!」と、大きな声で、気持ちよくスパッと言ってくれ、きっぱりすっきり病院通いとサヨナラできるという。                 

                                                            

行くと、さすがに、人気の耳鼻科とあって、待合室には、人がぎっしり。

でも、人数の割には、サッササッサと次々名前が呼ばれ、思ったよりは、スムーズにリズミカルにすすんで行く。

とは言え、何せ、人数が人数だけに、それなりには待たされていた。

                                                            

待合室から診察室へは、ドア1枚あるだけで、そのドアも全開になっているため、診察室は、筒抜けだ。

どうやら、ほとんどの人が、風邪か鼻炎あたりで来ているらしい。

”鼻をチューッと管を入れてとってもらい、先生が「のどをあけて、”あーっ”って言ってー。」と言うと、「あーっ。」

その声と同時に、先生がチョチョイと、のどに何かをぬり、、、、その後、必ず、「オエっ」と言う声。

、、、と、このセットが、耳鼻科では人気のコースらしかった。

                                                           

待合室の壁には、大きな張り紙があった。

そこには、大きく太い文字で、「名前を呼ばれた時、いらっしゃらない場合は、その時点で、順番は最後となります。」と書いてある。

こんな張り紙を病院で見たのは、初めてだった。

どうりで、さっきから、看護婦さんが名前を呼ぶたびに、みんな、本を読んでいる手をやすめ、隣の人とおしゃべりしているのをやめ、耳をそばだて、聞き逃すまい、、、、と緊張感漂っていたはずだ。。

”なるほどねー。 さっ、私も、ウッカリとばされないようにしなくっちゃ。。”と思っていた矢先、、、、プーン。。

何やら私のそばで、怪しげなニオイが、、。

何食わぬ顔で、ご機嫌に笑っている次男を引き寄せ、怖いもの見たさで、次男のオムツをソーっと見ると、、、、臭い方(大)をしていた。

げーっ。。。

私は、受付の方に歩いていき、オムツをかえる所を尋ねたが、「あー、オムツかえるところねー、ないんですよー。 申し訳ありませーん。」とのこと。

                                                                 

えっ、、、そういうことなら、、、私の方こそ、申し訳ないかも。。。

もし、子供の頃、大好きだった人生ゲームの”ふりだしにもどる”だったら、畳をバンバンたたいて、キャーキャー悔しがりながらも、「はいはい、またここからね。」と、気持ちも新たに再出発できるが、この待合室では、残念ながら、そういうわけにはいかない。

今日、一日のスケジュールを考えると、オムツをかえに、外に出て行ったがために、順番がふりだしにもどる、、、なーんてことになって、ここで、これ以上時間を費やすことは、許されない。

もうそろそろ、次男にお呼びがかかる、、、というタイミングでもあったし。。

                                                        

私は、ひっそりと静々と待合室のイスにもどった。

もう、このまま、こうやって名前が呼ばれるのを待つしかない。

そうだ、、、私のひざの上にチョコンと次男を座らせ、“ニオイ封じ込め作戦”でいこうと、次男を羽交い絞めにしたが、そこは、なんてったって1歳児。

”ギーギー”と言いながら、体をくねらせ、何が何でも、私のひざから降りたがり、歩きたがった。

仕方なく、次男をはなすと、ヨチヨチと歩き回り、ニコニコと愛想をふりまきながら、見知らぬ人に、両手いっぱい広げ、ダッコまでせがんでいる。。。

”なにか、この、次男から放たれるニオイより、インパクトのある事が起こらない限り、この待合室のよどんだ空気は、なんとなーく気まずい雰囲気のまま、、、!”と思っていたその時。

突然、診察室がドタバタしはじめた。

、、、と、奥から、「お母さん! 頑張ってください!!」と、甲高い看護婦さんの声が聞こえた。

と思ったら、今度は、「お母さん! 動かないで! お願いだから動かないで!」 「危ないですよ!」と、看護婦さんの声も、二重奏となった。

                                                            

この時点で、待合室の皆の注目の対象は、次男から診察室のお母さんへと、ガラリとうつった。

そういえば、さっき、お母さんと息子さん(3歳くらい)が診察室へ入って行った。

中を見ると、子供は、診察台の横で、心配そうに、お母さんを静かに見守っている。

お母さんは、診察台の上で、首を左右にふりながら、バタバタしており、「先生! 先生! それ、どうするんですかー?!」 「えっ?? ムリです、ムリムリ!」 「キャー 死ぬー!」と叫んでいる。

その後、なだめるような、「ねー 大丈夫よー、お母さん。。 あのねー、これねー、幼稚園の子供でも、赤ちゃんでもできるとよー。 はいっ、動かないでっ!」という先生の声が、診察室をこだました。

                                                           

どうやら、そのお母さんは、鼻から耳に空気をおくる治療を受けているらしい。

この治療、私も一度経験があるが、どういうものかというと、金属の長い棒を鼻に入れて、その棒を通して流れてくる空気を耳におくるのだが、その棒の長いこと! 太いこと!、、、そして、痛いこと!!

エンピツほどは太くはないかもしれないが、間近でみると、十分、そのくらいはあるように見える。

その棒が、ありえないほど、鼻の奥に奥に入っていくのだ。

                                                           

それからまもなく、どうやら無事終わったらしく、そのお母さんは、ガックリと疲れ果てて、診察室から出て来た。

私は、このお母さんの気持ちがよーくわかるので、出て来たお母さんと手をとり合って、この治療の恐ろしさを分かち合いたい気持ちでいっぱいだった。

が、ちょうどその時、次男の名前が呼ばれた。

なので、あの、なんともいえない、”気まずいニオイのプレッシャー”から私を解放してくれた、そのお母さんとは、深く、深く、感謝の会釈だけしてのお別れとなった。。

                                                         

あらためて、、、お母さん、その節は、どうもありがとうございましたー。

                                                           

                                                          

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ナゾの病(唇・目 バージョン)

<今日の話> 姉は唇・私は目が、ある日突然ぼっこりとはれあがり、大騒ぎをした時の        

         話。

                                                               

                                                        

まずは姉の唇バージョンから。。

姉が、まだ大学生だったある日。。

私が朝起きて、眠い目をこすりながら階段をおりて、朝食をつくっている母・よしこに「おはよう、、、。」と言うと、よしこは、待ってましたとばかりに、卵をかき混ぜていた箸をとめ、ものすごい勢いでふりむき、「あーーーーーちはるちゃんっ!(私のこと)」と言う。

そして、「すごいのよ~! りかちゃん(姉)がすごいことになってるのっ!」と興奮している。

そんな、、、朝起きたばかりの私に、”姉がすごい事になっている”と言われたって。。。

”はあ、、、、、”と思いながら、ちょっと考えてみたが、、、まさか、この年になってオネショでもなかろう、、、と回らない頭を始動させようとは思ったが、ひらめかず、「はー どーいうことー?」と聞くのが精一杯だった。

よしこも、私があまりにもボーっとしているので、すかされた気持ちになった様子で、『いいから!いいから、とにかく、りかちゃんの部屋へ行ってごらん!」と言う。

                                                          

                                                      

せっかく今、2階から降りてきた私に、しかも、まだとても眠たいこの私に、また2階にある姉の部屋へ行くのに、階段をのぼれというのか。。。

そんな余計な体力を使う価値がいったいあるのか、、、と、階段に向かってクルリとふり向いたものの、始めの一歩が踏み出せず、またもや、ボーっと突っ立っていると、「行ってごらん!行ってごらん!唇!唇!」と言って、よしこが強引に背中を押すので、仕方なく、とぼりとぼりと登って行った。

                                                           

                                                             

階段は13段あったので、考える時間は十分にあったはずだが、”唇=すごいこと”、、、さっぱりわからなかった。

最後の一段を登り終え、恐る恐る姉の部屋のドアを開けると、姉はベッドに寝ていた。

問題の唇だが、姉は、すっぽりと布団をかぶって、スースー寝ていたので、おでこから上しか見えない。

この私の手で布団をはがさない限り、どんな風にスゴイのか見る事はできない。

開けてはいけないパンドラの箱を開けるようで、急に私の心臓はバクバクし始めた。

                                                       

                                                       

そろーり そろり 布団をはがした。

「ぎゃっっ!!」思わず私は飛び上がって、半歩下がったが、気を取り直して、もう一度よく見た。

どんな風かというと、唇が、普段の3倍くらいにプーっと、ふくれあがっている。

しかも、真っ赤になって、、、。

テレビで、”いかりやちょうすけ”の唇を真似して、わざと口につけている、ああいう唇を想像していただきたい。

「りかちゃん どうーしたの?!」と、騒ぎ立ててギャーギャー行ってる私に、姉は、「すごいでしょ。」と一言ボソッと言い、そして特段あわてた様子もなく「ねー。 りか、眠いからもうちょっと寝る。おやすみ。」とだけ言った。

今思えば、あの時からすでに、姉は、ちょっとやそっとの事では驚かない、大物であった。

                                                        

                                                          

下へ転げるように降りていった私は、興味深そうに待ちわびていたよしこと、手を取り合って、”姉の唇のこれから”について論議した。

が、騒いだ割には、いつもの唇になるまで時間はかからなかった。

姉が起きてきた頃には普通サイズとなっていた。。。

                                                                      

                                                           

                                                          

次は私の番で、目バージョンといきましょう。

それは、私が、OL時代のこと。

これまた何も変わらない普通のある日、ふっと夜中に目が覚めた。

どうして目が覚めたかわからないが、目が覚めた瞬間に、何か違和感を感じた。

ものすごく、まぶたが重く感じた。

気がつくとまた寝ていて、明け方くらいにまたもや目が覚めた。

”へっ なにこれ、、、?”と、ヨイショと体を起こして、ベッドの隣にあるドレッサーをのぞいた。

                                                       

                                                       

「、、、、はあっ???」

鏡に映った私の目は、ハチにさされたように真っ赤にはれあがって、、、お岩さんのようで、、、目が普段の4分の1くらいしか開いてなくって、、、。

それを見て、私は、ものすごく怖くなった。

”なに これ?”

でも、次の瞬間考え直した。

「いやいや、こんなことが現実であるわけがない。。。とすると、これは夢か。。。」

まだ外も暗い。

「寝よう。」

そして私も、、、寝た。

どこかで気になっていたのだろう、いつもなら、時計のベルがなっても決して起きる事のない私が、朝、すっと目覚めた。

夢であったに違いないが、一応確認、確認、、、と、鏡を見て、ボーゼンとした。

明るくなってよくよく見たら、そこには、ただごとじゃない私がいた。

はれあがっているどころではなく、目はほとんど開かない状態だった。

かゆいなら、何か虫にさされたともおもえるが、、、かゆくない。

片目なら、たまたまはれていると思えるが、、、片目ではない。

                                                      

                                                          

恐怖につつまれながら階段をおりていった。

自分が見てもこんなに驚くのに、まだゆっくり寝ているよしこや父が起きぬけに見たら、卒倒するかもしれない。

でも、まずは、知らせずにはいられなかった。

寝室へ行き、よしこを起こした。

「ねー見て。 目が、、、ほらっ!」と言うと、「どうしたの?」と言って、よしこは、ベッドからヌッと立ち上がった。

そして、私を見ると、びっくりぎょーてんした顔をして、「どうしちゃったの? どうしちゃったの、ちはるちゃん?!」

、、、、どうしちゃったのかを聞きに来たのは、私の方である。

                                                        

                                                        

よしこは、興奮して、どんどん声が大きくなる。

そして、「まー ちはるちゃんがこんな事になるなんてどーしようー!!」と、その場でうずくまった。

あまりの激しい騒ぎぶりに、どんどん不安になり、「ねー ママ。なにか病気じゃないよねー!!」と言うと、よしこは、「いや、病気でしょう。」ときっぱりと言い放った。

そして、さらに、「バセドー病じゃないの?!」と、早くも診断名までくだされた。

(もちろん、よしこは医師ではありません、、、あしからず。)

                                                     

                                                           

私は、とっさに、入院しなくちゃ、、、と思った。

今まで入院した事なんて一度もないこの私が、不本意にも、何の前ぶれもなく、、、入院。。

入院したら、当然、友達や会社の人がお見舞いに来るであろう。。

しかし、何しろ、自分が見ても恐ろしくて直視できないこの顔を、見舞い客に披露することになるのか、、、。

いや、ならんならん。

私が、この人には、、、と心許せる人以外は、よしこやりかちゃんを門番にして病室の前に立たせて、おっぱらってもらわなければいけない、、、そんな事が頭を駆けめぐっている時、父の枕元で時計のベルがなった。

父は、すっくとベッドから起き上がった。

今の今まで寝ていたらしく、スーッと私を素通りした。

よしこに呼び止められ、私の目を見るよう指示されると、私を見て、ただ一言、「病院へ行きなさい。」という、ズルッと拍子抜けするような、これ以上ないほどのシンプルな言葉を私にかけ、洗面所へと向かった。

                                                         

                                                        

その日、実は私は、会社に朝早くからでも、絶対に行かなきゃいけない日だった。

年に一度、課の仕事すべてを、外部の機関に検査されるという、ビッグイベントの日であった。

”そんなの、いつもの通り、ありのままを見てもらえばいーじゃないのー。。”という、私の考えとは裏はらに、その日のために、課長はもちろん、社員一同、ぴりぴりして資料を集めたり、、、いろいろ準備しなければならなかったのだ。

大変な作業を重ね、さあ、今日、この日にチェックされるぞ、という時に、、、。

「今日 会社休みます。」なんてとても言えない。

課長をはじめ、課の人々の鬼じゃのような顔が浮かんでは消えた。

が、”今日 会社へいこう”とも、到底思えなかった。

そこで私は電話で、上司に事情を説明して、「病院へ行ってから、急いで会社に行きます。」と言った。

なにしろ、バセドー病というものが、よしこの説明ではちっともよくわからない、、、確認しなくては、、、。

きっとおそろしくコワイ病気には違いなかろう。。。

                                                           

                                                        

さてさて、病院へ到着する頃、急激に私の目は回復しつつあった。

鏡を見ると、うっすらまぶたのところが、ちょっと赤くはれてるかな、、、という程度になっていた。

診察してくれた医師も、大丈夫でしょうと言い、「短時間であれ、こんなに目がはれることってあるんですか?」ときくと、「どうしたんでしょーねー?」という感じで、とうとう原因は闇に葬られた。

                                                         

                                                             

病院からでると、私は会社へと急いだ。

大切な日だから、、、というよりはむしろ、ほんのり赤いうちに、みんなに見せてあげなければ、、、と思った。

急がねば!!

                                                         

                                                          

会社へ着くと、みんなはバタバタ忙しく動いていた。

「おはようございます。遅くなって申し訳ありませんでした。」と深々とお辞儀をして、顔を上げると、みんなの目が一斉に私の目にそそがれた。

「だいじょう、、、、ぶ? へっ 目がなんとかって、、??」

みんなキョトンとしていた。

そうだ、、、もう目はすっかり普通にもどっていたのだ。

かつて、私が姉の唇を見る瞬間、ドキドキしたのと同じく、相当の期待をしていたはずだ。。

朝、私からの電話を受けた上司は、「ものすごくはれてるって言ってたよね??」と、課員の手前、私に大きな声で確認したが、証拠が消滅した今、何を話しても悲しく空回りするだけで、まったく説得力がないことに気付く。

いや、早くも、疑惑の目が私に注がれていたのは、明らかだった。

                                                       

姉の唇も、私の目も、それ以降異変はなく、真相は闇の中である。

 

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