いろんなボランティア

こんばんは~。

この間のパピーウォーカーの話のつづきになりますが、私が、デリアムを預かって2週間くらいたったある日、ピンポーン。

玄関を開けて、びっくり!

デリアムと瓜二つの子犬が2匹、私の目に飛び込んできました。

あとから、よ~くよ~く見ると、デリアムとは、目も鼻も口もぜんぜん違いましたが、パッと見は、まるで”三つ子”のようでした。

それもそのはず、私の前にいたのは、デリアムの兄弟だったのです。

たまたま、私の家の近く(、、、と言っても、歩いて30分くらいはかかりましたが)に、パピーウォーカーをしている方が二人いて、その日、犬の散歩がてら、私の家を訪ねて来てくれたのです。

                                                              

その犬を連れていたのは、一人は、おじいさん。

もう一人は、小学生のお子さんがいるというお母さん。

しばし、”兄弟の再会”をデリアムたちは楽しんだ後、おじいさんに、「今度、デリアムを連れて、うちに遊びに来てください。 みんなでまた会いましょう。」というお誘いをうけ、その日は、さよならとなりました。

                                                             

それから少したって、私とデリアムは、おじいさんの家に遊びに行きました。

おじいさんの家は、お孫さんが何人もいる、ワイワイとにぎやかな家でした。

そのおじいさん、パピーウォーカーを引き受けて、もう、これで8回目だと聞き、びっくり。

もう一人の方(お母さん)も、今回で3回目、と言っていた記憶があります。

おじいさんの家でしばらく過ごした後、近くに犬同伴でもオッケーという喫茶店があるということで、私たちは、ゾロゾロと犬を引き連れて歩いていきました。

三匹ともヤンチャ盛りで、テーブルの下ですったもんだありましたが、こういう経験を、犬が小さい時からさせておくことが大切だと、おじいさんは言っていました。

回数を重ねても、やがてくる、犬との別れが辛くないはずがありません。

なのに、こうやって、自分の貴重な時間をさいてボランティアを続け、そして、なにより、楽しく犬と暮らしているおじいさんは、とても魅力的でした。

                                                           

私も、パピーウォーカーをして初めて知った事ですが、盲導犬育成に関わるボランティアは、パピーウォーカーだけではなく、他にもいくつかあります。

”お母さん犬”を預かるボランティアもあります。

これは、お母さん犬(このお母さん犬から、将来、盲導犬をめざすための子犬が生まれます。)をずっと預かり、赤ちゃんが生まれる時は、その出産のお世話をし、子犬がパピーウォーカーの手に渡るまでの約2ヶ月間、生まれた子犬全員の面倒もみるのです。

(ラブラドールレトリバーは、大きな犬なので、子犬も7~8匹生まれるようです。)

それから、リタイア犬を引き取るボランティア。

これは、盲導犬として仕事を終えた犬を家に引き取り、世話をするものです。

それから、もう一つは、デリアムのように、盲導犬としての適正がないと判断された犬を引き取って、自分の家の犬として育てるというボランティアです。

どのボランティアも、そのおじいさんのように、何度も何度も(何年も)続けている方が多い事に、驚きました。

                                                                     

街でばったり盲導犬に会うと、今でも、あの時のデリアムを思い出して、ハッとします。

そして、この盲導犬には、たくさんの人たちがかかわって、それぞれが、いろんな思いをこの犬に託してきたんだろうなあ、、、と、いつもしみじみ思います。

出会って、別れて、出会って、別れて、、、、を何回も続けて、今までいろいろあったはずなのに、ペタンと座り込んで、ちょっと上目づかいに、「ねっ、ボクも結構、これで、タイヘンなんだから~。。」という、余裕の表情をみせるこの犬に、今も私は魅せられています。

                                                             

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パピーウォーカー(3/3)

前回ブログのつづき

                                                     

ちょうど、デリアムの住んでいる家が、ダンナさんの実家の近くにあることがわかったのだ。

で、たまたま、そのお家の方と電話でお話しする機会があり、私が、”今度、里帰りする”という話になると、「、、、、会いたいでしょう? デリアムがあなたの姿を見て、思い出すといけないから、近くで会わせてあげることはできないけれど、遠くからだったらいいわよ。 会いに来ない?」と言ってくださった。

                                                                 

里帰りした日、私は、まっさきに、デリアムのところへ飛んで行った。

庭の広い、洋風の大きな家だった。

その家の門の前に立った時、ここに、あのデリアムがいるのかと思うと、心臓がバクバクして、早くも涙がでてきた。

                                                        

大きなリビングに案内され、窓越しから見るデリアム。

デリアムは、お母さん犬や他の犬たちと一緒にじゃれて、庭を駆け回っていた。

ちょっと見ないうちに、見違えてるほど大きくなっていた。

でも、ヤンチャなデリアムはヤンチャな顔をしたまま、確かに、あのデリアムだった。

私とダンナさんは、カーテン越しに、隠れながらも、しっかりへばりついて、デリアムを見た。

もう、一生会えないと思っていた。

なのに、今日こうやって会えた喜びと、今日限りで、今度こそ一生会えないという思いが入りまじって、複雑な涙になった。

                                                        

しばらく、お家の方といろいろ話して、そろそろ失礼しようと立ち上がり、玄関に向かっていたその時。

「あっ ダメ! デリアム!!」

私の後ろにいたお家の方が、”しまった!!”というような大きい声で叫んだ。

デリアムが、裏口から部屋の中に入ってきてしまったらしく、デリアムは、お母さん犬と一緒に私の方へ、まっすぐに向かって来た。

私は、本当は、一度手放したら会ってはいけないところを、ちょっとだけ、遠くから見るだけ、、、という約束で、こうやって会いに来たのだったから、デリアムが近づいて来る姿を見て、一瞬、焦って固まった。

”どーしよう、、、。 せっかく今の生活に慣れたのに、デリアムがとりみだすことになったら!!”

瞬間、今日会いに来たことを、後悔さえした。

                                                               

、、、、が。

デリアムは、私とダンナさんの横をスーッと通過。

で、確かに、ふり向き、見るとはなく私たちを見た。

私としっかり目もあった。

にもかかわらず、なーんの感情もわかないらしく、ただ通りがかりの人を見る目で、チロッと私たちを見た。

「えっ??????」

お家の方も、それを見て、「はっ?????」

ダンナさんも、「へっ?????」

意外だった。

                                                            

天動説と地動説。

どちらがホントかわからなかった時は、ヤイヤヤイヤと、多いに意見がとりかわされた事だろう。

私たちもまた、帰りの車の中で、”単純に、デリアムは、もう、私たちのことを、きれいさっぱり忘れてしまった説”と、”私たちと別れた事が、あまりにショックで、記憶喪失になってしまった説”の二つの説をめぐって、あーだらーこーだらーと、多いに意見をとりかわした。

が、ひとしきり話した後、ガックリと体の力が抜け、私にしては珍しく、なにもしゃべらずに、ただ遠くの景色を眺めるしかなかった。

、、、ナゾは深まるばかりだった。。

この時ほど、キツネにつままれたような気持ちになったこともなかった。。

でも、こういう性格だからこそ、盲導犬になる素質があるのかもしれない。

(盲導犬になるまでには、何回も飼い主が変わることになるのだから。)

                                                                   

デリアムと一緒に暮らしていた頃、「盲導犬になるって、大変なことだろうね、犬にとっては、、、。 デリアム、なんか、かわいそうだねー。。」と、まわりの人は、時折、口にしたけれど、私は、そんな風に思ったことはなかった。

飼い犬として、普通に飼われることも幸せだと思う。

でも、自分のことを心から求めてくれる人のそばで、犬としてではなく、パートナーとして生きることも幸せなんじゃないかなあ、、、と思った。

そういう人生もあっていいのではないかと思った。

                                                               

風のたよりで、デリアムは訓練の結果、盲導犬には適さないということで、盲導犬にはなれなかったと聞いた。

「あ、、、そうなんだ、、、。」

それを聞いて、私は、正直、残念に思った。

あのまま、私が途中手放さずに育てていたら、結果はちがったのかなあ、、、。

けれど、ふーーっ。

大きなため息をひとつして、ホッとしたのも事実だった。

                                                             

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パピーウォーカー(2/3)

前回ブログのつづき

                                                  

”一軒家でも、ぜんぜん怖くない。”という人もいるけれど、私は苦手。

私の家は、閑静な住宅地にあり、夜は、物音ひとつしないような、シ~ンとしたところだった。

「キャー 助けて~!」と叫んでも、どこにも私の声は、届かないようなところ。

家族でたくさん、ワイワイして住むにはいいけれど、結婚してすぐに、特に、ダンナの帰りが遅い”怖がり”が、ひっそり住むようなところではなかった。

で、なぜか、私の家のまわりには高齢者が多く、右隣の家のおばあさんのところは、ときどき息子さんが遊びにくるけれど、ほぼ、一人暮らし。

なので、夕方5時になると、雨戸という雨戸をピシャーっと閉めるようなお家。

左隣は、空き地。

で、道路はさんで前の家は、やはり、おばあさんがネコといっしょに、一人で住んでいた。

だから、夜になると、あたりはひっそりと静まり返り、家の中の明かりもどこへやら、完全にシャットアウトされるような家々に囲まれていたので、真っ暗になった。

                                                            

”空き巣”も大流行していて、近所の母の友人宅は、みんな、一度は、空き巣にやられていた。

まあ、空き巣ならよいのだけれど、私の家の斜め前の家なんか、おばさんが、朝方トイレへ行こうと、テクテク廊下を歩いていたところ、泥棒とばったり鉢合わせになって、そりゃーもー、驚いたどころの話じゃーなかったらしい。

その日、その斜め前の家に駆けつけた警察の人がピンポーン。

私の家にやって来た。

ドアを開けると、サーッと玄関まわりを見渡しながら、

「前の家、ねっ、泥棒入りましたからー。 お宅も、木がうっそうとしていて、危ないですよ~、泥棒。

こういう家が一番ねらわれやすいんです。

あなた、この家にお一人?

まっ、せいぜい、戸締りでもして、気をつけてください。」

と言い、「じゃ、失礼します。」と言って門扉を閉める前に、もう一度、かみしめるように、サーッと庭を見渡したかと思うと、首をヒョコっとひねりながら、小声で、「や~、、、危ないなー、ここも、、、。」と、ひとこと付け加えることを忘れなかった。

そんなこと言われたって、、、。

こういう話は、”怪談”といっしょで、話を聞いたその時より、ちょっと時間がたって、暗くなってきた頃、ゾゾゾーっと、恐ろしさが加速してくるものだ。

それからしばらくは、夜になると、ドクドクドクドク、私の心臓は高鳴った。

                                                                            

そんな中、だんだんと体も大きくなるデリアムがいてくれることは、用心棒にもなって、頼もしかった。

でも、夜中(1時とか2時とか)、まだダンナさんが帰ってこない時に、”トイレに行きたい!”とデリアムに言われた時には、さすがにサーッ。

血の気がひいた。

デリアムを庭に放して、”さー トイレに行っておいでー!”と言えれば楽だけど、その頃、デリアムは、塀をのり越えて、スキあらば脱走を考えているらしかった。

それがそばで見ていて、手にとるようにわかったので、他人様の犬を預かっている身としては、夜中に脱走なんてされるわけにもいかず、、、。

ということで、そんな真夜中にも、首にロープをつけて、暗い暗い庭にでて、「ワンツー ワンツー。」、、、泣く泣く、連れて行くしかなかった。

今思い出しても、ひえ~ こわかった!!

                                                              

そんなこんなのデリアムとの生活に、思いがけず、幕を閉じなければならない日がやってきた。

たった5ヶ月だった。。

予想外のダンナさんの東京への転勤。

転勤の辞令がおりて、1週間後には引越ししなければならなかった。

デリアムを残して遠い地に行かなくてはならないなんて、、、。

決められた期間、飼える予定で引き受けたパピーウォーカーだったので、途中で手放さなければならなくなった事が、本当に申し訳なかった。

残念で仕方なかった。

                                                                  

デリアムは、訓練をはじめるには、まだ時期が早いということで、訓練がはじまる日まで、自分のお母さん犬(デリアムの生みの親)のいるお家に引きとられることになった。

もうこれで一生デリアムと会うことができないかと思うと、その悲しみは、覚悟はしていたけれど、想像以上のものだった。

涙、涙、涙だった。

東京へ行ってからも、せつない気持ちは、つのるばかりで、私は、ピアノを弾きながら、”デリアムの歌”(へたっぴな歌)をつくり、毎日、メチャクチャな歌詞で歌っては、泣き、また歌った。

                                                                                     

後から聞いた話では、デリアムも、私と別れてからしばくは、ガックリとうなだれ、まったく元気がなくなり、血まで吐いたそうだ、、、。

デリアムと別れてから4ヶ月後、思ってもみなかったことだったけれど、私は、デリアムと再会することになる。。。

                                                               

次回につづく

                                                         

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パピーウォーカー(1/3)

結婚してまもない頃した、パピーウォーカー。

ほんのひと時だったけれど、いっしょに暮らした”デリアム”。

今も元気だったら、12歳のおじいさん。

デリアム、どうしてるかなあ。。。

                                                               

パピーウォーカーは、将来、盲導犬をめざす子犬を、訓練がはじまる日まで、一般の家庭で預かるもの。

ある日、夜遅く、テレビをつけたら、パピーウォーカーの番組があっていた。

私は、犬、、、特に大型犬が好き。

あー、、、。 いつかまた、犬が飼える日がきたらいいなあ。。”そう思いながら見ていた。

と、突然、番組の終わりに、”パピーウォーカー募集中です!”という事で、問合せ先が紹介されたので、私は、あわてて、近くにあった紙にメモして、さっそく次の日の朝、電話して申し込んだ。

(ちょうどその時、私は一軒家に住んでいたので、犬を飼うには、もってこいだった。

転勤族なので、もう犬は、一生飼えないとあきらめていたのだけれど、こういう形で、短い間でも犬と一緒に暮らせる選択肢があることを、今まで思いつきもしなかった。

パピーウォーカーは、一緒に暮らす期間が、10ヶ月~1年と、最初から決まっている。

でも、その期間が終われば、かわいい盛りに、途中で手放すことになるのだから、どれだけつらい思いをしなければならないのだろう、、、。

私は、一瞬、受話器を持つ手をやすめて考えたけれど、そういう思いをする事を含めてのボランティア、、、、というよりは、そういう思いを引き受ける事こそ、パピーウォーカーの大きな役割の一つなんだろうなあ、、、と思ったので、私に迷いはなかった。)

                                                           

それから数ヶ月待って、やってきたのが、デリアム。(名前は、私の家に来る時には決まっていた。)

ラブラドールレトリバー・♂・生後2ヶ月。

家の中で飼う事。

家の中にケージ(犬が寝る時などにつかうオリ)を置く事。

食べ物は、指定のドックフードのみ、他の食べ物は、いっさいあげない事。

トイレは、決まったところでさせる事。

早い時期から車に乗せたり、いろんな経験をさせてあげる事。

予防接種に行く事。

などなど、いくつかの決め事があった。

そんな中、私が今でも、”奥深いなあ、、、。”と思う決め事が、”パピーウォーカーの心得”のような冊子に書いてあったのを思い出す。

それは、”適度な愛情をもって育てる事”。

”甘やかされて、溺愛されて育った犬は、人間に対して冷酷になる。

愛情をかけられずに育った犬は、人間に対して無関心になる。”というもの。

どこまでが甘やかしで、どこまでが愛情なのか、その線引きは、とても難しいことだけれど、なるほど、これは人間の子供の子育てにも通じるなあ、、、と、今、あらためて思う。

                                                              

デリアム、、、いやー、もー、とにかく、かわいかったー!!

初めて、デリアムと会った、あの日のことは忘れられない。

クリーム色の短い毛足で、足は骨太で、しっかり太く、クリクリの大きな瞳。

「かわいい~!」抱きつかずにはいられなかった。

私は、これから、デリアムと一緒に暮らせるのかと思うと、うれしくてうれしくて、家の中を飛び回った。

                                                          

寝る時は、ケージの中で、肌色のお腹を上にして、手足をガッと豪快に伸ばし、大の字になって寝た。

誰にでもシッポをふって、社交的な性格で、ひとなつっこかった。

エレクトーンを習いに来ている子供たちにも、大人気だった。

かわいかった、、、が、相当なワルでもあった。

子犬の時期は、みんなそうであるけれど、それにしても、悪かった。

片っ端から靴という靴は、かみちぎり、家の中を走り回った。

当時、私の実家に私は住んでいたのだけれど(ちょうど両親が転勤のため、家をあけていたので)、母・よしこは、「和室にだけは、あげないでちょうだいね!」と念をおし、「わかったー。」

よしこと私は、約束した。

で、「ここ(和室)、ノー!」(これも決め事で、ほめる時は”グッド”、ダメな時は、”ノー”と言う。)

私とデリアムは約束したのだけれど、、、、和室の畳がささくれて、メチャクチャになるのに、そう時間はかからなかった。

                                                             

あまがみも、すごかった。

デリアムは、ランクというものを、自分の中できっちり決めており、私は”ボス”と思われていたらしく、私の言う事は、よくきいたけれど、ダンナさんは、自分の手下と思っていたようで、カンペキになめていた。

だから、そのあまがみも、ダンナさんには、心置きなく、遠慮なくしていたようで、「痛い~!!」 「げっ 血がでた~!」というダンナの悲鳴を、当時、よく耳にした。

                                                      

トイレは、庭の隅に連れて行き、「ワンツー ワンツー。」という、決められたかけ声とともに、トイレを決まった場所にするよう促す。

すると、デリアムは、あっという間に覚え、家でそそうをする事は、ほとんどなかった。

賢かった。

家の中にいる時に、トイレに行きたくなると、私をドアの方に引き寄せ、教えてくれた。

トイレは順調。。

が、このトイレ、夜が大変だった。。。

                                                                

次回へつづく。

                                                       

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続・ローラ

ローラは、絶世の美女、、、には、遠くおよばなかったが、私たちにとっては、十分、かわいかった。

そして、動物病院の入口に、はってあった、張り紙どおり、ズバリ、”番犬に最適”な犬であった。

いつも、玄関のピンポーンがなる、かなり前に、耳をグーッと後ろにやったかと思うと、「ワンっ!」と、緊張感のある声を出して、人がこれから来る事を知らせてくれ、私たちを驚かせた。

                                                            

「ローラ!」と呼ぶと、シッポがちぎれる程、ブンブンふって、「オー ワワワワワっ!」「アー ワワワワワっ!」、、、と、犬とは思えない、珍しい、独特の声で、さらに、その声に、ビブラートをかけて、うれしくてたまらないという表情をしながら、いつでも、すっ飛んで、駆け寄って来ては、甘えて、幸せいっぱいの顔をした。

(だが、家族以外には、決して心を許さず、甘える事はなかった。)

                                                       

ローラは、不思議と、”犬が嫌いな人”が、すぐにわかった。

ピンクの鼻にシワをよせ、”犬が嫌いな人”が、少しでも、ローラに近づくと、「うーーーー!」といって、今にも、かみつきそうにしていた。

そして、よく、家にやってくる人でも、体に少しでも触れられると、上目づかいで、チロッと見て、イヤそーな顔をした。

こういう性格は、周りの人からすると、”いつも来ているのに、なかなか慣れない、かわいくない犬”として映るかもしれないが、家族にとっては、どっこい、かわいさもひとしおとなる。

                                                         

母・よしこは、ことさらに、ローラをかわいがった。

私と姉は、今でこそ、よしこから、「ちはるちゃん」「り香ちゃん」、、と、”ちゃん付け”で、呼んでもらっているが、これは、ごくごく最近になってからのこと。

私は、小さい頃、友達がお母さんに、「サッちゃん」とか、「まゆみちゃん」とかと、呼んでもらっているのが、うらやましくて、よしこに、”今日から、私のことを、「チーちゃん」と呼んでくれないか。”と言った事がある。

が、よしこは、「チーちゃん???チーちゃんだなんて、おっかしいじゃない。アハハハ。。ちはるっていう、ちゃんとした名前があるのに、そんな、ニックネームで呼ぶだなんて、犬みたいじゃない。」

ならばと思い、”じゃー、「ちはるちゃん」でいい。「ちはるちゃん」と呼んでくれないか。”と、よしこに言うと、「ちはるちゃん???ちはるちゃんだなんて、おっかしいじゃない。なーんで自分の子供に”ちゃん”をつけなきゃいけないのよー。」と言われ、あっさり却下された。

よって、私たちは、”物を言いつけられる時”と、”弱った時(病気になった時)”以外は、ちゃん付けで、呼ばれる事は、なかった。

なのに、お犬のローラは、ちゃっかり、よしこから、「ローラちゃん」と呼ばれていた。

                                                                 

                                                    

家族中に、かわいがられたローラだったが、問題がなかったわけではなかった。

ローラには、血統書がついていなかった。

つまりは、雑種だったのだ。

そのことが、よしこを悩ませた。

一人で歩いていて、見ず知らずの人に、声をかけられるなんて事は、ごくごく、たまにしかないのに、なぜだか、犬を横につれたとたん、もう、あちらこちらから、いろんな人に声をかけられるのは、、、あれは、いったい、なんなのだろうか。。

ローラをつれて、お散歩に行くと、自分の犬を連れて、散歩に来ている人は、必ず、聞くのだ。

「何犬ですか?」

よしこは、散歩に行き、それを聞かれるたびに、ガックリ、うなだれて帰ってきた。

そして、「ああ、、、。こんなことなら、ちはるに、あの時、デパートで、血統書のついた犬、買ってもらうんだったわ。。。ローラは、かわいいけど、一生、雑種って答えないといけないなんて、ママ、イヤだわ。。」と、ため息をついた。

私は、”何犬にも見えなかったら、「何犬ですか?」とは聞かないだろうから、きっと、ローラは、いい犬にみえるのではないか。。。”という事を、よく言っていた。

が、よしこは、視線を落としたままだった。

                                                            

私は、”雑種”ということに対して、少しの引け目も感じなかったけれど、散歩に行くたびに、同じ質問を、何回もされ、その度に、「日本犬とポインターの雑種です、一代目の。」と、答えるのは、いささか、面倒くさかった。

息継ぎせずに言うには、これが限界、、、という程、セリフが長いし、、、。

(散歩している時、たまたま会った人が、ポインターの一代目の雑種は、ものすごく頭がいいと、教えてくれた。

実際、、ローラは、私たちの言っている事を、本当によく理解し、頭がよかったので、ローラの名誉のため、”一代目の”と、付け加えてあげることにしたのだった。。

動物病院の先生も、そう言っていたし。。)

                                                                 

確かに、”シェットランド・シープドッグ”とか、”アメリカン・コッカー・スパニエル”とか、長ったらしい犬の名前は、いくつでもある。

、、、が、どんなに詳しく言ったって、行き着くところ、こちらは、雑種なのだ。

一生懸命、力を込めて、ハリキッて言う気には、ならない。

もしも、ローラが、“ハナ”か、”ポチ”、、、あたりの名前であったなら、もしかすると、何も聞かれずに、すんだのかもしれない。

しかし、”ローラ”、、、という、なかなかにハイカラな、洋風な名前が、”鼻はピンクで、これまで見た事のない犬種ではあるが、、、ひょっとするとー、いい犬なのではないのか。。。”と、人を思わせ、惑わせていたのかもしれない。

                                                           

それにしても、、、。

ローラは、果たして、本当に、一代目の雑種だったのだろうか。。

その辺は、はなはだ疑問だ。

だって、一代目を証明する血統書なんて、何もないのだから。。。

                                                          

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犬のローラ

白い毛のところどころに、薄茶色の斑点があり、お鼻は、ほんのりピンク色。

足がスラリと長く、スタイルがよく、かなり、臆病だけれど、人の気持ちが、ものすごくよくわかる、かわいい、頭のよい女の子。

それが、私が飼っていた犬・ローラ。

ローラは、私が、小学校6年生が間もなく終わる、、、という頃、私の家に、やって来た。

                                                            

私たち家族は、4月に、新しい家に引越しする事が決まっていた。

今度は、一軒家ということで、”犬を飼ってもいい”という約束を両親にしてもらっていた。

私は、家が、新しく、広くなる、、、という事より、”犬が飼える!”という事の方が、うれしくて、母・よしこや姉と、デパートに行くと必ず、屋上のペット屋さんに行き、子犬を長い時間、飽きることなく、見ていた。

そして、そこで見るたびに、今日こそは、なんとかうまくいかないものか、、、と思い、「ねーねー。ちはる(私のこと)さー、お年玉でためたお金、持ってきてるんだけど、今日、この犬、買って帰ろうよー。ちはるがお金、払うからさー。」と、コリもせず、毎回、言っていた。

が、よしこは、「ダメよー。ダメ。ダメ。今は、マンションなんだから、犬は、飼えないわよー。もうすぐ、引越しするんだから、新しい家になってから、買いに行きましょう。」

、、、と、返事は、いつも決まっていた。

                                                           

ある日、よしこの運転する車に、私と姉が乗っていた時のこと。

ボーっと外を眺めるともなく、見ていたら、動物病院の入口のドアに、”子犬差し上げます。番犬に最適。”という、白い張り紙がしているのが目に入った。

私は、その頃、”今すぐ、犬が飼いたくて飼いたくて仕方がない病”にとりつかれていたので、それを見逃さず、「あーっ!ママ!ママ!子犬差し上げますってよっ!ほらほら、そこ!」と、今、通り過ぎた動物病院を指差した。

どうせ、”ダメよー。ダメ。ダメ。、、、。”と、いつもの感じで聞き流されると思っていたが、その日のよしこは違った。

「えっ どこ?」

それを聞いて、しめしめと思い、「ねー。ちょっとだけ、どんな犬かだけ、見に行かない? どうせ、まだ、飼わないんだからさー。」と、私は、下心アリアリであったが、つとめて、サラリと言った。

そこで、姉も、「行こうよ。行ってみるだけなら、いいじゃない!」と言ったので、「じゃー 見るだけよー。ホントに、見るだけだからね。」という事で、たまたま、その、動物病院の近くにあった、よしこの友人の駐車場に車を停めて、見に行ったのだった。

                                                               

、、、が、しかし、私たちが、動物病院を出てきた時、なぜか、私の腕の中には、一匹の白い子犬が、しっかりと抱かれていた。

私は、今まで、ずっとダメだと言われていただけに、「こんなことがあっていいものかっ、、、!!」と、飛び上がる程うれしくて、ニコニコを通り過ぎ、顔がにやけて、にやけて、もとにもどらなくなっていた。

                                                            

それにしても、、、。

”ただ、見るだけ”のためになら、なおさら、どうして、よしこは、車をわざわざ停めてまで、動物病院へ行ってくれたのか、今でも、不思議でならない。

あれだけ、新しい家になってからね、、、と言っていたのに。。。

思えば、よしこの買い物は、もともと、”ずーっとコレが欲しくって、ソレを買い求める”、、、というタイプではなく、いつの時も、”パッと見て、サッと気に入って、スッと買う”、、、という、正に、衝動買いのタイプであった。

今思えば、そこのところの盲点をついた、絶妙のタイミングでの、”張り紙との出会い”だったと言える。

                                                       

それに、よしこに、子犬を抱かせたのが、よかった。

デパートの屋上で見た犬は、オリの中に入っていて、外から、ガラス越しに見るだけだった。

でも、今回は、病院のドアを開けると、すぐそこに、子犬たちがチョコチョコ歩いていて、私たちは、「わー かわいいー!」と言うと同時に、子犬たちを次から次に、抱きまくった。

あの、あたたかく、やわらかな、誰かが助けてあげないと、、、と思わせる、か弱い、子犬。。

それに、私たちは、コロッといってしまった。

情が深い、、、というのも、よしこの最大の特徴であった。。

私たちは、人なつっこく、シッポをビュンビュンふって、じゃれてくる犬ではなく、部屋のすみっこで、うずくまり、上目づかいで、こちらをジッとみている、ちょっとおびえたような犬を選んだ。

                                                                 

私たちは、それから、駐車場に向かった。

駐車場に行くと、母の友人が、立っていた。

私たちが、うれしそうに、犬を抱えてきた事に、驚きを隠せず、ビックリしていた。

そして、「えっ、、、。見に行くだけっていっていたのに、その犬、もらってきちゃったの?」と言った。

よしこが、ニッコリうなずくと、「あーらあら、、、。それ、お鼻がピンクじゃなーい!」と言って、クスクスっと笑い、「返していらっしゃいよー。あのね、もうちょっとかわいい子犬は、いくらでもいるから、私が、探してきてあげるからー。」と言ったが、私と姉は、ローラをしっかりと抱きしめ、よしこに、”絶対に、この犬がいい。”と言って、譲らなかった。

、、、というわけで、ローラは、この日から、家族の一員となった。。

                                                              

つづく。

                                                               

P。S。

いつも、忙しい時間の合間に、私のブログを読んでくださっている方、そして、コメントまでくださる方、、、どうもありがとうございます。

いつも、楽しく、コメントを拝見させていただいています。

先日、「ちはるさん、もしかして、れんげ組のワンワンマークのそうちゃんのママでしょうか?」という、コメントをいただきました。

私は、そのコメントを拝見し、さっそく立ち上がり、「ん、、、? れんげ組?? ワンワンマーク???」と、首をカクッと傾けながら、本棚へと行きました。

そして、そうちゃんの、療育園や保育園のノートやファイルのある所へ、、、。

するとっ!

私は、”れんげ組のワンワンマーク(子供の、園でのシンボルマークは、”犬”のマークでした。)のそうちゃんのママ”である事が判明しましたっ!!

転勤のため、3ヶ月しか在籍できなかった保育園です。

あれから、早8年。

覚えていてくださっている方がいらっしゃるなんて。。

こんなところでお会いできるなんて、人の出会いは、本当に不思議なものです。。

                                               

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続・ルルとララ

それから、ルルは5年、ララは7年、私たちと一緒に過ごした。

ララの最後は、私と姉と母・よしこがみとった。

ララは、私の手の中で、それまで、ずっと、きつくて目をつぶっていたのに、最後、目を開けて、「チュン!」と、ひと言、大きな声で鳴いて、この世を去った。

亡くなったのは、ちょうど週末で、私たち三人が、ずっと、そばにいてあげられたので、ゆっくりとお別れできた、、、という意味では、悔いが残らなかった。

                                                          

でも、ルルの時は。。。

私が、高校2年生のときの、ある朝。

いつも通り、朝、起きてすぐ、ルルとララの鳥かごの所へ行き、「おはよー。」と言いながら、鳥かごにかけていたタオルケットをとると、すでに、ルルは、亡くなっていた。

思ってもみなかった。

昨日まで、あんなに元気だったのに、、、今朝、突然になのだから。。

                                                     

それから、私は、ワンワン泣き、ずっと、ルルのそばにいた。

どのくらい時間がたったのか、私のそばに、母・よしこがやって来て、「ちはるちゃん(私のこと)、そろそろ、急がないと、学校、遅れちゃうわよ。」と言う。

私は、一瞬、耳を疑った。

”えっ、、。学校、、、遅れちゃう、、、って?!”

しばらく、ポカンとして、私は言った。

「学校なんて、、、行けるわけないじゃない。今日は、学校休む。」

私は、学校へ行こうだなんて、さらさら、思っていなかった。

すると、よしこは、「なーに言ってるのよっ。 小鳥が死んだからって、学校を休む人が、どこにいるのよ?」と言った。

私は、鳥かごのところに、腰が抜けたように、うずくまっていたが、それを聞いて、スックと立ち上がり、”自分の飼っている、かわいい小鳥が死んだ時、学校を休まなくて、学校は、いつ、休むのか”ということを、よしこに問うた。

今日の、この日こそ、"喪に服する日”ではないか。。

しかし、よしこは、「ママは、そういうことで学校を休む事は、許さない。」と言い、なかなか頑固だった。

                                                          

しばらくして、私は、「ママ。学校に、今日は、風邪だから休むって、電話して。」と言ったが、よしこは、「ママねー、ウソなんかつくのは嫌いよっ。そんなウソ、つけるもんですか!」と言い放った。

そうだろうか、、、おかしい、、、。

”パパには内緒よー。いーわねー。わかったわねっ!”、、、と言って、よくウソついてるではないか。。

まー、でも、そこまで言うなら仕方ない。

自分で電話するしかない、、、と思い、ピッポッパッ。

私は、学校に電話した。

電話している最中も、よしこは、「パパに言いつけるわよー!」とか、「ウソは嫌いよっ!」とか、「ママは許してないからねー!」などと言い、私を脅し続けた。

                                                        

学校を休んだ私は、ゆっくりルルと過ごし、庭に咲いている花を摘んで、ルルのまわりに添え、庭の中央の、リビングから一番目の届く、我が家の庭で、一番高価な植木として、家族のみに知られている、”真木”の木の根元に、お墓をつくった。

                                                               

夜、父が家に帰ってきた時、よしこは、一目散に玄関に飛んで行き、予告どおり、私が学校を休んだという事を、言いつけた。

が、父は、さすがに、チコちゃん(前回のブログに登場)の時、”四十九日”を重んじただけあって、「ふうん。。。」と言っただけで、あとは、普段通りだった。

                                                        

次の日も、私は、十分、喪に服したい気持ちだったが、キッチンで、「ねー、ママ、今日も学校・・・」と言いかけたところで、よしこが、ガバッとふり向き、「冗談もねー、休み休みにしてちょーだいっ!」と、ものすごい勢いで言ったので、あきらめて、学校へ行くことにした。

                                                               

学校へ行くと、珍しく学校を休んだ私を心配してくれたクラスメイトが、私のところに集まってきた。

「昨日は、どーしたの?」という友達に、私は、”小鳥のルルちゃんが、死んじゃったから、休んだ”、、、と、1フレーズでまとめて言おうとしたが、”ルルちゃん”、、と思い出しただけで、涙がこみ上げてきた。

それで、私は、「、、、死んじゃったの。。」ということだけ言い、あとは、言葉につまった。

友達は、「えっ、、、誰が?」と神妙な顔になって言うので、私は、「ルルが、、、。」と言った。

さらに、声を落として、友達は、「ルルって、、、誰?」と言うので、私は、「ほら。 うちで飼ってる小鳥、インコよ。」と言うと、「ああ、、、。」と言って、キョトンとしていた。

その後、私のまわりでは、「誰が死んだと?」「ルルちゃん?」「あー、、、小鳥ね、、、。」「えっ、誰が死んだって?」「「えっ、ルルちゃん?」・・・・という会話が、繰り返し、まるで、伝言ゲームのように、教室を、こだましていた。

、、、と、部活で一緒の友達が、どこからか、その話を聞きつけて、クラスに勢いよく、ケラケラ笑いながら、入って来た。

「ちはるちゃーん! 昨日さあ!」と声は弾んでいたが、泣きすぎて、ボッコリと目をはらした、人相の変わり果てた私が、サッと、ふり向くと、一瞬、沈黙があり、「んー、、、らしい!らしい! ちはるちゃんらしい!!」と、声のトーンを少し落とし、言いながらも、でも、必死に笑いをこらえているのが、みてとれた。

                                                          

どうも、私のクラスには、よしこ派(小鳥が死んでも、学校には行くべし、、、と、思ってる人)が多いのは、明らかだった。。。

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四十九日とルルとララ

私が飼っていた小鳥、、、、チコちゃん・ルル・ララ。

性格も、鳴き声も、姿も、ずっしりとした重さも、ぬくもりも、羽の何とも言えぬ、いい香りも、、、、今でも、はっきりと覚えている。

本当にかわいかった。。 

                                                        

                                                               

私は、小学校6年生の時、初めて小鳥を飼った。

”チコちゃん”という、手乗りの桜文鳥。

濃いグレーで、頭に黒と白の毛が混じっていた。

人差し指を交互に差し出すと、チョンチョンチョン、、、と、どんどん伝って来て、本当にかわいかった。

私と姉は、うれしくて、餌を食べさせるとき以外は、ほとんど、肩や頭の上にチコちゃんを座らせていた。

でも、ある日、ちょっとだけ窓を開けた瞬間、思いがけず、ビューッと、強い風が部屋に入ってきて、その音にびっくりしたチコちゃんは、その窓のすき間から出て行ってしまい、そのまま、どこかへ飛んで行って、帰ってくる事はなかった。

                                                             

続いて飼ったのも、”チコちゃん”。

手乗りの白文鳥。(体は真っ白で、くちばしが、きれいなピンクがかった赤。)

でも、飼って間もなく、チコちゃんは、亡くなってしまった。

生き物が死ぬということが、こんなにも悲しいことなのか、、、私は初めて、このことを知った。

私と姉は、いつも遊びに行く公園の、一番見晴らしのよい高台に、チコちゃんのお墓をつくった。

私は、”チコちゃんは、もういない、、、。”とは、わかっていながら、学校から帰ると、まずは、ランドセルを置くより先に、ガランとした鳥かごの所へ行き、「ただいまー。チコちゃん。。。」と言わずにはいられなかった。

日に日に、寂しさは、つのるばかりだった。。

                                                                

私は、母・よしこに、「ねー。また、小鳥、見にいこうよ。」と言った。

よしこは、「まだ、亡くなって間もないんだから、もう少し、ガマンしなさい。」と、最初は言っていた。

が、よしこも本当に寂しがっていたので、ほどなく、”これは理屈ではない。。。やっぱり、鳥かごに小鳥がいないのは、胸が痛くて、耐えられないことだ。”ということで、三人(私・姉・よしこ)の意見は一致し、父に、また小鳥を飼ってもいいか、聞いてみる事にした。

父は、「まだ、亡くなって間もないんだから。。。」と、よしこと同じ事を言った。

そして、「飼うにしても、せめて、四十九日が終わってからにしなさい。」と言った。

私は、チコちゃんのお墓参りには、友達にも付き合ってもらい、毎日行っていたので、すでに、毎日が法事のような日々だった。

四十九日といえば、、、あと、いったい、何週間、待たなければいけないのだろう。。。

(子供の”数週間待つ”ということは、大人の”一年待つ”ことに匹敵するくらい、長~く感じるものだ。)

父の言葉を聞いた後、私たち三人は、夜、ミーティングの機会をもった。

そして、”四十九日待たなきゃいけない、、、って事は、四十九日がすぎれば飼ってよい、、、って事なのだから、、、だったら、どうせ、飼うなら、早い方がいい。

、、、じゃあ、パパに内緒で、こっそり、子供部屋で、しばらく飼うことにしよう”と言う結論に達し、翌日、早速、ペット屋さんへ行った。

そこで、また、チコちゃんと同じ白文鳥(ララ)と、うすいブルーのケイソンという種類のインコ(ルル)を買ったのだ。

                                                          

ルルもララも、手乗りのヒナだったので、最初のうちは、アワを水に浸して、火にかけて、おかゆのようなものを作り、スプーンですくって食べさせた。

「ぐわーっ!ぐわーっ!ぐわーっ!」という、ヒナ独特の声をだしながら、大きな口を開けて、パクパク食べた。

子供部屋、、、と言っても、狭いマンションだったので、隣には、ダイニングキッチンが続いており、あの、大きなヒナの声に、父がどうして気付かなかったのか、、、今、思い出しても、とてもフシギだ。  

                                                              

ある休日の朝、父が、散髪に行くと言って、出かけていった。

”さあ、、、じゃ、今のうちにカゴから出してあげよう”と、私は、サッサか、鳥かごを2つ、和室へ持って行き、ルルとララを部屋に放した。

そして、私と姉とよしこで、「いや~。それにしても、よくぞ、パパに、ばれないよねー!ビックリだよねー!こんなに声がうるさいのにねー!」と言い、「四十九日まで、あとちょっとだねー!」などという話をしながら、ゲラゲラ笑って、盛り上がっていたら、ガチャガチャッ。

突然、玄関のドアが開く音が聞こえた。

そして、「ただいまー。」という、低い父の声。

(その日は、散髪屋さんがお休みだったらしく、そのまま、引き返してきたのだった。。)

私たちは、一瞬にして青ざめ、息をのんだ。

私も、”もはや、これまで、、、。”と思った。

和室には、ダイニングキッチンへ出入りするドアが二箇所あった。

私は、最後、”父が一方のドアから入ってきたら、もう一方のドアから出て行くこと、、、”それだけにカケた。

ちょうど、ルルとララは、それぞれのカゴの上に、チョン、、と乗っていたので、二つのカゴを私の後ろ側に隠すように持ち、立ち上がった。

、、、と、その瞬間、予想よりずっと早く、父が、奥のドアから和室へ入ってきた。

そして、私とバッチリ、目があった。

私は、大きく目を見開き、目をパチパチさせて、「あーーーー パパ、おかえりーーーー。早かったねーーー。。。」と、声をうわずらせながら言うのが精一杯だった。

”マズイっ!バレル!”という、焦りの中、なんか妙におかしさがこみ上げてきて、私は、ゲラゲラ笑っていた。

父は、私の様子がおかしい事には、気付いたようだったが、「えっ、、、どうしたの?」「どうしたの?」と聞くばかりだった。

その父を見て、私は、”これは、ひょっとすると、気付かれずにすむかもしれない”と、とっさに思い、父の視線が、私の顔の位置より下に落ちる事がないように、わざと、目をパチパチしたり、口をヒョコヒョコと、とんがらせたり、つぼめたりしながら、注意をひき、カゴを後ろに持ったまま、カニ歩きで、スピーディーに、手前のドアからダイニングキッチンへと進んだ。

、、、、これが、奇跡的にバレなかったのだ!

後に、私は、”あの時のちはるちゃん(私のこと)は、本当にスゴカッタ!!”と、姉とよしこから、何度も何度も賞賛され、名優扱いされた。

何事も、ギリギリの最後まで、あきらめてはならない、、、身をもって感じた一日だった。

                                                       

それから、四十九日を迎えた日、私たちは、「四十九日がすぎたから、今日ね、小鳥、買ってきたよ。」と、父に初めて、ルルとララを披露した。

父は、「あんなに悲しんでいたのに、、、。お前たちは、冷たいなあ。。。」と、あきれていたけれど、四十九日より、はるか前に、よしこまでもがグルになって、こっそり飼っていたことを知ったら、、、、そう思うと、今でも心臓がドキドキする。。。

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毛 100パーセント

<今日の話> 母・よしこが、飼い犬のローラを”モノゲンユニ”で洗った話 

                                             

今はあまりみかけないけれど、昔"モンゲンユニ”という洗濯洗剤が家にあった。

おしゃれ着洗いの洗剤だった思う。

私がまだ学生だったある日、学校から帰ると、よしこが、その頃飼っていた犬のローラをお風呂にいれていた。

外で飼っていたので頻繁には洗っていなかったが、よしこや私やりかちゃん(私の姉)が、気がむいたとき、お風呂場へ連れて行ってシャンプーしていた。

私は犬のシャンプー選びが好きで、あれこれ買っては洗ったあとの香りを楽しんだものだ。

(ちなみに当時、私たち女性陣は、ウエラの高級シャンプー。ローラはその時々私の選んだシャンプー。そして、高級シャンプーの使用を禁止されていた父は、市販のシャンプーを使っていた。父は「パパのシャンプーは犬より安いのか。。。」とぼやいていたっけ。。)

その日、お風呂場をのぞくと、こわがりのローラは、いつものように上目づかいでシッポを丸めて、いやいや洗われているという表情でこちらを見ていた。

、、、、そこまではいつもの風景だった。

しかし、今日は何かが違う、、、何が違うんだろう、、、とよくよく見ると、毛足の短いローラが、泡でモクモクと膨れ上がっているではないか!

よくぞここまで泡がたつもんだと感心して見ていると、そばに例の洗剤の箱があった。

、、、と、ちょうど犬用のシャンプーがきれていたのを思い出した。

私以外に犬のシャンプーを買ってきたりする者はこの家族の中でいるはずがない。

、、、とすると!!

私は恐る恐るよしこに聞いた。

「ねえ、ママ。

もしかしてこの洗剤でローラ 洗ってるの?」

すると、よしこは「そうよー。」とひとこと言い、鼻歌を歌いながら、さらにモクモクと泡をたてながら洗っている。

「キャー よくないよー!ちゃんとシャンプーで洗わなきゃダメだよー。」と私が言うと、少しも悪びれずに「大丈夫よー。」と言う。

そしてトドメをさした。

「ちはるちゃん ちゃんとみてごらん。

" 毛100パー”って書いてあるでしょー。」

箱には確かに"おしゃれ着・毛100パーセントも大丈夫"みたいな事は書いてあった。

ローラも確かに”毛 100パーセント”ではあるが、、、。

私が見ていないところで、他にもいろんなことが起きているだろうと、その時確信した。

                                                                                    

その夜、さらに続きがあった。

お風呂から上がった父が、スーッと私の横を通ったとき、、、モアーっと臭かった。

その臭いは、明らかに犬の臭いであった。

私はその時点で何が起こったか容易に想像できたが、確認したくなってすぐさま洗面所へと向かった。

ははーん。

案の定、昼間ローラを洗った後、使ったらしきバスタオルが、ぬれて、洗濯機の上に丸まっていた。

父が使ったのは明らかだった。

よしこはそのまま置きっぱなしにしていたのだ。

ゲラゲラ笑いながら、もう一度父を観察に行くと、体中にローラの白い毛がついていて、おまけに頭までそのバスタオルでふいたらしく、白髪のように毛がまじっていた。

私は父の後ろ姿を指差しながら、ヒーヒー笑いながらよしこを見ると、よしこは小さな声で「シー シー」と言いながら人差し指をたてていた。

そうだ、、、気づいていないんだから、知らない方が幸せっていうもんだ。。。

それから父は何も知らず、「はー いい湯だったー。」と満足そうに言いながら、寝室へと消えて行った。。

いい湯だったんだもの、、、、それでいいのだ。

                                                                                                                                    <ブログランキングに参加しています> 人気blogランキングへ

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