« 捨てること | トップページ | たし算と逆算 »

小窓

私が ”ピクニックに行きたい。。。”と静かに、そして強く思ったのは、たぶん、あの時が一番だと思う。。。

 

そうちゃん(長男・14歳・知的障害アリ)が生まれ、翌日、救急車で大学病院に運ばれ、NICUに入院すること、約半月。

退院したのもつかの間、今度は、小児病棟に1ヶ月入院。。。

 

当時、そうちゃんは、感染症(MRSA)にかかっていた。

菌が体からなくならない限りは退院できないらしい。

それだけでも、ジリジリと”まだかまだか・・・。”と思うのに、その上、そうちゃんは心臓が悪く(動脈管開存症)、病院で手術の順番待ちをしている状態。

手術の順番がまわってきたら、次は、小児心臓外科の病棟にうつることになるらしく、どちらにしても、まだまだ入院生活は続きそうで、 これから先のことがまったくみえなかった。

(ただ、実際には、小児心臓外科の病棟にうつることはなかった。

心臓の手術をせずにそのまま自然治癒することはない。

もし、そんなことがあれば、学会発表ものです、と病院の先生は言っていたけれど、順番待ちしている間に、なんと、そうちゃん、まさか の自然治癒!!)

 

そうちゃんは、こんなに弱く生まれてきて、これからいったいどうなってしまうのか、

いったい、この入院生活は、いつまで続くのか、、、。

”こりゃ、ただごとじゃないぞ・・・。”という思いと、

”まさか そんなひどいことにはなるはずがない・・・。”という思いが錯綜。

そんな中、私の心の中に”ぽっ”と生まれた思いが、

「ピクニックに行きたい。

パパと私とそうちゃんと三人で、ピクニックに行きたい。」

だった。

 

古い古い病院には、これまた古い古いトイレがあって、そのトイレには、高い位置に小さな小窓があった。

50cm×30cmほどの小さな小窓。

いつも片方、窓は開いていた。

そこから、そよそよとした風がはいってきたり、白い雲がみえたり、大きな雨の粒がみえたり、霧雨がみえたり、時に、スカンと気が遠く なるほど晴れ渡った蒼い空がみえた。

外の世界とつながっているのは、その小さな小窓、そこだけ。

 

毎日、ちがう風景をその小さな小窓からみているうちに、そうちゃんが生まれてから、一度も外につれていってあげていないことをあらためて感じ、愕然とする。

病院にあるのは、真っ白いシーツ。

寒々しいパイプのベッド。

ところどころペラペラとめくれあがっているねずみ色の壁。

病室を出入りするたびに使う”ウェルパス”の消毒液。

ピッピッピッ ピピッピピッピピッ という規則正しいモニターの音。

ニコリともしない、ただ淡々と仕事を遂行しているという風の、白衣を着た先生たち。。。

 

この小窓を見上げるたびに、私は、そうちゃんにみせたいのは、こんなものではないし、こんなものじゃなかった、という思いがこみ上げ てくる。

そして、そうちゃんに私がみせたかったのは、ケラケラという笑い声であり、桜の花びらであり、草のにおいであり、土のにおいであり、 空から降ってくる雨であり、この澄み渡った蒼い空であったはずだと思った。

草はらにシートをふわりと敷き、ときおりあがってくるアリたちを手ではらいながら、みんなでおにぎりを食べる・・・。

それが、あの時の私の夢。

 

小さな小さな窓だったけれど、あの小窓が、私に希望をつなげてくれた。

今、あの小窓から外をのぞいたら、いったいどんな風景がうつるのだろうか。。。

 

P.S.

そうちゃんのいろいろな話はこちらです。

http://chi-ha-ru.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-327e.html               

<人気ブログランキングに参加しています>

下の”人気ブログランキングへ”というところをクリックしていただくと、ランキングのポイントが上がります。

いつも応援、ありがとうございます!!

  人気ブログランキングへ          

人気ブログランキングへ                                                 

|

« 捨てること | トップページ | たし算と逆算 »

そうちゃん」カテゴリの記事