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辞め時(2)

前回ブログのつづき

                                                             

高校になり、ようやく”ピアノ”から開放された私は、部活にあけくれることとなる。

選んだのは、ハンドボール部。

                                                          

ハンドボールコートは屋外にあったので、毎日、暗くなるまで部活。

試合前になると朝練もあり、日曜日も、もちろん部活。

夏の強化練習に合宿まであった。

(ひえ~っ、思い出しただけで、夏の強化練習なんて”ゾゾゾゾゾゾーっ!!”だ。

きっ、、、きつかった~!!)

学校と部活、そして、通学(自宅から片道1時間近くかかった。)。

一日が終わって家に帰ったら、”ごはん→お風呂→バタンキュー(寝る)”の毎日だった。

                                                      

そんなある日、食事が終わったあと、私がふと、テーブルに突っ伏したまま、誰にいうともなく言った。

「あ~あ、、、。

あー疲れた~。

練習きつくてクッタクタだ、、、。 

あーあ、なんでこんなキツイことしてんだろ、、、。」。

すると、間髪いれずに、そばにいた母・よしこは言った。

「辞めちゃいなさいよ~。」。

                                                             

その時のよしこの言葉の響きを、たぶん私はずっと忘れない。

それまで、ずっとずっと”どーか、ピアノを辞めさせてくれ”と何十回・何百回言ったにもかかわらず、いつもよしこは、あっさり却下。

”辞めさせない” ”辞めさせない”と十数年言われ続けた私としては、よしこの”辞めちゃいなさいよ~。”は、ものすごく新鮮だった。

、、、というか、衝撃だった。

その時初めて、よしこの口から出た言葉のように記憶している。

                                                              

それまで、よしこは、”何事も、一度始めたからには、意地でも辞めてはいけないのよ!!”主義だと信じて疑わなかったので、それは、私にとって”カルチャーショック”だったと言っていい。

ピアノがらみの”辞めさせない”という言葉が、知らず知らずのうちに私の中に刷り込まれていた(?)のかもしれない。

                                                            

その後も、私が、やれ、”疲れた””キツイ””休みがほしい”、、、とひと言ボソッという度に、よしこは、スススススッと私にすり寄ってきて、「さっさと、辞めちゃいなさいよ~。」と言い続けた。

そして、挙句の果てには、

「お願いだから、ちはる(私のこと)、ハンドボールなんて、やめてちょうだい!!」と、なぜか懇願するようになった。

その理由とは、、、。

                                                              

私は、運動をすると筋肉がつくタイプ。

ハンドボールをはじめて、筋肉がむきむきつきはじめた。

(今思えばそれもそのはず。

バーベルとかをもちあげて筋トレもしていたし、、。)

そんな私に、よしこは言った。

「ちょっと、、、ちょっとちょっと!!

すごいわよ、ちはる。

ふくらはぎ、みてちょうだい!

筋肉でプクッともちあがってるじゃなーい!!

わ~、気持ち悪~い!!

それに、な~に、真っ黒に黒光りしちゃってー!!

異様な輝きよ~、ピッカピカ!!

それにしても、よくぞまー、そこまで日焼けで黒くなれるもんだわねー。

あんまり黒くて、それじゃあ、表か裏かわからないわよ~!!

ママ、こんなに黒い人、見たことないわよ~(笑)。

こんなに黒くて、ちはる、これからどうなっちゃうの??

もー、ママ、耐えられないわっ。

早くっ、、、早く、ハンドボールなんて辞めてちょうだい!!」。

                                                             

辞めてほしい理由がそんな理由であることが、まず拍子抜けだった。

えっ、、、?

そっ、、、そんな理由であっさり辞めていいものなのだろうか、、、部活というものは、、、??

                                                              

私は、”いっそ部活を辞めたら、どれだけ楽な毎日になるか。。。”と日々、その思いに焦がれていたにもかかわらず、そのよしこの言葉を聞くたびに、

「い~や、ここで辞めるわけにはいかないのっ。 

そんなに簡単には辞められないのっ。 

ここで負けるわけにはいかないんだからーっ。 

がんばらなくっちゃいけないのっ。」と、自分の気持ちとは相反する感情が次々にわいてきたものだ。

なんだか、それは、自分でも理解できないフシギな感情だった。。

                                                            

あの時、よしこに、

「なんだって、一度はじめたら精一杯がんばりなさいよ。

辞めないで続けなさい。」、、、なーんて言われていたら、私は即刻、次の日にでも退部していたと思う。

、、、そんな気がする。。。

                                                             

次回につづく

                                                            

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