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そうちゃん 11歳・冬(7)

前回ブログのつづき

                                             

雨が降ろうと槍が降ろうと、はたまた、熱があろうと、気分が悪く吐いてしまった時でさえ、そうちゃんは学校に行きたがる。

そのくらい、学校が好き。

 

ほんの少し前まで、そうちゃんのように障害が重い子供は、学校に行くことができなかった時代があった。

それを思うと、なんて幸せなことだろうと思う。

重い障害があってでさえ、人は、集団の中で伸びていくものだとつくづく思う。

 

そして、そうちゃんは、人が好き。

学校のお友達も先生も、みんな大好き。

、、、といっても、手先も不器用だし、会話になるほどはおしゃべりできないので、みんなといても、集中して一緒に何かをして遊ぶ、、、ということはできない。

ただただ、人のそばにいること、人の輪に加わっていること(特に集団)がたまらなく好きなのだ。

 

けれど、もちろん、自分から「あーそーぼー。」と言って、約束をとりつけることはできないので、放課後、誰かお友達の家に遊びに行くことはできない。

 

私がそうちゃんくらいの時は、日が暮れるまで友達と、よくぞというほど遊んだもんだ。

時には、友達が家に泊まりにきてくれたっけ。

私には、思い出しただけでも懐かしく、そして楽しかった思い出があるだけに、そうちゃんをみていると、そういう思いをさせてあげられないことが時おり寂しく思ってしまう。

 

、、、だからといって、私がそうちゃんのために、そうちゃんの好きなお友達と遊ばせる機会をもうけようと思っても、実は難しい。

なぜって、学校のお友達もまた、そうちゃん同様に、そうちゃんとはまた別の”困難”を抱えている。

 

それゆえに、みんな、それぞれに、”個性”が満ち満ちている子供たちばかり。

自閉症のお友達がいたり、情緒が安定しないお友達がいたりするけれど、ほとんどのお友達が、やはり”変化”に弱い。

そうちゃん同様、”お友達の家に行く”なんてことは、いつもとはちがう”変化”ととらえるため、なかなか私の思惑通り、スムーズにはいかない。

だから、結局は、放課後、互いが(お友達同士が)一緒の空間で楽しく時間をすごせたらなあ、、、という発想をすること自体が、とても難しい事なのだ。。

 

もう3月。

もうすぐ、1年間お世話になった学校の先生ともお別れの季節がやってくる。

4月になったら、担任をはずれて、違う学年の担任になる先生もいらっしゃるだろうし、他の学校へ移る先生もいるだろう。

 

私たちにとっては、”寂しいけれど、3月は別れの季節”。

そういうことになっている。

けれど、そうちゃんは、それを理解できない。

 

そうちゃんにしてみれば、学校にはこの間まで自分といつもいっしょだった先生がいるのに、突然、ある日を境に、クラスで一緒にすごせなくなってしまう。

そうちゃんの中では、それはかなりの混乱があるようで、なかなかその現実を受け入れられない。

だから、悶々とした思いがしばらくつづくこととなる。

 

先生が他の学校に移ってしまった時には、きっとそうちゃんにとっては、”衝撃!!”以外の何者でもないと思う。

そうちゃんの前から、先生がスーーッと消えてしまうのだ。

 

まだまだずっと続くと思って楽しくお芝居をみているのに、突然に、思いがけず”サーーっ”と、黒い幕がおりてきて、”はいっ、終~わり!!”、、、という感覚だと思う。

 

そして、悲しいことに、どんなにもう一度会いたいと思っても、もう一度お話したいと思っても、自分からその気持ちを伝えることはできないし、その思いが叶うこともない。

 

もし、そうちゃんが、大好きな人たちをすぐに忘れてしまうのならばいいのだけれど、そうちゃんだって、好きな人のことを忘れてしまうわけではないのだ。

むしろ、出会った人の数は少ないけれど、自分が楽しくともにすごした人たちとのことは、私なんかよりもずっとずっと大切に、胸の奥にしまっている。

 

そうちゃん、”ひらがなカード”が大好きなのだけれど、なかなか”ひらがな”を覚えられない。

けれど、先生やお友達の名前にある”ひらがな”は、フシギと覚えている。

 

そして、”く””は””た”のひらがなカードを持ってきては、「ママ~~。」。

今でも懐かしそうにうれしそうにニコニコ笑いながら、

「く○○先生!!」

「は○○先生!!」

「た○○○!!」。

と、小学校1年生の時に担任だった、今はもう、学校にはいらっしゃらない先生の名前や、途中、転校してしまったお友達の名前を私に確認するように大きな声で言う。

 

その姿をみると、”そうちゃんは、自分の前から去ってしまった人との思い出を、たった一枚の「ひらがなカード」にそっと封じこめているんだなあ、、、。”と、なんだか胸が痛くなる。。。

 

次回につづく

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