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そうちゃんの古着 ~その4

前回ブログのつづき

 

そうちゃん(長男・10歳・知的障害アリ)と療育園に通っていた頃、私は、帰りにいつも、途中、百貨店に立ち寄り、”ごほうび”を買って帰った。

それは、自分へのごほうび。

シュークリームだったり、ケーキだったり、、、と、断然、スイーツが多かったけれど、、、。

 

療育園でみんなとすごす時は楽しかったけれど、そうちゃんのことを、そして、そうちゃんのお友達のことを知れば知るほど、”どうして、こんな小さな、希望でいっぱいのはずの子供たちが、こんな思いをしなければならないんだろう。。”。

そう思うと、家に帰ってきて玄関のドアをパタンと閉めたとたん、ガックリ疲れ、いつも悲しい気持ちでいっぱいになった。

ちょっとひと泣きしなきゃおさまらない日もあった。

そんな時、私の横にそっと寄り添ってくれたのが、”ごほうび”。

「ホント、今日も一日、療育園でがんばりました。」と言ってから袋を開ける日々が延々と続いた。

 

そういえば、あの頃、一日中、狭い家の中でそうちゃんとすごすと、気がつけば、”ああ、、、。 そうちゃん、早くお座りできるようにならないかなあ、、、。”とか、”ハイハイできるようにならないかなあ、、、。”。

いつしか、そうちゃんに”無理な期待”ばかりするようになっていた。

で、期待すればするほど空回りの毎日。。

 

そんな日々の中、こんなんじゃダメだ!!

目にははっきりと”成長”として映ることはないけれど、”きっと、そうちゃんは、生まれてからずっと、自分のもっている力をふりしぼって、前に前にすすんでいるにちがいない。”と、思い切って、そう思うことにした。

そう思った時、障害をかかえてがんばっているそうちゃんにだけ、”がんばって がんばって”とエールをおくっているだなんて、とんでもない。

私こそ、せっかく健康に生まれてきたんだから、がんばれることを見つけて、私は私の世界の中で楽しみたいと思うようになった。

 

それで、そうちゃんが1歳のお誕生日を迎えてまもなく、今まで中断していたエレクトーンのレッスンに通うことにした。

それと同時に、エレクトーンを家で教えたいなあ、、、という思いが、私の中にフツフツと沸いてくるようになった。

私が、そのことを母・よしこに電話で話すと、よしこは、「えーっ?! そうちゃん育てながら、ちはる(私のこと)がレッスンに行くだけでも大変なのに、家で教えようなんて、、、そんなの無理でしょ! だいいち、そうちゃんは、その間どうするの?」。

「そうちゃん、、、? 家にいるに、きまってるじゃない。」と、私。

「えーっ?! で、そうちゃんは、その間、どーしてるの?」と、よしこ。

「そうちゃんさあ、お昼寝してる時間、長いでしょ。 だから、レッスンの時は、できるだけ寝ててもらうことにしようと思って。。」と、私。

「なーに言ってんのよー! 泣いたりぐずったりもするでしょ?」と、よしこ。

「そしたら、抱っこしながら教えるしか、、、ないよねー。。」と、私。

すると、よしこは、ガハハハハと笑いながら、(よしこも昔、エレクトーンを教えていた)「ママだったら、そんな環境の悪いエレクトーン教室に子供をレッスンに通わせる気にはならないわねー。

ちはる、生徒さん、こないわよー。 それは、無理だわね。」と、ピシャリ。

 

けれど、、、。

よしこの予想を反して、私の家を訪ねて来てくださるお母さんがいたのだ。

一番初めに来てくれたお母さんは、初めて私の家に来て、そうちゃんに会った時、1歳をとっくにすぎているのに、歩くどころか、寝たきりの状態で、プレイジムで静かにあそんでいる姿にビックリギョーテン!!

驚きをかくせなかった。

 

私は、お母さんに、そうちゃんの障害のこと、そして、レッスンの時に、そうちゃんがあんな感じでいるので、かなり、迷惑をかけるだろうことを言い、もし、”ちょっと、これじゃ、、、。”と思ったときは、いつでも遠慮なく断ってください、、、というお話をした。

でも、そのお母さんは、「私は、子供をプロにしようと思っているわけではないんです。 私は、音楽を長く楽しく続けて、一生つきあっていける子供になったらいいなあ、、、って思っているんです。。」と言った。

そうちゃんが泣いたり騒いだりするかもしれないということを私が重ねて言っても、「私も、子供がいるから、それはわかってます。 赤ちゃんが家にいることは、ぜんぜん気にしませんから。 だから、ここで、ぜひ、子供に音楽を教えてください。 ”ずっと音楽が好き”と思えるように教えてください。」と言ってくださった。

 

そのうち、ちらほらと子供たちが家に来てくれるようになった。

あの時間は、私にとって、なくてはならない時間であり、本当に楽しい時間だった。

レッスンの合間にする、子供たちとのおしゃべりも楽しかった。

”ねえ、ピアノの高い音はさあ、ガラスがわれた音といっしょだね。”とか、”ねー、先生、風邪ひいてんの? 体は大切にしなきゃダメだよ~。”とか言ってくれる子供たちと話していると、ふと、”そうちゃんとは、こんな風に会話することは、ないんだろうなあ。。”と、一瞬、頭によぎって、胸がキューンとした。

けれど、だからなおさらに、子供の口からほとばしる言葉の一つ一つが、”宝石箱からでてくる宝石”のように輝いて思えたものだ。

 

子供たちが来てくれたことは、そうちゃんにとっても、思わぬ収穫があった。

レッスン中は、泣いても、私からはなかなか抱っこしてもらえず、よく、私のことを、恨めしく見ていたそうちゃん。

そんなそうちゃんだったけれど、ある日、なんと、そうちゃんの口から”山の音楽家”のハミングが!!

言葉もでないそうちゃんが、その曲を歌ったのを皮切りに、”ちょうちょ” ”ぶんぶんぶん” ”フレール・ジャック” ”メリーさんの羊”、、、、と、数えきれないほどのたくさんの曲をハミングするようになった。

どれもこれも、レッスン中に子供たちが弾いていた練習曲ばかりだったのだ。。

次回へつづく

 

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P.S.

acaneさん・みほさん・レミさん・こころさん・さとみさん・ぱるさん・ままくまさん。。。

コメントをどうもありがとうございました。

何回も何回も読みました。

みなさんの言葉が胸にジーンと響きます。。

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そうちゃん」カテゴリの記事

コメント

ちはるさん、こんにちは!
私も小さい頃エレクトーンを習っていたので、懐かしく読みました。いつの間にか弾けなくなっちゃいましたけど。。。

音楽の力ってすごいなー! そうちゃんはぐずってるふりをして、じつは聴いていたんですね♪ このあとの展開もとても楽しみです。

(あ、acaneさん、ごめんなさい。ここでは私も「あかね」ではなく「あかブー」のつもりだったのに、ついうっかり本名を名乗っていました。)

投稿: あかブー | 2006年11月28日 (火) 15時35分

こんにちは・・。わたしも、ちはるさんにエレクトーン教えてもらいたいくらいです!!いつも、子供たちの声や音楽を耳にしていたそうちゃん・・・最高の環境だと思います。そんな中で、すばらしい感性が備わって、時々私たちが読んでビックリするような「そうちゃんサプライズ!!」が飛び出すのかも・・なんて勝手に思いました・・。自分へのご褒美をあげたくなる心境・自分の世界で頑張りたいという心境・・すごく理解でき、胸がキュンとしました。母親である前に一人の人間として、一生懸命になれることを探し、チャレンジしてみることは、最終的に子供に返ってくることだと思うのです・・。それを・・見事に果たされましたね!!

投稿: haru | 2006年11月28日 (火) 18時54分

療育園からの帰り道の、ご自分へのご褒美のお話。じーんとなりました。
それから、人の力ってすごいと思いました。勇気をもって、心を開いて、行動を起こしたちはるさん。そのご褒美を神様がくれたのだと思います。すばらしい人たちとの出会い、そうちゃんと音楽との出会いです。

投稿: acco | 2006年11月28日 (火) 21時58分

今回のシリーズは、私もちはるさんの気持ちになって読んでます。
普段は明るく面白い話題が多いちはるさんにも、辛い時期があって、ちはるさんはそれを乗り越えてきたんだなー。としみじみ思いました。

エレクトーンを教え始めて、ちはるさん、そうちゃん共にいい変化があったことに、私も励まされました。
勇気を持って何かを始めてみる、状況を変えてみるって大事なことですね。
そして、音楽の力。
私にはまだ子供がいませんが、できたら、音楽を楽しむ心を持った子供に育てたいと思っています。

次回も楽しみにしています!!

投稿: ちえ | 2006年11月29日 (水) 15時39分

応援クリック! また遊びにきますね。

投稿: 月10万円の副収入を稼ごう | 2006年11月29日 (水) 16時24分

ちはるさん、こんにちは☆

何事も、最初の一歩を踏み出しチャレンジすることが、
自分の、家族の楽しみにつながっていくんだなぁと、
ちはるさんの文章を読んで思いました
まずは自分が楽しくなければ!ですネ

それにしても、音楽の力ってすごいですね
音やリズムって、子供には特に
すーっと体に染み入るものなのかなぁ

投稿: kazumin | 2006年11月30日 (木) 10時33分

こんにちは、ちはるさん。 自宅のパソコンが動かなくなったため
自営の事務所に行ってパソコンを見なくちゃいけなくなり不便です。 
私の日めくりカレンダーに『目の前に起こることはあなたにとって
必要なこと。乗り越えられないことは起こらない』って書いてあって時々支えられる言葉です。 昔、向田邦子さんの著書にも似たような言葉があったような気がします。

みんな、一生懸命生きているんだよね。
命を大事にして欲しいな~と最近の報道に思うのは私だけじゃ
ないですよね。 お母さんたちの切なる願いだと思います。

私も40歳から始めたピアノのお稽古が楽しいです。
10月末に発表会にも参加しました。
また、来年も挑戦するぞ!!

投稿: sa-yu-riママ | 2006年12月 1日 (金) 11時10分

現状から一歩、何かふみ出すことが大切だってこと、心にしみました。ご家族には辛いかもしれないけど、続きを待っています。ちはるさんのお話を読み始めてからというもの、仕事しながら・家事しながら、自分の気持ちがほんわか柔らくなったと感じる今日この頃・・・。ちはるさんがまるで前からの友達のような錯覚がっ(失礼)!

投稿: みほ | 2006年12月 1日 (金) 12時56分

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