« よしこの結婚 ~その4 | トップページ | 急性胃腸炎 »

よしこの結婚 ~その5(完)

前回ブログのつづき

 

里帰りして、東京から家へもどってきてからしばらくは、よしこは、ガックリうなだれた。

こんな元気のないよしこは見たことがなかった。

「あ~あ、、、。 ママ、もー何にもする気がしないわ。。」と、ペッタリと茶の間に座り込んだまま、いつになく無口になった。

で、その間だけは、期間限定、「ピアノを弾きなさーーーい!!」と叱られる事がなかったので、私たち姉妹は、まったく平和な時をすごした。

これはこれで、なかなかいいものだった。

が、やっぱり、よしこの浮かない顔を見ると、「親とはなれて暮らすって、こんなに辛いことなんだなあ、、、。 ママ、かわいそうだなあ、、、。」と思い、胸が痛んだ。

 

そういう日が数日つづいたあと、”もうきりがない”と思うのか、よしこが、「さあっ!!」と立ち上がる瞬間があった。

そして、その時、決まって、こう言った。

「しょうがないわ。 反対をおしきって、自分で決めたことだから。」。

そして、「ねー、ちはる(私のこと)。 これがね、自分で決めたことじゃなかったら、とっくに離婚よ。 パパじゃなかったら、とっくに離婚してるわ。 でも、好きで反対をおしきって来たんだから、しょうがないわ。」。

そのひとことを言い終わると、よしこは、また、いつものよしこにもどっていった。

 

子供の頃、その言葉は、私がよく耳にしたもので、特に、その言葉のもつ重みを感じた事はなかった。

けれど、今になって、その言葉は、私の中で説得力をもつ。

自分の人生は自分で決める事の大切さをつくづく考えさせられる。

それは、人生において、予測のできないことが起きた時、ことさらに思う。

 

たとえば、そうちゃん(長男・10歳・知的障害アリ)。

そうちゃんが生まれてしばらくの間は、「どうして、そうちゃんは、障害をもって生まれてきたんだろう。」

「どうして、私の子供として生まれてきたんだろう。」と思った。

”赤ちゃんがお腹に宿ること”は、ある意味、奇跡に近い確率で起こることであるにもかかわらず、その上、”ソトス症候群”という珍しい病気をもって生まれるなんて、またまた、とんだミラクルだと思う。

もし、今のダンナさんと結婚していなかったら、、、もし、結婚の時期や赤ちゃんがほしいと思うタイミングがほんのちょっとでもずれていたら、、、なんて思ったこともある。

 

けれど、よく考えると、、、。

結婚したいと思い、決断したのは、他でもない、この私。

そして、結婚したら、2年は、赤ちゃんは考えず、やっておきたいことを存分にしておこうと決めたのも私。

そうやって2年がすぎたころ、そろそろ赤ちゃんがほしいなあ、、、と思い、決断したのも、他でもない、この私。

そう考えると、よしこと同じで、そこは潔く、あっけらかんと、「そうちゃんは、私が選んだ子供。 障害があってもしょうがない。 自分で決めたことなんだから。」と思うようになった。

 

その昔、よしこは”仲人”に憧れた時期があった。

よしこのまわりの友人たちは、みんな仲人経験があったらしく、自分もいつか、あの、”ひな壇”に上がる日を夢見ていた。

で、ことあるごとに、父に、「ねえ~。 ○○さんの知り合いの方が、”誰かいい人紹介してくださらない?”って言ってたんですけど、だれかいい人いませんか?」と聞いていた。

父は、そういう話には一切乗らず、最初は「う~ん、、、いないねー。」とだけ言って、聞き流していた。

「誰かいるでしょ??」と、つめよるよしこに、「ううん、、、だーれもいない。」。

が、そのうち、よしこの方も、「ねーねー。 いい人、一人くらいいるでしょ~?! ほら~、△△さんなんて、どうかしら~?? 誰か紹介してくださいよ~!!」としつこくなってくると、父は言った。

「結婚っていうものは、自分で好きな人をさがしてするもんだ。 

紹介して結婚できたとしても、幸せになれるかどうかなんてわからない。

お見合いなんて、人の人生を決めてしまうような、そんな荷の重いことは、したくない。。」。

父が席をたったあと、「パパってホント、かたいねー!」と私がよしこに向かって言うと、「ほーんとっ! おもしろくないんだから~!!」と、よしこは言った。

その時は、そんなものだった。

 

けれど、これまた、今となっては、”名言”だと思う。

もし、自分はこれといった決め手を感じないけれど、まわりが、”まちがいない! 絶対にいい人だから!!”、、、なーんてことを言って勝手に盛り上がり、まかりまちがって”何となく結婚”していたら、そうちゃんのことを今のようにまっすぐ受け入れられなかっただろうと思う。

”だれのせいでもない、自分の決めたこと”と思うことが、どんなに自分の心の芯の部分をしっかり支えてくれているか、はかりしれない。

 

人間は、なんたって、自分が一番かわいい。

そんな自分が決めたことだったら、人は、たいていのことは許せちゃうものなのだ。。

 

おしまい

 

P.S.

今日で、ブログ更新100回目です。

最近では、「あっ。 おかえり~。 いいとこに帰ってきたね。 これ読んで~。」とブログの文章をさしだすと、「眠い~!」 「早く寝せろ~!」 「明日読む~!」と、ダンナさんさえ逃げていく中、今日もまた、読んでくださったみなさん、、、ありがとうございまーす!!

 

<人気ブログランキングに参加しています>

下の”人気blogランキングへ”というところをクリックしていただくと、一票アップです。

よろしくおねがいしまーすっ。

人気blogランキングへ

 

|

« よしこの結婚 ~その4 | トップページ | 急性胃腸炎 »

母・よしこ」カテゴリの記事

コメント

ブログ更新100回目おめでとうございます。
長編の文章なのに、あれあれって間に読んでしまうから不思議な魅力です。

「どうして、そうちゃんは、障害をもって生まれてきたんだろう。」って部分、自分の事として読ませて頂きました。
僕はどうして障害を持つようになったんだろうって。

これもきっと、僕がどこかで自分の責任で決めて生まれてきたんでしょうね♪

よしこさんなら僕にどんなアドバイスしてくれるかなあ(笑)

投稿: がつう | 2006年10月13日 (金) 16時04分

最後の「おしまい」が、なんか潔うてええ思いました。
う~ん、あたしも、コレが、あたしが決めた人生なんやなぁ・・・。

てコトで、今日も明日も明後日も
頑張りま~す♪

ありがと~ございました!ぽち。

投稿: ある。 | 2006年10月13日 (金) 20時50分

すごい超大作でしたね。
でも、さくさく読めてしまうところがすごいなあ・・・。
「だれのせいでもない。自分できめたこと。」
心にずんと響きました。
与えられた運命ですら、そう思えるちはるさんに脱帽です。
ここ数年、色んな決断をせまられて、迷いながら生きていたので、今回の記事にとても勇気づけられました。
100回更新、おめでとうございます。ポチ。

投稿: ぱる | 2006年10月14日 (土) 09時23分

うまくいかないときって、ついつい環境のせいにしちゃったり、
何かを責めてしまうもの。
でも、「だれのせいでもない、自分のきめたこと」って思えば、
どんなときでも前を向いてやっていけそうです♪

この記事に出会えて、ほんとによかった~! 明日からまた
がんばりますね☆ 100回更新、おめでとうございます。
これからも楽しみに読ませていただきますね。

投稿: あかブー | 2006年10月14日 (土) 16時06分

「だれのせいでもない。自分で決めたこと。」
とっても素敵な完結になっていて、とても感動しました!!!!
100回→200回へと楽しみにしていますね!!
ちはるさんのブログ、魅力的で、とても憧れてます・・・
何か書くにあったって、気をつけていることや、心に留めていることはありますか???
なんかインタビューしちゃってごめんなさい。


投稿: Haru | 2006年10月15日 (日) 13時13分

ちはるちゃん、100回目、おめでとうございます。
私にとっては、毎回子供の頃に戻る
「ヒミツのタイムマシーン」」に乗っているような気分です。
次はいくつの時代にもどるのだろう。
家族メンバーのなかでは、唯一、ちゃんと読ませていただいて
おります。

ところで我が家のメンバーのなかで、
実はポジティブなのが父。
先日電話がかかってきて、
「りか、ちはるさ、『東京タワー』くらい書けるんじゃないか?」と言います。
「パパさ、東京タワーって去年のベストセラーだよ。
でもそういう本、読むなんて、パパも若いね」私が言うと
「パパ立ち読みしてきたんだ。すらすら読めるところは、ちはるの文も同じじゃぁないか」と言います。
た、立ち読み????
あの涙が流れてしまう本を、
立ち読みできることに、感心してしまいました。

目指せ?「福岡タワー」・・・・・
福岡タワーが出ても、立ち読みはしないからね。

投稿: り香 | 2006年10月15日 (日) 13時38分

ちはるさん、はじめまして!
100回目おめでとうございます♪
いつも楽しく(時には涙しながら)読ませていただいてます。
り香さんの「19時~」をきっかけに、り香さんの大フアンとなり
さらに、ちはるさんのブログにも出会えて元気をもらっています♪
仕事・家事・子育てと忙しい毎日を送っていると、大事な事が
どこかで欠けてきます。その大事なことを、いつも教えてもらっています。たとえブログや本でも、り香さんちはるさん達に出会えた事はすごくラッキーです。感謝してます♪これからも楽しみにしています。

投稿: レミ | 2006年10月15日 (日) 17時04分

 ブログ更新100回、おめでとうございます!
 いつも、応援しています。
 
 ちはるさんの思いにあやかるわけじゃないですけど、私も、いつも思います。自分で、決めてきたから現在の自分がある・・・。
 年中、ヨヨヨとなっちゃう私ですが、この思いが最終的に吹っ切れる突破口になれますね。

 これからも頑張ってくださいね!

投稿: 豆粒太郎 | 2006年10月16日 (月) 01時31分

ちはるさん100回目おめでとうございます。続けることって一番すごいことだと思います。
私の母はよしこさんの反対で九州から東京へお嫁にきました。よく「東京にお嫁にきちゃったことが唯一親不孝したな~って思うのよ」と言ってました。でもよしこさんと同じで「自分で決めたことだ」という潔さで暮らしていたように思います。自分の家族を作り、自分の居場所をみつけ、自分で幸せになろうとしていた姿を思うと胸がいっぱいになります。

投稿: nao | 2006年10月16日 (月) 21時34分

始めてコメントします。長文なのにさくさく読めるとわたしも思いました。
お見合いなんて、人の人生を決めてしまうような、そんな荷の重いことは、したくない。。。。。ってのは、わかります。うちの母が親戚にいい人いるよ、と紹介されて結婚、失敗してますから。(笑)
すごくシンプルなのに納得させられる文章で、まなばせていただきました。ありがとうございます。

投稿: よっちー | 2006年10月21日 (土) 22時06分

はじめまして、行正さんの本が好きで(レシピはもちろんですが文章が特に・・)そこによく登場されている家族の話を読ませてもらっていたので・・なるほどーってなぜか納得の心持ちでこちらも最近読ませていただいてます。
お姉さんと一緒で魅力的な文章を書く方だなぁと、時に涙を流しながら笑い転げながら見せてもらってます、ありがとうございます。
今回のよしこの結婚・・は、わが母がよく私に聞かせた言葉と重なります。
うちはお見合(本当に(笑)、わがままな父でかなり苦労し、好き勝手した挙句体を壊し、亡くなるまで10年入院した父・・
それを看取った母・・若かったのに出て行かなかったのはなぜ?私たちのせい?後で聞いた私にくれた答えは、自分で決めた人だから・・・でした。
出会いはどうであれ、自分で決めた結婚だからと。
腹をくくって人生を生きることの大切さを、その気持ちが物事を前向きに変えていくことを母から教わってたんだなってことを、ちはるさんから再度教えてもらった気分です。
料理は人を幸せにするけど言葉も大きな力がありますね・・
・・ちなみに、ぼろくそ書いた父だけど(--;私には愛すべき父でございます、一応念のため(笑)
これからも読ませてもらいます、よろしくお願いします。

投稿: さとみ | 2006年10月22日 (日) 02時19分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« よしこの結婚 ~その4 | トップページ | 急性胃腸炎 »