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そうちゃんと折線グラフ

たぶん、そうちゃんも、”こんな予定”ではなかった。

そうちゃんを見ていると、ふと、そう思う時がある。

 

昨日、何気にソファに座ったら、ソファの下にプリントが落ちていた。

プリントを手に取ると、それは、”そうちゃん(長男・10歳・知的障害アリ)の発達は、今、どのくらいのレベルにあるのか”を記した折れ線グラフだった。

(その、折れ線グラフは、”模倣・粗大運動・言語理解・微細運動・・・”など、それぞれの領域で、今、そうちゃんが、健康な子供だったら、どのレベルにあるのか、、、というのを評価したもの。

健康な子供は、バランスよく成長していくので、線はそれほど上がったり下がったりはしないのだけれど、そうちゃんの場合は、かなり傾斜のついた、ガタガタの折れ線グラフができあがる。)

 

それを見て、ハッとした。

粗大運動は、2歳ちょっとくらい、、、と、次男(1歳4ヶ月)を追い越しているけれど、言葉を理解する力や言葉を発する力、微細運動(こまかい手先の動きなど)というのは、次男から追い越されていた。

もちろん、そうちゃんも、だてに歳は、とっていない。

”今まで、10年生きてきた。”という”経験”に基づく知恵や生活の流れを知る力は、私からみても、”そうちゃんの方が、まだまだセンパイ!”と思うことは、いっぱいある。

でも、そういう事を考慮した上でも、つくづく、私も、そうちゃんは、この折れ線グラフの通りの発達レベルだと、昨日ソファの上で思った。。

 

養護学校の4年生であるそうちゃんは、体は平均よりグッと大きいので、最近は、もう、どこからみても、お兄ちゃん。

背だって、私と変わらないくらいになった。

靴だって自分ではけるようになったし、Tシャツも後ろ前にはなるけれど、自分で着れるようになったし、ズボンだって、これまた、後ろ前になったり、裏返しのままだったりするけれど、立派に(?)自分で着れるようになった。

だから、私の中では、少しずつではあるけれど、着実にお兄ちゃんになってきたと思っていた。

だからこそ、このプリントをジーッとみていたら、あらためて、「ひゃ~っ!!」。

私は、思わず声を出した。

 

つまりは、たった、昨年の5月に生まれたばかりの、ロンパースをはいて、おしりフリフリして歩いている、あの次男の方が、実際、生活していく中で、できることも、わかることも多いのだというのだから、、、。

昨夜は、ビッグなそうちゃんと、まだまだおチビさんの次男がいっしょに戯れている姿を見るにつけ、「なんだかねー。。。」と、力が抜けるような、不思議な気持ちが押し寄せた。

 

けれど、一方で、知的面での成長が伸び悩むからと言って、心の成長や欲求も伸び悩むわけではないことは、そうちゃんを見ていて、実感するところ。

この辺が、とても難しい。

むしろ、心の中の、漠然とした欲求は強くなるのだけれど、そうするためには、手足をどういう風に動かしてよいのか、それすらわからない、、、といったような、もどかしさが最近のそうちゃんにはある気がする。

きっと、人間、無意識の中、考える時は、頭の中で、いろんな言葉を並べているのだと思う。

けれど、そうちゃんには、その並べる言葉がごくごく少ないので、よりいっそう、事を理解するのが難しくなり、混乱するのだと思う。

 

次男は、まだ、そんなにたくさんの言葉をしゃべれるわけではないし、なんと言っても、この世に生まれて1年4ヶ月なので、そうちゃんに比べると、経験も少ない。

にもかかわらず、もう、長女といっしょになって、よく遊ぶ。

ちょっと険悪になると、その空気もよめるし、いろんなものに興味をもてるし、一度できたら何度でも、飽きるころもなくやり続けるという根気と集中力をもっている

一方、そうちゃんは、からかうことや、自分のいう事を真似して言わせようとしたりしては楽しむけれど、それは一方的で、かけあいのような遊び方は、まだできない。

その辺が、この折れ線グラフの物語るところ。

 

最近、そうちゃんは、妹(長女・3歳)に嫌がらせをすることに、全エネルギーを注いでおり、妹をたたくことさえある。

妹がテレビを見ていたら、”チャンネルをかえる””スイッチを消す””リモコンをとりあげる”という方法で、まずは、妹に嫌がらせ。

そして、そうちゃんの台本どおり、妹は、「そうちゃん!!」。

怒って泣き出す。

台本どおりであったにもかかわらず、妹のその反応を見て、そうちゃん、ものすごくカーッとした表情になり、妹をたたく。

、、、というもの。

私が注意すると、ますます、そうちゃんは、ワーッとなって、怒りの表情をあらわにし、最後には、涙をポロポロながす。

妹と弟が小さいだけに、私は、”そうちゃん、小さい子をたたいちゃダメよ!”と、私も、しっかりそうちゃんに言い聞かせるも、効果ナシ。

この二人の間に、どう、私が入ろうかと、考えあぐねていたところだった。

 

けれど、やっぱり、私が気がつかないところで、そうちゃんにしてみれば、”やりたいけどできない悔しさ”、”自分の気持ちを言葉にできないもどかしさ”が、いっぱい蓄積されて、そういう行動に及んだんだろうなあ、、、と、折れ線グラフを見つめていたら、胸が痛んだ。

ズンズンと音をたてて成長していく妹と弟が目の前でチラつくのだから、そうちゃんだって、心穏やかではなかっただろう。

ちょっと時間はかかるかもしれないけれど、このへんは、一緒に、ゆっくりと、そうちゃんのからんだ心をひもといていきたい。

 

でも、、、どうやって、、?

う~ん、そこが問題。

言葉を理解する事が難しいそうちゃんは、真っ向勝負では、勝ち目がない。

(私は、そうちゃんにベラベラと言い聞かせながらも、あまりの手ごたえのなさに、”のれんに腕押し~。” ”馬の耳に念仏~” ”そうめんで首をつる~”というフレーズが何度、頭をよぎったか数知れない。)

そうちゃん相手では、”常識”は通用しないのだ。

かなりのユーモアと想像力、そして、アイディアが必須。

手ごわいのだ。。

けれど、そうちゃんには、”生きにくい”という背景があることだけは、これからも、心にとめておきたい。

どこか、壁にでも貼っとくかなあ、、、この折れ線グラフ。。。

 

たぶん、そうちゃんだって、”こんな予定”ではなかった。

だから、こんな時くらい、そうちゃんの力になりたい。。。

 

P。S。

「姉の本」にコメントをたくさん、ありがとうございました。

母・よしこは、「よしこさん、ものすごい人気ね~!!」と、自分の人気ぶりに驚いていました。

私のブログに登場するよう誘ってみましたが、よしこは言いました。

「ママが文章を書くと、きっと、みんな、現実を知ってガッカリするわ~。

夢や幻は、姿が見えない、、、ってところが、いいのよ~。」

 

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そうちゃん」カテゴリの記事

コメント

最後に書かれた「そうちゃんの力になりたい」という一言こそ、そうちゃんの生きる先の光(すみません。どう表現していいかわからなくって・・・)です。それは、これからもぐんぐん成長していく、そうちゃんの大事な弟妹にも伝わる・・・と、私は信じています。
これからも、心からちはるさんを応援しています。

投稿: 豆粒太郎 | 2006年9月29日 (金) 16時35分

私の娘も知的障害があります。親としてはゆっくりではあるけれど、成長してきたな~と思っているのに、成長を数値化されると泣きたくなってしまいます。ちはるさんはそうちゃんの立場にたって世界を見ようとしているところが、とても心の優しい方なのだな~、えらいな~と思います。
「ミセス」でよしこさんを拝見いたしましたが、とても美しい方で、想像通りでした。本の出版とまではいかないとしても、雑誌などに、時々登場していただけたら、うれしいです!

投稿: りほ | 2006年9月29日 (金) 17時05分

ちはるさん、こんにちは!!
毎回楽しく感慨深く読ませていただいてます。
こんな予定ではなかった・・・私の二男ダイに対してそう思ったことがあります。
そうちゃんはそうちゃんの成長の道をそうちゃんのペースで一歩一歩着実に歩まれています。尊敬と感謝ですね・・。
わが子にもそうやってそれぞれの成長の道を、手をとり、足をとったりして、見守ったり、苦労したり、喜んだりしていきたいと思います。

投稿: Haru | 2006年9月29日 (金) 18時13分

こんばんは。前回、「の」と「も」を間違えてしまい、大変失礼致しました。
人は決して一人では生きて行けませんよね。その中で、時々誰かの力を借りる人と、いっぱい借りたい人がいる。その「借りる人」を選んで生まれてくるような気がします。その貸した力は周りに見えればわかりますが、見えなくてもその人の中だけでぐんぐん成長しているものだってあると思います。そして、力を貸す方も「貸す」という方法で今より成長しなければならないんだよと、借りる人に成長する機会を与えられたんじゃないかな~と思う今日この頃です。グラフごときに負けたらいかんで~!


投稿: 浮気もの | 2006年9月29日 (金) 20時37分

そうちゃんは、ちはるさんがママで本当にラッキーだと思います。
そうちゃんの生きにくさを理解して、力になってあげたいというちはるさんの気持ちに、感動しました。
色んな能力という点では、妹さん弟さんに追い越されてしまうことも実際にあるでしょうけど、10年生きている歴史もちゃんとそうちゃんには身についていると思います。きっと、味のある、優しい男の子に成長するのでしょうね。
これからも、遠くから応援しています。

投稿: ぱる | 2006年9月30日 (土) 09時40分

そうちゃんの純粋に物事を感じる力、喜ぶ力は
きっと誰よりも勝っているのではないかな、と
ちはるさんのブログを読んでいて思いました。

確かにそうちゃんの弟さん妹さんは
そうちゃんの事を胸を痛める時もあるかもしれません。
でも、それを乗り越えてきっときっと
心の優しい逞しい子に育つのでしょうね。

自分だけでなく、周りの大人や子供を
成長させてくれるそうちゃん、すごいです。

これからも、そうちゃんの瞳に
沢山の優しい笑顔が写りますように。

投稿: mina | 2006年9月30日 (土) 21時39分

こういう解釈、間違うてんのかもしれませんケド
あらためて、子供の成長速度をそのまんま
他の子と比べたらあかんな~、思いました。

子供なりに、成長してるところを、見てあげんとな~って。

うちの息子も、しゃべったりトイレトレーニングとかも遅て
他の子より、1~2歳成長が遅いように感じてた時期がありました。

やけど、この子なりに、成長は続けてるのだから・・・と。

そうちゃんも、お兄ちゃんだもんね!
頑張れそうちゃん!!頑張って、ちはるさん!!ぽち。

投稿: ある。 | 2006年10月 2日 (月) 12時28分

そうちゃんの折れ線グラフ。
私の三歳の甥っ子も障害(ダウン症)をもてえいて、成長の遅れがあります。今は実年齢三歳ですが、知的レベルは一歳半。
緩やかには確実に成長しているのだろうけれど、どこまで成長グラフが伸びて行くのだろう、といつも不安に思っています。
そして、今は二ヶ月の弟に追い越される日もすぐなのだろうと考えていたところでした。
甥っ子は幼稚園に通いだしたところですが、やはり自分の気持ちや行動を言葉に出来なくてお友達とうまくいかないこともしばしば。言葉に出せなくて、お友達を咬んでしまったこともあります。
甥っ子自身、とてもつらいのでしょうね。
そして、それを一番心配しているだろう妹(甥っ子の母)の気持ちを思うとせつないです。決して、弱音をはかない妹なので、ちはるさんのブログを読んで、妹の気持ちを少しでも理解して共有できたら、と思っています。
ちはるさんのそうちゃんを思う気持ち、素直な心の変化、そうちゃんの成長、いろいろと感じさせてくれるブログですね。更新、楽しみにしてます。

投稿: ちはる2号 | 2006年10月 4日 (水) 13時25分

はじめまして。私も発達障害(軽い自閉症)の男の子のママです。今小学校の就学問題で悩んでいていろんな方のブログを拝見させていただいてます。ブログを見させていただいて、また来てみたいと思いましたのでコメント残しました。

投稿: なある | 2006年10月14日 (土) 17時26分

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