« バイキングと私<後編> | トップページ | 母の強さ(2/3) »

母の強さ(1/3)

私は、ちょうど10年前の5月のある日、母・よしことカキフライを食べに行った。

とある、なんの変哲もない喫茶店みたいなお店で食べた、カキフライ定食。

月日がたった今でも、そうちゃん(長男・10歳・知的障害アリ)が入院していたあの頃と重なって、いろんな思いとともに、私の大切な思い出として心に残っている。。。

 

10年前の5月といえば、ちょうど、そうちゃんが生後すぐ救急車で大学病院へ運ばれ、NICUに入院。

それからいったんは退院したが、また、再び、小児病棟へ入院していたころ。

そうちゃんが生まれるちょっと前から、母・よしこは、私のところに手伝いに来てくれていたが、入院生活も長びき、いつ退院できるかわからなかったので、いったん、よしこは、父の待つ私の実家へ帰ることになった。

 

よしこが帰る前日のこと。。

よしこが、病室で、「ねー、今日が最後の夜になるから、なにか、外にごはんでも食べに行きましょうよ。」と言う。

「そうだね。」と言って、病室をでた私たちは、ナースステーションへ、看護婦さんにひとこと、”今から外食にいくので、病室を離れます。”と言いに行った。

そこは、24時間付き添いの病院だったので、だれか必ず病室にいなければならなかった。

だから、病室を離れる時は、こうやってひとこと、声をかけなければならない事になっていた。

よしこが、看護婦さんに、そう伝えると、看護婦さんは、”はあ~っ??”と、あきれた顔をして、「がっ、、、、外食ですかー? 病室には、必ずだれかいてもらう決まりになっているので、外食は困ります。」と、何やら書類を整理しながら、面倒くさそうに言った。

それであっさり、よしこは引き下がるかと思ったが、あの日のよしこは強かった。

「はい、病室にいないといけないことは、わかっています。 でも、明日、私は、この娘(私のこと)をおいて、帰らないといけないんです。 だから、最後の夜くらい、ちょっとごはんを外に食べに行きたいと思って。」

看護婦さんは、如実にムッとした顔をしたが、よしこは、「40分でもどりますので。」ときっぱり。

看護婦さんは、「赤ちゃんに泣かれると困るんですよね~。 誰もいないと危険ですし。」と、こちらもあっさりしたものだったが、よしこは、「あの子(そうちゃん)は、まだ動きませんから。」と、言い切った。

最後は、よしこの、「じゃ、行ってきます。 よろしくお願いします。」というひとことで締められ、私たちは、なかば、強引に病院を後にした。

この時のよしこには、誰にも”NO”と言わせない強さがあった。

 

私は、その時、そうちゃんが、この先、どういうことになるんだろうという漠然とした不安と、明日、よしこが帰ってしまうという心細さが入りまじり、心にドンと鉛のようなものがぶらさがったようだった。

病院で食べるお弁当には、もう、うんざりしていたけれど、だからといって、これといって食べたいものも思い浮かばなかったし、正直、べつに、外食に行きたいという気持ちがあったわけではなかった。

 

けれど、病院を一歩でると、そこには、思いがけず、病院の中とは全く違う世界が広がっていた。

病院へは、1日交代で通っていたので、(よしこと私が交代で、そうちゃんの病室に泊まった)病院の外に出てはいた。

でも、それは、あくまで、病院と自宅の行き来にすぎなかった。

いつも足元をみつめ、ただただまっすぐに歩いていただけ。。

なんだか、こうやって、視線をまっすぐにのばし、外の風景を見たのは、久しぶりだった。

何より、こうやって、よしこと二人で外に出かけるというのが、久しぶりだった。

窓も開かないような、ボロい病室は、自然の風とは無縁だったけれど、こうやって、外に出ると、5月のさわやかな風が吹いていて、私が知らないところで、季節は着々と移り変わっていることに、あらためて驚いた。

 

私とよしこは、薄暗くなった道をテクテクと歩いた。

(その病院は、テレビ局の近くにあったので、時折、テレビで見たことのあるアナウンサーとすれ違ったりして、私とよしこは顔を見合わせながら、「ねっ、、、今の人、見たことあるね! 実物のほうが数倍いいねっ!」

とか言いながら、それだけは、唯一、楽しかった。)

”40分でもどる”と言ったので、なるべく病院の近くで食べようということになり、入ったのが、その喫茶店。

急な階段をのぼってドアを開けると、中には、ズラリと”メニュー”が壁にペッタンペッタンはってあった。

喫茶店でありながら、そのメニューの数は、すさまじかった。

で、喫茶店でありながら、コーヒー、紅茶以外のメニューは、すべて、「000定食」になっており、ちょっとフシギな雰囲気をかもしだしていた。

私たちは、グルリと壁を見回しながら、なぜか、”カキフライ定食”に目がとまり、「カキフライだって、、、。 カキフライ定食にしようか、、、?」と言って、いつもは、どれにしようかと、かなり迷う私たちにしては、珍しくあっさり決まった。

 

次回につづく。

(ちょっと長いので、3回に分けて。。。)

                                                         

P.S.

今日は、みんなで”夜の動物園”へ行きました。

長女が、「今日は、だっこって言わないよ。 ちゃんと歩くよ!」と言ったのをうのみにして、ベビーカー1台(次男用)で行ったのですが、途中から”疲れた~。 だっこ! だっこ!”と大騒ぎ。

まんまとだまされましたっ。。

疲れた~!!

そうちゃんのリクエストにより、もちろん、今日もまた、”ぽっぽ号”(動物園の中を走る子供向けの電車)に乗ってきました。

で、もちろん、お客さんの中で、今日もまた、そうちゃんが最年長!!

 

<ブログランキングに参加しています>

下の”人気blogランキングへ”というところをクリックしていただくと、一票アップです。

よろしくおねがいしまーすっ。

人気blogランキングへ

 

|

« バイキングと私<後編> | トップページ | 母の強さ(2/3) »

そうちゃん」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« バイキングと私<後編> | トップページ | 母の強さ(2/3) »