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母の強さ(2/3)

前回ブログのつづき

 

カキフライがくるまでは、母・よしこと二人で、”これからいったい、そうちゃんは、どうなるんだろう”話で、ガックリうなだれていた私たちだった。

私は、カキフライを注文したものの、なんやらかんやらが心配で、これからごはんをモリモリ食べるという気には、とうていなれなかった。

が、そのカキフライ、いざ、私たちの目の前にくると、なんだか”美味しい予感”を感じさせるものだった。

で、実際、ものすごーく美味しかった!

ひと口ほおばると、衣が”サクッ”と音をたて、中は、ジューシー。

ヤケドしそうなほどのアッツアツ。

 

この喫茶店の雰囲気にして、この実力。

季節外れのカキにして、意外ともいえるこの味に、よしこと二人、「なんて美味しいのかしら!」 「このお店、大当たりだね~!」と言いながら、モリモリモリモリ、あっという間に食べてしまった。

よしこは、「ちはる(私のこと)ちゃん、明日から、看護婦さんに何か言われても、ここに、夕食通ったら? そうしたらいいわよっ!」とさえ言ったが、こんなに美味しいのは、よしこと一緒に食べるからであることは、わかっていた、、、。

 

カキフライを大急ぎで食べた私たちは、小走りで病院へもどった。

ナースステーションに、”今、もどりました”の声かけに行くと、さっきの看護婦さんは、ムッとした表情で、「赤ちゃん、泣いてましたよー。」とひとこと。

で、病室へもどってみて、びっくり!

そうちゃんは、確かに泣いていたようで、その口には、チュパチュパ(おしゃぶり)を入れられ、その上からご丁寧にも、ガムテープのようなもので、チュパチュパが落ちないように固定されていた。

よしこは、「ま~ なんてひどいことするのかしら~!」と怒っていたが、その後の私たちは、”かわいそうに、そうちゃんおいて、外食なんて行くんじゃなかったね。。。”という話になるどころか、「看護婦さんをおしきってでも、食べに行った価値があったねー、今日のカキフライ。 いや~ 美味しかったね~!」という話でもちきりだった。

 

今思えば、そうちゃんの小さな手には、点滴。

(生まれたばかりの小さな手に、点滴を連日していたので、その手は、はれあがって紫色になり、本当にかわいそうだった。。)

心臓の状態をチェックするために、体のいろんなところにコードがついていて、あおい顔をして寝ていたそうちゃんをおいて、外食になんて、よく行けたもんだと思ったりもする。

携帯電話も持っていなかった頃だったから、そうちゃんを一人、病室においていく事は、勇気もいった。

でも、実は、そういう時だからこそ、人間、ぴんと張りつめた糸を、時々、緩めてあげないといけない、、、、、という事を、あの時、よしこに教えてもらった気がする。

もし、あのまま、よしこと外に出ることがなかったら、私は、外と病院の間の温度差を客観的に感じることなく、あたかも、自分だけが取り残されたような気持ちになって、自分の殻に閉じこもって病室ですごしていたかもしれない。

外に行って、新鮮な空気をすい、楽しそうにケラケラ笑いながらごはんを食べている人がいたり、颯爽とビジネスマンが歩いていたり、のん気にボーっと本屋さんで立ち読みしている人がいたり、、、、というような、病院生活とはかけはなれた、こういう日常を前にして、ハッと目が覚める思いもしたけれど、同時に、ものすごくホッとして、落ち着いた気持ちになれた。

 

次回につづく

 

P.S.

そうちゃんがいたNICU(新生児集中治療室)には、たくさんの赤ちゃんがいました。

その中には、赤いランドセルがかけてあるベッドもありました。

おそらくは、生まれてすぐ、NICUへ運ばれ、そのまま家にもどることができずに、治療をうけていたのでしょう。

元気になって、お家に帰ることができたでしょうか。。

10年たった今でも、赤いランドセルをみると、そのお子さんのことを思い出します。

 

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そうちゃん」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。り香さんのファンで、まごころのhpから千春さんの
このブログを知り、声を出して笑いながら、いつも楽しんでます。
私はNICUで働いている小児科医で、現在育児休暇中。初めての
息子の子育てに奮闘しております。そうちゃんのお話は、り香さんの本でたびたび出てくるので知り、千春さんご夫婦ってほんとに素敵な方たちだなあと思っていました。このブログを知り、改めて、3人のお子さんに対する深あい愛情に感動するとともに、家族のみなさんのおもしろすぎるキャラに魅せられています。(期待を裏切らない感じです)
今は休業中ですが、仕事をしていると、素敵な患者さんであるこども達と、素敵なママパパに多く出会い、親子の想像を超えるムクムク湧いてくるような力に感動をもらって、元気になります。自分が母になってみて、改めてわかることもほんとにたくさん・・・。
素敵な笑顔の軌跡には、張り裂けるような思いや悩みもきっとたくさん・・・。
また、ブログを見てると、こういう医師や看護師っているよねー、と思いながら苦笑することもしばしば。
これからもいろんなお話楽しみにしてます!

投稿: ままくま | 2006年8月14日 (月) 01時16分

あたしの人生で一度だけ、それも大人になってから
母に泣きついたことがありました。
なんだか思い出して、泣きそうになりました。

投稿: ある。 | 2006年8月14日 (月) 03時39分

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