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子供の頃の習い事・ピアノ編(2/3)

母・よしこは、一人、はりきっていた。

どうも、また、”いい先生”を見つけたらしい。

当時、姉のクラスには、ピアノのレッスンを受けるため、月に一度、飛行機に乗って、東京まで、わざわざ通っているクラスメートがいた。

そして、ピアノを弾く、手(指)の負担にならないように、体育のポートボールも休んでいるという。

私が、”へ~っ。。”、姉が、”は~ん。。”と、気の抜けた反応をする中、よしこは、その話を聞いて、”そうよっ、そうなの。 音大に行くんだったら、そのくらい、しなくっちゃいけないって事なのよ。。”と、深くうなずき、一人、感銘していた。

 

よしこが新しく見つけてきた先生、、、こちらは、飛行機に乗って行かなくてはならないほど、遠くなかったが、バスに20分も乗って、バス停から、さらに、15分も歩かなければならない所にあった。

こんなに遠くては、レッスンの日は、それだけで一日が終わり、友達と遊ぶ約束もできはしない。。。

その上、私は、これまで、いつも、姉と一緒にレッスンに通っていたが、どうやら、その先生の都合で、別々の日に、行かなくてはならないらしい。

一人で行かないといけないのなら、なおさら、そんな遠い所、行きたくないなあ。。

 

それに、よしこの言う、”いい先生”は、当てにならない。

だって、”ため息先生”の時も、”とってもいい先生、紹介してもらったのよー!!”と言っていたもの。。。

そこで、私は、現場の声を聞くべく、自ら、学校で友達に、”ピアノの先生はどんな風か”と、いろいろ聞いて回った。

そんなある日、私の家に、姉の友達が遊びに来た。

そこでも、もちろん、ピアノの先生の話題になった。

私の姉とオセロをしながら、その友達は言った。

「私のピアノの先生ねー、優しいよ~! だってね、”今日、○(丸)もらわな、お母さんにしかられるー。 ねー、先生、お願いやけん、この曲、○(丸)にして!”って言ったら、○(丸)にしてくれるとよー!」と言った。

私は、即座に、私が探していたのは、この先生だと、ピンときた。

で、その日、さっそく、家に帰って来たよしこに、玄関先で、「おかえりー。 ねー、ママ。 ちはる(私のこと)、いい先生見つけたよー! りかちゃん(姉のこと)の友達が習ってて、すっごく、いい先生って言ってたー!」と言った。

私は、おそらく、よしこは、反対すると思っていた。

が、その友達は、姉と、とても仲良くしていた友達で、母同士も親しかった事もあり、「えっ、そうなのー?! じゃあ、ちはるは、その先生のところで習っていいわよ。」と、意外にも、すんなりオッケーがもらえた。

その時の、私の喜びは、言葉には言い表せない!

姉は、よしこの言う、”いい先生”のところに、「ピアノを教えてください。」と、すでに話をしてしまっていたので、私と姉は、別々の先生に、つくことになった。

 

今度の私の先生は、これまでの、”ため息先生”とは、まったく違った。

キリキリ・イライラタイプではなく、いつも、肩に、ストールをフワ~ッと巻いて、とても、おおらかな雰囲気だった。

そして、私のへたっぴな演奏を、ウンウンとうなずきながら、最後まで聴いてくれ、○(丸)をくれない時も、楽譜の左上のところに、半分の円を書いて、「半分○(丸)ね。」と言ってくれた。

そして、レッスンに行くたびに、そこから、ちょっとづつ書きたされ、最後に、「はい、よくできました。」と言って、まん丸の○になり、次の曲へと進む。

今までと違い、”どんどん、先の曲を見てきてね。”と言って、宿題にした。

そして、ピアノに加え、ソルフェージュ(歌)と聴音(ピアノで先生が弾いたメロディーを、ノートに書きうつすもの。)も教えてくれた。

”今日はちょっと、勉強不足で、曲の練習ができていない。。。”という日は、ソルフェージュと聴音に時間をかけてくれた。

ソルフェージュは、レッスン前に、サーッと見れば、歌う事ができるし、聴音は、宿題なしで、その場で、ぶっつけ本番。

なのに、バッチリできたときは、とてもほめてくれたので、私は、とても得した気分になったものだ。

 

おかげで、私は、ピアノが好きになった。

どんどん曲が、○(丸)になるので、どんどん、新しい曲を弾いた。

ボロボロの楽譜に別れを告げ、ピカピカの楽譜を手にする喜びを、初めて知った。

(さようなら、メトードローズ。 ごきげんよう!)

 

姉の先生は、音大を目指す事を目標にした、厳しい先生だったので、姉は、相変わらず、なかなか○(丸)にならず、苦しんでいた。

私は、それまで、毎年、姉と一緒にピアノの発表会に出ていた。

が、姉と別々の先生になったことで、私は、一人で発表会に参加しなければならず、今まで気付かなかったけれど、一人だと、こんなにも不安で、寂しいものなのか、、、と思った。

そして、その時はじめて、、、というか、その日だけ、姉と一緒の先生に習えばよかったなあ、、、と思った。

けれど、次の年、、か、その次の年のピアノの発表会の写真には、私の隣には、ちゃっかり、姉が写っている。

姉も、私の先生に変わったのだった。

 

その頃から、私たちを取り巻く環境が変わり始めた。

相変わらず、夕方になると、よしこは、「ピアノの練習をしなさい!」 「早く弾きなさい!」と、しつこかったが、もう、そのことで、追い出される事は、なくなっていた。

私たちは、メキメキと頭角をあらわし、ピアノの才能が開花しつつあったからだ。

、、、、と言いたいところだが、そうではなかった。

ピアノは、確実に、以前より楽しくなったが、私たちは、やはり、チャンスさえあれば、練習を怠けていた。

 

ある日、よしこが、私たちを前に、真顔で言った。

「ママ、もう、音大の夢は、あきらめたわ。 もう、りかとちはるには、何の期待もしない事に決めたわ。」

ふつうだったら、こんな事を、突然言われたら、ドキリとし、ショックを受けるところかもしれないが、私は、”よくぞ言ってくれた! やっと気付いてくれた!!”と思い、心の中で、バンザーイ バンザーイ、、、歓喜の叫びが、なりやまなかった。

”あと、もうひと声っ!”と思いながら、よしこの口から、”ピアノ、やめてもいいわよ。”という言葉がでるのを、固ずをのんで待ったが、よしこは、それからしばらく、黙ったままだった。

代わりに、私たちが聞いたのは、「ピアノは、ずっと、続けなさいよ。」という言葉だった。                                                        

 

 

次回につづく。

 

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