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そうちゃん出産後・病院にて(2/3)~ごはん

前回ブログのつづき。。。

 

(そうちゃんは、私が産後、病院に入院している間もどってこないどころか、生後1ヶ月半もの間、大学病院に入院した。)

 

手術後、まだ麻酔がきいていて、意識がもうろうとしている時、看護婦さんが私のそばに、そうちゃんをつれてきてくれた。

そうちゃんに会ったのは、それ一度きりで、そのまま救急車で運ばれてしまった。

そうちゃんがこれからどうなってしまうのか、私は、心配で心配でならなかった。

 

、、、それにしても、せっかく入院しているのに、主役の赤ちゃんがいないのでは話にならない。

カツ丼にカツが入っていないのも同然だ。

もし、普通分娩だったら、産後すぐに歩けるし、普段通りの生活ができるので、私は病院になんかいられなかっただろう。

きっと、即、退院して、大学病院に入院しているそうちゃんのところへ、飛んで行っていたと思う。

でも、私は、帝王切開だったので、3日間はベッドの上に横たわっている状態だったし、その後も切腹(?)したお腹の傷が痛く、一歩一歩あるくのが精一杯だった。

で、結局、7日間入院していた。

 

こんな悲惨な入院生活を支えてくれたのは、ただ一つ、”ごはん”だった。

遅れることなく、時間通りにきっちりと運ばれてくる病院の食事だけが唯一の楽しみだった。

こんな状況じゃ、食べ物がのどを通らない、、、、なーんて心配はご無用。

”一番食事が美味しいと評判の病院”、、、、というのを第一条件に、この病院を選んでよかった、、、心からそう思った。

それだけが救いだったといっていい。

 

妊娠していた最後の1ヶ月半は、妊娠中毒症気味と言われ、カロリー制限と塩分制限を余儀なくされた。

お醤油をかけずに魚の塩焼きを食べたり、とうもろこしや焼き芋をよく食べていたっけ。。

フシギな事に、妊娠中はホルモンの関係なのか、自分でもさっぱりわからないが、食欲もりもりだった。

一日中、あれも食べたい、、、これも食べたい、、、という感じ。

そんな中で食事制限されるのは、この上なく苦しく、狂おしいほどのガマンを必要とされる。

でも、”元気な赤ちゃんが生まれるんだったら。。。”ただこの一点に支えられていたといっていい。

しかし、その夢もはかなく壊れた今、「アホクサ。。。」

すべての努力がアホくさかった事に気付き、そして、もう妊婦ではなくなったという開放感も手伝って、今までガマンしていたものを余すことなく食べてやろう、、、と思った。

 

”赤ちゃんが生まれたら食べたいもの”の一覧表を、私はセッセと作っていた。

だから、病院から出された食事を全部たいらげるのはもちろん、お見舞いに来てくれるダンナさんや母・よしこに、そのリスト通りに、「焼き芋買ってきてー。」「00のプリン買ってきてー。」「00パン屋さんの00買ってきてー。」と、具体的に指示を与え、買ってきてもらっては、感動しながら食べた。

 

それは、退院してからも続いた。

退院後、よしこがずっと家にいてくれたので、「今日はハンバーグね。」「今日はオムレツね。」「今日は肉団子ね。」、、、リスト通り、上から順番に作ってもらった。

どんなに気分はどん底でも、美味しいものは美味しい。

もうそこに理屈はいらない。

それを、はたから見ていたダンナさんとよしこは、ただただ口をあんぐり開け、驚き、あきれていた。

「ちはるちゃん(私のこと)、よくこういう時に、そんなにパクパク食べれるわねー。。。

もうママ、感心するわー。いや、、、信じられないわ。。」と、よしこ。

「ママ。こういう時だからこそ食べるのよ。いやー、ママの作ったハンバーグは本当に美味しいねー!」と、私。

よしこが作ってくれたお料理は、私のすさんだ心にしみわたった。

 

よしこは、なにかにつけて、心配していた。

私が産後、少しでも体を休めるようにと気遣い、テレビの前に布団を敷いてくれ、昼間でも横になってやすむようにと、しつこく言った。

ちょっとでも家をウロウロしていると、「少しでも休みなさい。もうママ、心配だわー。」と言う。

じゃー寝るか、、、、と思って横になると、人間、寝たくなくてもいくらでも寝れるもので、それはそれでラクチンでグーグー寝る。。。

すると今度、よしこは、私の体をゆさぶり、起こし、のぞき込んで、「ちはるちゃん、、そんなにいっぱい寝て大丈夫?! もうママ、心配だわー。」と言っていたっけ。

そういえば、そうやってテレビの前ですごしていたとき、“徹子の部屋”でゲストとして出ていた、東儀秀樹(雅楽)の演奏を初めて聴いた。

彼の音色をきいたとき、行き場のわからなかった涙がポロポロポロッ、、、一気にあふれてきた。

のびやかで、あたたかなその音色は、私の心の奥に響き、「目先のことで心惑わせてはいけないよ。もっと気持ちを大きくもって。。」と伝えてくれた。

音楽のもつ力って、すごいなあー。。。

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そうちゃん」カテゴリの記事

コメント

私の弟のところにもダウン症の姪が数年前に生まれました。
わずか二歳でこの世を去ったその姪が残していったことは
とても大きなことでした。生まれてから家族の中に激震が走ったのは言うまでもありません。弟夫婦が前向きに心が変わるまで
随分と時間がかかりました。ただ、ちはるさんの姿を
側で心配しながら支えていたお母様のよしこさんの気持ちが
痛いほど分かります。でもどこにでも誰にでも起きることで
それぞれの人が違った顔をしているように人はみんな
全然違うものを背負ってこの世に生まれてくるのだと言う事を
あるがままに受け止めることが今は出来ます。
そうちゃんの健やかな成長をお祈りします。
ちはるさんは本当に心の大きなおおらかな方ですね。

投稿: まきこ | 2006年3月11日 (土) 16時13分

障害や病気をもつ子供の親がその事実に直面したときの自分のシーンは1コマ1コマが色濃いですよね。
愛情につつまれたおいしいものをおいしいと感じられたり、染み入る音楽に涙したりという、というちはるさんのアノ頃。
私のアノ頃は今から思うと、輪っかのなかでくるくる回るハムスターのように、なぜにかあせっていたように思います。何にも目を向けずただメソメソしてたっけなぁ~。

アノ頃と思える今がある・・・う~ん、私も子供たちに育てられて
ます!

投稿: こころ | 2006年3月12日 (日) 23時10分

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