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そうちゃん誕生前夜の混乱物語~前編

そうちゃんを出産するため入院したときの話。

いやー 看護婦さん泣かせでした。。。

 

 

予定日をすぎた頃、病院の先生の口からでたのは、意外な言葉だった。

「赤ちゃんの心臓の音が弱くなっていて、自然分娩に耐えられる力がないので、明日、帝王切開しましょう。

これから家に帰って、ごはんを食べたら、夕方、病院に入院してください。」

おなかの赤ちゃんが元気じゃない、、、というのが一番ショックだったが、私はそれまで、手術はもちろん、入院の経験もなかった。

帝王切開になるなんて、思ってもいなかったので、こわくてこわくてたまらなくなってきた。

 

 

さてさて、夕方、母・よしこのごはんを食べ、入院する時がやってきた。

不安でいっぱいだったが、よしことパパ(ダンナさん)が病室にいてくれた時までは、まだよかった。

が、ツカツカと看護婦さんがやって来て、「はい。面会時間は21時までとなっているので、ご家族の方はおひきとりください。」と言い、よしこたちが帰ってから、私は急に心細くなった。

”赤ちゃんは元気に生まれてくるのか” ”手術というものは、いったい、どのくらい痛いものなのか”ということがグルグルと頭の中をかけめぐった。

、、、でも、「もう、これ以上考えても、らちがあかない。。。もう、なるようにしかならない。さあ、ここは一気に寝てしまおう。」と思い、ブルブルふるえながら、お布団にもぐった。

 

すると、間もなく、お腹の下で”プチン”という、聞きなれない音がした。

、、、と同時に、水のようなものが流れてきた。

破水したのだ。

ここから、私の混乱物語が始まる。

 

 

すぐにナースコールすると、看護婦さんが”お産セット”(パンツやパットが入ったもの)をもってやって来た。

まったく奇妙だったのは、手渡されたパンツだった。

私は、「こんな小さいのをはくんですか、、、?」と思わず言った。

それは、お産の後、お腹が小さくなった人がはくパンツだった。

こっちはまだ妊婦だ。

ウエストはもう、パンク寸前、90cmはあろうかという、相撲取りのような体なのだ。

(それは、大の大人に、赤ちゃんのオムツを”どうぞ”と差し出されたような、そんな感じ。。)

 

そのパンツは、体にフィットするはずもなく、、、、まったく滑稽だった。

こういう時、「ちょっとー これ見て~!」と、誰かに笑って話せたなら、気が楽になるけれど、たった一人、ピンと張り詰めた病室の中では、ただただ空しい空気が漂う。

 

最初はちょっとずつしか流れてこなかったが、どんどん本格的な破水となって、量も増えていった。

「あっ パットをかえてもらわなくっちゃ。。」

そう思って、ナースコールを再び押すと、病室に来てくれた看護婦さんは、「さっき説明しましたでしょ。今度は自分でやってみてください。」と、厳しく言い放った。

 

もう、その頃、私は”初めての破水”で、心臓がバクバクしていた。

「あっ そうか、、、パットをまた変えればいいんだ。。。」

今度は、自分でやってみた。

 

”さあ、ちょっと寝よう”

そう思って、目を閉じた。

しばらくして、ベッドが妙に冷たくなってきたように感じた。

気のせいかな。。。

”んっっ???”と思い、シーツに手を当てたら、、、、ぬれていた。

「ひゃっ!!」と私は声を上げ、思わずベッドの上に立ち上がった。

そして、再びナースコール。

 

「どうされましたー?」

やってきた看護婦さんはそう言いながら、ベッドの上に立っている私を見上げた。

私は、「こんなことになっちゃいましたー!」と言って、世界地図を描いたシーツを指差しした。

「あーら あらあら、、、。」と言って、看護婦さんは私に近づき、私のパジャマもぬれている事に気付くと、「あらやだ!パット、表裏、逆にしてますよっ!」と言った。

もう、そのころ私は、かなり気が動転していたため、「はあー。。。」と、半ば気がぬけたような返事をするだけだった。

「パットはこっちが上ですからねっ!いいですか? もー しっかりしてください!」と私をたしなめるように言った。

 

、、、そりゃ無理というものだ。

ここまできた私に、しっかりしろと言われても、、、。

せめて、家族を呼んでくれ、、、と思ったが、もう夜中の2時。

家族だって、本番前に呼ばれたんじゃーたまらない。                                               

 

 

それから、看護婦さんが病室を去ってから、さすがに私も、”もっと落ちつかなくては、、、。”と思った。

何をしたら落ちつけるだろう。。。。

そこで、なぜだか私は、「そうだ。。。もってきた栄養クリームでもぬろう。」と思った。

それから、鏡を見ながら、「とりあえず、朝までがんばろう。」と自分に何回も言い聞かせながら、いつもより入念に、顔にクリームを塗りこんだ。

 

 

”さあ、、、寝よう。。。”と思って、再びベッドの中に入った。

しばらくして、看護婦さんが様子を見に来てくれたのだろう、、、ドアが開いて、人が近づくのがわかった。

でも、私は、もう寝ようと努力している最中だったので、目は開かなかった。

すると、次の瞬間、「わーっ! どうされましたかーっ?!」という、甲高い看護婦さんの声にびっくりして、思わず目を見開いた。

ベッドに世界地図を描いて以降は、どうされた覚えもないので、私は、「へっ、、、???」と言っただけだった。

すると、看護婦さんはものすごく心配そうな顔をして私の顔をのぞきこみ、「まーっ!まーっ!まーっ! こんなに汗かいちゃって!!」と叫んだ。

 

季節は4月。

私は暑くともなんともなく、むしろ寒いくらいだったし、最初はなんのことやらサッパリわからなかったが、ようやく、何ゆえに看護婦さんが驚いているのかわかった。。

私は、「あーっ、、さっき私、栄養クリームぬったんですー。」と一言いうと、看護婦さんは”もう言葉もない、、、。”といったあきれ顔をして、「はっ、、、栄養クリームですかー、、、。」と言って去って行った。

 

後編へつづく。。。

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コメント

きゃ~、後編が待ちきれない!!
破水しつつ、栄養クリームとは、真剣だったちはるさんに申し訳ないのですがかなり笑っちゃいました。

私は出産前に1ヶ月入院していたのですが、その間に、出産に直面した妊婦さんたちのあわてっぷりやオモシロぶりを数々見てきました。人って非日常になると不可解行動続出ですよね。しかも大部屋だったりするのでほかの妊婦たちが何か力になれないかとまたあわてておかしなコトしたりと、今から思うとまさにコントって感じの空間でした。

後編、楽しみにしてまーす♪

投稿: こころ | 2006年2月27日 (月) 14時07分

お姉様がエッセイを書いておられるページでこちらを知りました。り香さんのエッセイや料理の大ファンなのですが、千春さんもほんとに素敵な文章を書かれますね。わくわくして一気に全部読ませていただきました。私は年末に男の子を出産して今はじめての育児に奮闘中なのですが、これからこちらを楽しく読ませていただこうと思います!

投稿: いずみ | 2006年2月27日 (月) 14時43分

こんにちは。私自身も帝王切開で去年男児を出産しました。育児の合間にこのブログを発見して楽しく読ませて頂きました。4人のお子様を育てつつこんな素敵な文章を書かれるなんて、尊敬です。またごく近くに知的障害のコがいるのですがそうちゃんと同じく謎ばかり・・・。だけど素直な良い子なんですよー。これからもグイグイ引き込まれるような日記を楽しみにしています。

投稿: かえで | 2006年2月27日 (月) 15時58分

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